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ロマンの木曜日
穴を掘る


2人で1つの穴を掘る。表層部分は柔らかく掘りやすい

林「ウインドウズはXPになって起動パスワードがあるからいいですね」
住「あ、確かに。まあ、秘密にしてる事なんてないから、あれですけど」
林「僕も、見られて困るものはないですよ」
住「それだったら、505の指紋認証のやつ、あっちの方がいいですよ」
林「そっちの方が僕には必要ないですね。携帯メールはほとんど来ないから」
住「僕も、別に見られて困る事はないですよ」
林「そうですよね」


掘り始めて間もなく、ミミズが出て来た

2人「……」

林「一気にテンション下がっちゃいました。ミミズで」
住「うーん、確かに気持ち悪いですね」
林「ミミズを戻して、別の場所掘りましょうか?」
住「いや、ここで掘りましょう」

 

林「秘密っていえば、僕が高校1年の時、兄貴は浪人生だったんですよ」
住「ええ」
林「で、部屋が一緒だったんですが、見つけちゃったんですよね。兄貴の机の奥で」
住「何をですか?」
林「エロ本」
住「ああ……」
林「書泉グランデの袋に入ってました」
住「あの、ビニール製のやつ?」
林「そうです。なので、いまだに街で書泉グランデの袋を見ると、エロ本!って思います」

 

住「僕の場合、逆ですね」
林「逆?」
住「ええ、弟の机で見つけちゃいました」
林「どんなのです?」
住「投稿ものです」
林「ああ……」


約1時間が経過、15センチ程の深さの穴が口を開ける。

林「僕、ずっとブエノスアイレスに行きたくて」
住「こんな感じの?
林「ええ。何か名前の響きがいいですよね」
住「ブエノスアイレス!」
林「赤ワインと牛肉が有名だそうですよ」
住「ブエノスアイレス!」
林「『母をたずねて三千里』のお母さんは、ナポリからブエノスアイレスに働きに出てしまって、それをマルコが探すんですよね」
住「って事は、当時はイタリアよりもアルゼンチンの方が仕事が多かったって事ですかね」
林「そうですよね」
住「忘れちゃったんですけど、マルコってお母さんと会えたんでしたっけ?」
林「いや、知らないです。僕、日曜日のあの時間帯って1つもアニメ見てないんですよね」
住「えっ?『フランダースの犬』も?」
林「ええ、父親が『すばらしき世界旅行』好きで、そっちばっかり…」
住「あの番組、オープニングとか恐かったですよね。唇に何か刺さってる人たちが出てきたり」
林「そうなんですよ。それが嫌で嫌で……」

住「マルコは会えたのかなあ…ブエノスアイレスで」
林「どうでしょうか」


少し休憩を入れる事に。休みなしで1時間掘り続けたので手がしびれている。

住「そういえば、『強い酒友の会』の時ですが……」
林「ああ、あの時は大変でした」
住「いや、僕、林さんが後ろ向いたり、トイレに立ったりする度に注ぎ足してました。強いお酒」
林「えっ?」
住「すみません。酔ってもらった方が楽しいかなあ、なんて…」
林「だからかあー!1杯しか飲んでないのに、おかしいなあって、思ってました」
住「ごめんなさい」
林「いや、でも、僕もあの後、交番で深刻な話をしている最中に寝てしまいました」
住「えっ?」
林「酔っぱらったのと、雨に濡れて疲れたのと……」
住「じゃあ、あの件はイーブンって事で」
林「そうですね」



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