田んぼや河原、干潟などで来ないバスを待っているかのように突っ立っているでかい野鳥、サギ。
清少納言にも嫌われたやばい目つきで魚を捕らえ、冷徹な殺戮者の表情で飲み込んだり、動物園のペリカンやペンギンのプールに勝手に居座っている様がかっこよくて愛らしいサギ達を特集したサイトです。
サギはこうして見わけよう!
サギ観察で一番のハードルは目の前のサギが「何サギ」なのかの判別だ。
特にわかりにくいのがよく「シラサギ」と呼ばれる白いサギで、おおまかに「ダイサギ」「チュウサギ」「コサギ」に分類される。
見分けるポイントは以下の通り。
①大きさ
名は体を表すというがサギも例外ではない。しかし、つねに一緒にいるわけではないので大きさなんか比べられるかい、どうしよう。
ここで注目はセンターポジションの「チュウサギ」。このチュウサギのサイズ感さえ把握していればそれより大きければダイサギ、小さければコサギだとわかる。
チュウサギの原寸大パネルを仕事でもプライベートでも携行するなど、常にチュウサギを意識して生活しよう。チュウサギ目線を手に入れよう。
②ダイサギとチュウサギは目の下で見わけよう!
ダイサギとチュウサギの外見で最も見分けやすい特徴は口角から目の下に伸びる切れ込みの長さだ。
ダイサギは目の後ろまで伸びているがチュウサギは目の下あたりで止まっている。これよって両者はその表情に微妙な違いを見せるが、真正面から見たときの「あんた誰?」感は共通だ。
③チュウサギとコサギは脚の色がちがう!
チュウサギとコサギは脚の先端の色で判別ができる。
ただし、たいがい水中や薮の中に脚を突っ込んでいるので容易に見ることできない。足を上げるのをじっと待つか、いっそ潜って確認するのも手だ。透明な牛乳瓶を目に当てれば、視界もよくなるのでオススメ。
昭和のマンガやドラマで男湯の湯船から女湯をのぞく時によく使われていたアイテムである。
④冬にいなければチュウサギ!
何かと見分けにくいチュウサギは夏に日本に渡ってくる夏鳥なので、一部暖冬の地方に住む個体を除いて秋には南方へ渡りを始め、冬には見られなくなる。
つまり、冬にいなければ、チュウサギである可能性が高い。冬のサギ達を見つめながら「ここにいないサギがチュウサギか、きっと白いんだろうな」と哲学味のある感傷に身をゆだねよう。
サギコラム
伊藤 健史
このサイトでチュウサギをいじっているのは、私がサギの中でもっともチュウサギにシンパシーを感じているからである。
勉強もスポーツも中程度、中堅の会社に就職し、特に大きな賞罰もなく生きてきた私にとって、数々のブログで「え〜と、中くらいのサギ」と説明されまくるチュウサギに中庸を極めた存在として畏敬の念を抱かざるをえない。
チュウサギはかって日本でもっとも多く見られたサギであったが昭和50年代以降、環境の変化に伴い、個体数は減少の一途をたどっている。チュウサギの衰退は大きなダイサギと小さなコサギの間の漁獲量の格差拡大をもたらす。
ダイサギ(D)はどんどん魚を取り、コサギ(K)が取る量との格差は拡大してゆく、すなはちD>K。トマス・ピケティの「21世紀の資本」はこのシラサギ界の動向をヒントにしていると言われている(※おおうそ)。
同じく衰退が叫ばれている我々日本の中間層と共にどこか哀愁をにおわせながら、いつか肩を組み「ピケティ!」と叫ぼう、チュウサギよ、中くらいの友よ。