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特集


ひらめきの月曜日
 
証券取引所の手サインよ永遠に

テレビのニュースで株価が伝えられるとき、よく背景に証券取引所の様子が映る。

今は円状の電光掲示板が映し出されるが、ちょっと前までは広い取引所で大勢の人が手のひらを振ったり、変わった身振りをしたりしてしきりに合図を送る様子が放送されていた。活気の中で交わされるこなれた動作が格好よかった。

あの動作って何だったんだろう。調べてみたら「手サイン」と呼ばれる取引所特有の合図なんだそうで、今では使われなくなってしまったらしい。

あんな格好いいのにもったいない!遅ればせながら手サインの習得を試みました。

(text by 古賀 及子



日本経済のメインステージ
立会場閉場の日の様子
そして現在。例のグルグル。
天井の造りを見ていただければ分かる通り、
上の写真と全く同じ場所なのだ。
こちらがグルグルの下の部分。取引を鋭意監視中。

手サインの現場へ

手サイン習得の手がかりを求め、例のニュースの背景に映っていた株式売買立会場(そうゆう名前だったのだ)があった東京証券取引所へ行ってみた。1999年に立会場が閉場し、取引の全てがコンピュータで行われるようになってからは「東証アローズ」として、例のグルグル回る電光掲示板がある場所でもある。誰でも無料で見学できる。

そもそも手サインは、立会場があった頃、いろんな証券会社から東京証券取引所に取引のためにやって来る「場立ち」と呼ばれる証券マンの方々が使っていたものだそうだ。

主に、各証券会社から連絡される取引内容を、最終的に立会場のカウンターに口頭で注文するための連絡用として使われていたらしい。

多いときで2,000人もの人々がひしめき合っていたという立会場で、迅速に注文内容を伝えるために手サインはなくてはならないものだったのだ。

手サインに対する溢れんばかりの憧れが説明をパンフレット調にしておりますが、ともかく、取引がコンピュータで全て行われるようになってから、手サインは使われていない。

 

象徴としてのグルグル

コンピュータ化された取引からは以前の立会場のような目で見て分かりやすい活況がどうしても出ない。そこで、今ではあのグルグル回る電光掲示板(マーケット・センターという)が証券取引の「象徴」となっているのだそうだ。

グルグル回る表示は取引が増えるとその分速く回る。健気に目で見て分かりやすい。それに単純に、間近で見るグルグルはかっこよかったです。手サインがなくなり、コンピュータ化されたとはいえ、証券取引にはやはりグッと来るものがある。

ちなみにグルグルの下で働いているのも、以前場立ちをしていた証券マンではなく東京証券取引所のスタッフだ。不正な取引がされていないか管理をしているらしい。てっきり取引をしているのかと思いきや、取引を監視する立場の方々だとは。

 

手サインよ今いずこ

そんなわけで、以前は見学コースにいたという手サインを教えてくれる「手サインロボット」も今はいないそうだ。

困った。この手サイン習得への希望はどこへぶつけたらいいのか。こうなったら当時場立ちとして実際に手サインを送っていた方々から話を聞くしか道はなさそうだ。

現在の取引も一望。
取引開始30分時点で3千億円の取引が成立していた。さんぜんおくえん…。
手サインの名残をわずかにお土産コーナーのテレカに発見!

 

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