トンビにおそわれて
砂浜には、たくさん人がいた。みんな海辺のピクニックを楽しんでいるようだった。
マリンスポーツをやっている人も多かった。ウインドサーフィンの帆が、波の遠く向こうに見えた。
そうか、都内に住んでる人がマリンスポーツやる時って、この辺に出かけてるのか、と妙に納得した。
しかし……磯の匂いが強烈だった。はっきり言うとちょっとクサかった。
海といっても、こんなに匂うのは変だよな、と、よく見たら、海藻が砂浜に、大量に打ち上がっていた。海藻のまわりには、小さな虫がぶんぶん飛んでいる。
海水浴シーズンじゃないから、お掃除はしていないのだろう。
想像した美しい砂浜と違うけど、まあいいや……とりあえず昼ご飯を食べようと、砂の上に腰をおろした。
サンドイッチを手に持って、パクっとひとくち、かじった瞬間……。
バサッ
ひゃっ!!
後ろから何か衝撃があった。
手からサンドイッチが無くなっていた。
トンビだった。
あまりにショックで、最初トンビにとられた、というのが、しばらく理解できなかった。
空を見上げると、ピーーーーーヒョロロロロローーーなんて鳴きながら、数十羽のトンビがぐるぐる飛んでいた。
こわい、こわすぎる、と思いながら、残りのサンドイッチを手で隠しながら、飲み込むようにして急いで食べた。
近くでバーベキューセットを広げている人たちがいた。あれ、肉を焼きはじめたら惨劇になるな……と思った。
さて、気をとりなおして、砂浜でサクラ貝をさがしてみよう。
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