おおーあたーりー
矢は軽く、お腹の空気を一気に吐き出すと、気持ちよくシュッと飛んで「トスッ!」とこころよい音をさせて的にあたる。適度な緊張のある爽快感。紙ヒコーキをうまく飛ばせたような気分。意識が的にスッと突き刺さる感じだ。
「では、矢を抜いてみましょう。」
的に近づき矢を抜く。と、これがものすごく深く刺さっているのに驚いた。
「矢の速度は時速100kmを越えますからね。」
「じゃあ、人間に向かって矢を放ったらどうなります?」
「刺さるってことはないですが、そうとう痛いですね。だから人に向けて吹いてはいけませんね」
「吹こうとして、すっちゃう人っていますか?」
「まあ、息を吹くタイミングを逃がして、息が続かなくてすっちゃって、矢が口に入るってことはありますね」
あるんだ!「いやーそんな人いませんよ」と一蹴されるかと思いきや。
私は左のような成績。「かなりスジがいいですよ!」とほめられた。普通は矢がバラバラのところに刺さるそうだが、私はほぼまとまっている。ふふふ。
あまつさえ、ダブル(刺さった矢の上にまた矢が重なって刺さる)まで遂げているではないか。ほめられるとその気になる私なので、また、形から入る私なので、まず道具を買ってしまうかもしれない。
吹き矢が気になりだす
体験を終え、もういちど大会会場に戻る。
先ほどお話を聞いた男性がラウンドから帰ってきて座り込んでいた。どうでしたか、と聞くと、
「いやー、最初に低い点数のエリアに入ってしまって、動揺してうまくできませんでした。最初に7点とっておくと、あとはのってやれるんですけどね・・・」
楽しんで腹筋を使うだけなら、爽快感のみ残るだろうが、競技というのはいつも、プレッシャーとの戦いなのだ。自分との戦いなのだ。
久々に体育館という場所にきて、戦い終わった人の姿を見るにつけ、競技というものへの懐かしさがこみ上げてくる。
ほんとに吹き矢、始めちゃおうかしら。スジはいいらしいので。
|