5日目・マリモに異変が
仕事の手を休めてじっくり観察しようと、マリモを明かりにかざしてみた。
なんだかマリモの下にくぼみができている。
動いたのか?まさか産卵の準備だろうか(そんなわけはない)。涙を流しながら砂の中に産むのだろうか(そんなわけはない)。
まあ、置くときに砂が動いただけなんだろうけども。
あと、少々ほつれてきているのが気になる。
触手だろうか?まさか脱皮の準備だろうか(そんなわけはない)。どこかに引っ掛けて一気に脱ぐのだろうか(そんなわけはない)。
まあ、養殖だからだんだんそうなるんだろうけども。
気になったので、すくって、ほつれを抜いてみた。なんだか芝生みたいだった。新茶みたいでもある。これ全部ほどいてお茶にしたらどんな味だろう。
サボテンは、そう人間が考えただけでもその思念を感じておののくというが、マリモはどうなんだろう。
結局マリモ観察はどうだったのか。正直言って、私の中ではまだ結論は出ていないのだった。ただ、「植物」と「動物」のあいだの微妙な振幅のあいだにある、と難しげに言ってみる。
しかし、毎日見ていればまだまだ変化は期待できそうだ。私の中では誰がなんと言おうとも、マリモは「動物」であり「ペット」だ、ということにする。
いつかその思いに応えて、不完全変態な子供でも産んでくれるかもしれない。
|