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挫折の土曜日

「t.A.T.u.騒動見学」レポート頓挫スペシャル

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t.A.T.u. in 千葉県成田市

がーーーん。
いま、私の手もとに1枚のハガキがあります。レコード会社・ユニバーサルの方に頼み込んで頂いた、t.A.T.u.のライブイベントのインビテーションです。皆さん、報道でご存知のとおり、ロシア美少女デュオ t.A.T.u.は昨夜の音楽番組「ミュージックステーション」をドタキャン。本日(6/28)開催される予定だったイベントも、急きょ中止と発表になりました。
まじでー。
デイリーポータルZでは、t.A.T.u.来日を勝手におっかけて、先日の成田到着と、明日のライブレポートを、合わせてお送りする予定でした。……企画は頓挫いたしました。成田での様子だけでも、ここでお伝えいたします。

>>コチラから動画でお楽しみください
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(text by 大塚幸代




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おにぎり食べる

「たーまちゃーん」な雰囲気

インタビューを受けるファン


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シティボーイズのように見えるカメラマン

成田騒動

6月25日、8時40分ごろ。
私とニフティ林氏は、成田空港第2ターミナルに立っていた。

t.A.T.u.到着を待つ人々は、まだ50人くらいしかいなかった。報道陣とファンの数は、同じくらいの人数。到着口からは、特別にゲートが作られ、ポールでしきられていた。しきられた道筋はふたつあって、「警備員が立つスペース」と「t.A.T.u.が歩くスペース」のようだった。

「なんだか遠いですねえ」
「撮影できるかなあ」
「しかし、なんとなくゆるい空気ですね、なんでだろう?」
「僕、この空気知ってます。タマちゃんを見に行ったときと同じ匂いがします」
「そうなんですか?」

ファンは報道にインタビューされまくっていた。とくに若い女の子で、片方がショートカットでパンクっぽいファッションをしている二人組が、大人気であった。へたな芸能人よりスポットライトを浴びていた。
もう1人、スカートをはいた少年。彼も取材されていた。
「彼女たちの音楽をきくと、胸から込み上げてくるものがあるんです」
あとでネットを見たら、彼のコメントは、共同通信で全世界に配信されていた。

ファンのほとんどは、10代に見えた。話を聞くとその半数は、ネットのファンサイトで集まった人たちのようだった。

t.A.T.u.が全世界にブレイクしたのは、インターネットの役割が大きいのでは、というのはたまに言われることだけれど、こんなにたくさんネットで集った若者を見ると「実際そうなのかなあ」と思ってしまう。
朝飯を食べていなかったので、オニギリを食いながらt.A.T.u.を待つ。

「オニギリ……大塚さん、あなた場ちがいですよ」
「え、何か変ですか?」
「……まあいいですけどね。しかし、ここにいるファンじゃない大人って、なんか変ですよ」
「わたし、すごいファンですよ!」
「いや、あのー、例えばあそこにいるカメラマン3人組。すっかりくつろいで談笑してる人たち。なんかねえ、俺、男3人いると、シティボーイズのコントみたいだって思っちゃうんですよねえ」
「そんなばかな」
ためしにそっと近づいて、3人の会話をリスニングしてみた。
「すごい騒ぎだなー。俺もCD買っちゃおーかなー」
「あ、俺もってますよ」
「貸してよー」
「いいっすよー」
「あのさあ、あの外人、オッカケかな? コメントとってみない?」
「いいねえ」
「おまえ、英語出来る?」
「いやあ……」
「でもさあ、あれ、アメリカ人じゃないんじゃない?」
「何人かなあ」
「何人だと思う?」
「………ロシア人?」
「おまえ、ロシア語できる?」
「………………『ダー』とか?」
「ダーだけ?」
「ダーじゃなあ」
「んー」
「おまえ、それじゃダメだろ」
確かにシティボーイズのようだった。


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左、レナさん。右、ユリアさん。

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レナさんはニコニコしてました。

ついに登場

最初は午前9時40分着の予定だったが、アエロフロートが遅れ、10時5分に飛行機は着いた。見物人は徐々に増え、200人くらいになっていた。
彼女たちの手続きが終わるのを、いまかいまかと待つ。
正確には、10時5分から45分くらい、同じポーズでカメラをかまえて、待っていた。
スカートの少年は、たまたま私の隣に立っていた。
待っている間、彼は緊張と興奮で、「ふっ、むふっ」「あっ」「来るかなっ」とひとりごとを言ったり、「おるしんぐせーおるしんぐせーらにとうまへー」などと歌ったりしていた。
こんなに愛されてるのに、t.A.T.u.来ないなあ、と思っていたら………。
ゲートがあく。
ファンが声をあげる。カメラがいっせいにフラッシュをきる。
t.A.T.u.のふたりは、手を高く上げ、投げキッスをし、スタスタ歩いて、スタッフしか入れない場所に、すぐ消えた。
その間、わずか10秒ほど。
「キャーーーーー……え?」という程の短さ。
「え、これで終わり? 短かすぎない?」という顔のファン。
サインを頼むために、ペンとCDを持っていたコは、そそくさとそれをカバンにしまった。
t.A.T.u.のふたりは背がとても小さかった。ロシアの女の子だから、なんとなく大きな人を想像していた。小さくて、肌が若さでツヤツヤ、プリプリしていて、なんというか、「ミニモニ。」みたいだった。
(以下、レポート頓挫。ご了承ください)

 

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投げキッス

追記

この日の様子は、翌日の『めざましテレビ』にも報道されたのですが、林氏の顔がテレビにうつっていたらしいです。
「いっぱいメール来ましたよ。会社でも言われちゃった」だそうです。
あと、
「t.A.T.u.撮ったビデオを見返してみたら、俺に向かって投げキッスしてるんだよ、気がつかなかったよ!」だそうです。そうですか……。

(これでおわり)


   

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