デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

特集


ロマンの木曜日
 
ハリウッドスターが来る商店街

それはほんの序章だった



色紙だった。
「デンゼル・ワシントン。クリムゾンタイドみてね」とある。

こ、これは……、あのハリウッドスター、デンゼル・ワシントンのサインではないか!
僕は慌ててトイレを出て、カウンターの中でグラスを磨いていたマスターに詰め寄る。

「あ、あの、ト、トイレの、サインは?」
「ああ、デンゼルさんの事?」
「ええ、何で、こんな…」
こんな所に、と言いかけてやめる。
「いやあ、いいんだよ。何でこんな所にって思うでしょ。そりゃあ当然だ」

何でも、デンゼル・ワシントンはオフになるとこの喫茶・玻璃愛奴にやって来て、ドライカレーを食べていくという。

「まあ、この商店街を歩いてみなよ、驚くから」
マスターは意味深な笑みを浮かべ、これ以上は取り合わないとでも言わんばかりに、僕に背を向けてしまった。



「一体どうなってるんだ?」
なぜデンゼル・ワシントンが練馬区に? なぜドライカレーを?
分からない事だらけだったが、とりあえず商店街を歩き、マスターの言う「驚く事」を探す。


少し歩くとレンタルビデオ屋を見つけた。
そういえば、「クリムゾンタイド」ってどういう映画だったっけ? 映画の内容を確認するため、店内に入り僕は再び驚く事になる。



今、話題のアメリカドラマ「24」の棚に色紙らしきものが見える。



タランティーノが映画監督になる前、レンタルビデオ屋でバイトをしていた。というのは有名な話だが、もしかしてここで……。
アルバイトらしき女性店員に色紙について聞いた。

「ええ、ここでバイトしてましたよ。主に深夜勤でしたけど」

義理堅いタランティーノは今でもよく顔を出し、新しいサインを置いていくという。
「目立ちたがり屋なので、いつも話題作の棚に置いていくんです」

ここでタランティーノが働いていた……。
タランティーノは当時、店長に内緒で深作欣二の作品ばかり仕入れていたらしい。


興奮覚めやらぬまま、再び歩きはじめると、LADY'S FASHIONという看板が目に入った。レジにはファッショナブルな女性が立っていて、そこでまたスターの痕跡を発見する。


zoom

ジャネットジャクソンだ。
「うちの服がお気に入りなんです」
店員さんは、特に大した事ではない、という口ぶりでそう話す。
「スーパーボウルの一件があって以来お見えになってませんが、それまでは良くマイケルさんと一緒に来てました」



お店の外にあるベンチ。ジャネットとマイケルがここに座りダンスについて語り合う姿が良く見られたという。

そしてここから、僕は立て続けにハリウッドスターたちを目の当りにする。


 

▲トップに戻る 特集記事いちらんへ
 
 



個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.