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特集


ひらめきの月曜日
 
進化する厨房

「フード・ケータリングショー」と「厨房施設機器展」が今年から同時開催になった。直で「食べ物」ではなくどっちかというと「食べさせるまでの過程で使う物」の見本市だ。

見本市といえばどの会社もこぞって自社の新製品を掲げて集結するはず。とすると、この展示会に行けば食周りの進化の様を目撃できるのではないか。

勇んで行ってきました。ザルもトングも進化してました!!

(text by 古賀 及子



売る
運ぶ

仕事がいっぱい

「第25回フード・ケータリングショー」と「第4回厨房施設機器展」にさらに同時開催の「HOTERES JAPAN2004」を合わせると全部で830社が参加しているという。広い会場をまず回ってみた。

「食べる」ことって、こんなに大変なことだったっけ。

いや、とにかく展示品が多彩なのだ。多彩きわまる。
炒める、茹でる、揚げる、蒸す、焼く、 温める、冷やす、凍らせる、かきまぜるなどの調理器具から、洗う、盛る、運ぶ、計る、量る、詰める、照らす、切る、研ぐ、回す、煎れる、捨てる、乾かす、様々な道具や仕事やサービス。現存する食にまつわる動詞はすべて商品になってここにある。

人間の三大欲求のうち、睡眠と性欲の展示会があってもさすがにここまで大変なことにはならないだろう。ある意味盛り上がるかもしれないが、やっぱ「食欲」、別格だ。

量る
注ぐ

ステンレスとプラスチックのいいとこどりという最新型トング
こんな風に32万回テスト
今回の会場有明ビッグサイトは
そういった意味ではかなり未来っぽい。

2,3ヶ月後の未来のかたち

そんなバトルロワイヤル状態の食関連業界にあってはもう日々が競争なんだと見た。いろんなものがより良く、新しくなっている。進化してるというより、進化させようという迫力を感じる。

今月1日に新発売になったという最新型のトングを見つけた。

「開閉動作20万回は楽々ですね。テストでは32万回でも大丈夫でした」営業の方も自信たっぷりだ。

未来の生活というと、ついついビルに巻き付いているチューブの中を走るリニアモーターカーとか派手なことを考えがちだが、ここにあるのは無茶苦茶地に足の着いた、言ってみれば超近未来。早ければ2、3ヶ月でお手元に届く。

ぶっちゃけ、地味で微細な進化とも言える。だけど、32万回ってなんだ、32万個のパンがたった1本のトングで掴めるということか。1個100円のあんパンを掴んだとして、3200万円分をこのトングは稼ぎ出す。しかも持ってみたらやたらに軽かった。 バネも柔らかい。こんなトング、持ったことないぞ。

地味で身近なだけに進化ぶりがリアル。いきなり自宅に来られるとしたら、宇宙人よりもが会社の社長の方が何倍も困る。そんな感じか。

こうやって身近な物から進化が進むうちに徐々にビルにチューブが巻き付く生活への間合いを詰めているのではないか。32万回開閉可能なトングから広がってゆく未来の生活。あながち、ウソではない感じがしませんか。


 

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