このコーナーはライター乙幡氏が担当しているのだが、風邪を引いたという。熱は下がったが目の焦点が合わないとの連絡をもらった。急激なダイエットの弊害ではないか。皆さん気をつけましょうね。
ダイエットが成功したことをやっかむ僕はそう思う。やっかんでばかりでもしかたないので今回は林が3D検索にいどみます。
テーマはイトーヨーカドー(193位)だ。(林 雄司)
ヨーカドーの看板がぐっとくる。ノスタルジーとエロティックが入り交じったような複雑な気持ちになる。そのあたりは以前、「スーパー看板コレクション」という記事に書いた。
女の子を自転車の後ろに乗せてヨーカドーの横の坂道を下ると海が見える。そんな記憶がヨーカドーとセットになっているのかもしれない。しかしよく考えたらそんなことはしたことがなかった。僕が育った街には海はない。勢い余ってうそを書いてしまったが、ヨーカドーの看板がもつニュアンスはそんな感じである。もちろん、これは皆さんの育った環境に合わせて「いなげや」とか「ユニー」におきかえていただいて構わない。海の部分は「水道タンク」とか「県立工業」にしてください。
そんな僕の心のサンクチュアリであるヨーカドーの看板が変わりつつあるのだ。ハトではなくセブンアントアイホールディングスのマークになっている。持株会社化というビジネスのスキームが僕の個人的な柔らかいところ(比喩です)を直撃するとは思わなかった。
ヨーカドーの食料品売り場にある売店は「ポッポ」である。あれはハトだから「ポッポ」なんだろうか。去年気付いた。もしそうだとしたら35年かかって解けた謎である。屋根のハトと地下の売店にそんな符号が隠されていたとは。とんだダヴィンチコードである。
ハトのマークが色違いなのがヨークマートやヨークベニマルである。青い部分が緑であったりする。これがものすごく違和感で、「人んちに来た!」という思いを強くさせる。ホームシックになる。いつものヨーカドーのある家に帰りたくなる。しかしヨークマートが近くにある人にとってはそれがデフォルトで、そんな人と新しい学校で出会ったりすると、人生の視野が広がるのが実感できる。
土浦に行ったときに地元の高校生が「ヨーカドゥ行こうぜ」と言っているのが聞こえた。ドゥは英語のDOの発音である。かっこいい、ヨーカドゥ。彼らのあいだで流行っている呼びかたなのだろう。ヨーカドーをヨーカドゥと呼んで笑ったりするのが青春だよね。しかし業界ではヨーカドーは人事異動が多いために「イドーヨーカドー」と言われているそうだ。
これだけヨーカドーのことがかけて自分でもびっくりしている。ヨーカドーの看板を頭にかぶった人形を作るだけのことはあると思う。
(了) |