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ハトキャッチアンドリリース
 


丹念にまめを並べる
きたきたきたきた!
どんがらがっしゃーん

学習しない僕

さっきは大森だったが、翌日、神保町に場所を移して再度チャレンジ。ここなら大森のハトから「あいつらやばいよ」という話は伝わってないだろう。別の取材のために神保町にきていた住さんが手伝ってくれることに。心強い。

まめを並べるとさっそくハトがやってきた。隣のベンチに怖いおじさん(怖い職業に従事している風のおじさん)がすわる。からまれたらどうしよう。いや、いまはハトに意識を集中させる。

ハトがよってきた。きたきたきた。ここぞというところでひもをひっぱる。勢いよくひっぱりすぎて、カゴがひっくり返ってしまった。ここいちばんで勝負弱さを発揮。

「あははははは」

隣のベンチの怖いおじさんが笑っている。僕も笑う。なんだか山道ですれ違う登山家みたいじゃないか。僕ら。すがすがしい。これも自然との対話がなせるわざだろうか。

僕と住さん(デジタルビイム社長)
ハトよ降りて来い、と念じる空
「おまえら、ばかだニャ」
まったくこなくなった

神保町のハトはかしこいのか、いちど脅かしたらまったくこなくなってしまった。ハト界にタクシー無線みたいなものでもあるのだろうか。

「神保町の公園のニットキャップの男からエサもらわないようにー」

公園で待つこと1時間。空をハトが横切るが、決して公園におりてくることはなかった。かわりに公園にいた猫を捕まえようとしたが逃げてしまった。すべてに嫌われ 負け負け気分。

ハトをつかまえたいという気持ち、逃げられた悔しさ、見知らぬ人との交流。ハトはつかまえることはできなかったが、それ以上に得るものが多い体験だった。

ハトよ、ありがとう。いつかつかまえてやる。全力で立ち向かう、それがハトに対する礼儀だと思う。

気分は伝説の熊を狙うマタギである。まあ、相手はハトなんですけどね。

おしまい


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