デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

コネタ


コネタ1059
 
いろいろキャンプファイヤー

子供の頃はアウトドアとか大嫌いだった。でも歳をとってロックフェスとかでイヤイヤながらテントを張ったりするにつれ「意外と面白いじゃん!」というのに気づくようになったのが三十路前。

自分の中でイメージするアウトドアで最大のイベントといえるのが「キャンプファイヤー」。アウトドアならずとも学園祭の終わりに校庭の真ん中で火を焚いたりするところもあるそうだけど、残念ながらこの歳までキャンプファイヤーを体験せぬままに生きてきてしまった。

炎の周りで「若者たち」を歌ったり、ゲーム大会に興じたり、林の奥に好きな子を連れてって告白したり…あぁ甘酸っぱい!キャンプファイヤー、それはセンチの象徴。日常にキャンプファイヤーを取り込むべく、そしてキャンプファイヤーが起こすマジックとは何か?日常の素材でキャンプファイヤーを行ってみました。

(text by 大坪 ケムタ

まずは素材を考える

キャンプファイヤーといえば「井形」。アレを組み立てないことにはただの「燃焼物」に過ぎない。木材の代わりになるものを考えてみるだに、必要な条件は

・組み立てれる程度に長い

・燃える

さらに、どうせだったら匂いが出たり、色がキレイだったらいいだろう。ということでキャンプファイヤー候補はこの3種。


長くて油っぽいもの3つ。

「長くて燃えそう」で真っ先に思いついたのがボテロング(が無かったため姉妹品のチーズロング)。実際のキャンプファイヤーの木材をイメージしてチョイスしたのがキャラメル。旅に出るわけでもないけど伝統のハイソフトで。あとロウソクみたいなもんだし結構燃えるんじゃない?と軽い気分でクレヨン。当たり外れはありそうですが、何かやらかしそうな油ものチョイス。

準備万端、でもどうせやるならキャンプファイヤーだもの!山とか海とかで炎を上げた方がいい。と、お台場の海岸に来てみたんですが…


曇天、ついたらさらに雨。
鳥しかいねぇでやんの。

今回のような火を使う実験にとっちゃ雨はまさしく天敵。当日は「夜は雪」という予想もあり、「雪の中のキャンプファイヤーってのも粋だよなぁ…」と思ったものの、井形組んで火がつかなければどうにもならん。しかもだいたいの公園って「火遊び禁止」って書いてあるんだよねぇ。ということであえなく撤退。


「俺達終わっちゃったのかなぁ」「まだ始まってもいねえよ!」そんな光景。

ということで翌日「火遊び禁止」と書かれてない公園で実験することにして、まずはシミュレーションとして、本番前に自宅で井形を組んでみる。


オニオンフライっぽいポテロング。
メキシコの祭りの飾りみたいな派手さのクレヨン

ポテロングは組むだけで飲み屋に出てきそうなツマミっぽい雰囲気に…このまま揚げてサラダの上に置けば「当店のおすすめサラダ・ポテトフライキャンプファイヤー風・気のおけない仲間との食事にどうぞ!」とかダイニングバーとかでウッカリ出されても気づかなさそう。

もうひとつのクレヨンは円筒型だけにコロコロ転がって、井形に組むのが大変だけど、まぁナントカなりそう。しかし、ここで問題になったのがハイソフト。


井形に組んだらキャンプファイヤーというよりジェンカみたいになってしまった。

他2つはソコソコの長さもあったし、火を落とす穴も開けることは出来たけれど、ハイソフトの短さでは井型にならない。なにしろコレを下から炙ってもキャンプファイヤー風とは言えないし…。で、そこで改良案。

二つをホッチキスで連結して長めにすると…

井形じゃないけどキャンプファイヤー風にはなった。

と、3種によるキャンプファイヤー挑戦の資格はなんとかゲット。♪きみの〜行く〜道は〜、と脳内でキャンプイメージを重ねつつ翌日を待つ。

 

その1・キャラメルファイヤー

翌日、まずは全部をホッチキスで連結と手間をかけたキャラメルファイヤーに挑戦。セッティングしてると、井形のキャラメルタワーが醸し出す「祭りの予感」に惹かれてか、見学客がひょこひょこ。


何するんすか?

ああいいさ、上手く行ったら共にオクラホマミキサーを踊ろう。その小ささゆえ下からは点火出来ないので、着火剤を上から中央の穴から落としてレッツファイヤー!。宴の始まりだ!

キャラメルキャンプに灯が点る!

色といいホチキスで引き締まった感じといい、一見すると砦のように頑丈に見えるキャラメル製キャンプファイヤー。しかし点火後から一分半ほど経ったころから全体がジワ〜っと歪みを生じだし、そして遂に…。

見た目堅牢なキャラメル柱も泡立ちはじめ…
真ん中から折れ曲がるように
ドームの崩壊が始まる!
熱でぐんにゃり

見た目が頑丈そうだけに溶ける姿はプチ・スペクタクル。とはいえキャラメルだけに甘ったるい匂いもほわ〜んと。このままだと着火剤と相まって焦げくさいけど、ちょいと工夫すればデザートなんかでもありかもしれない。目の前でウェイターが溶かしてアイスクリームにトロ〜リお届け!とか。

焦げくさいけど溶けててうまそーです。

 

その2・ポテロングファイヤー

続いてポテロング・キャンプファイヤー。デイリーライターの佐倉さんから「ポテトチップスって着火剤の代わりになるらしいですよ」と伊東家的情報を聞いたのもあって同じコーン菓子類として期待はしてたけど…


点火して最初はこんなもんだけど
おお、いかにもキャンプファイヤー…は一瞬で
30秒でもうこんなに。
1分で原型を留めないほど炎上!

予想以上の火の広がりのスピード。スナック菓子は火気の近くに置いちゃダメー!という教訓を得た思いです。ここまで燃えるとは…たしかに本物のキャンプファイヤーの着火剤として十分使えそうです。または本番のキャンプファイヤー前にコレでテンション上げるとか。

火事で全焼した家みたいになっちゃいました。

 

その3・クレヨンファイヤー

クレヨンの材質に含まれているのは「ワックス・オイル」。持った質感もロウソクっぽいし、ということでうまく点火できたら結構燃えるのでは?という予測の元にファイヤー!


メキシコあたりの祭り用ランプに見えないこともない。
点火後1分、溶けてサイケな模様が出来てきたよ
1分30秒、サイケを越えてドス黒く
意外と燃える!あわてて消しました。

ロウソクの蝋の部分だけだとなかなか燃えないように、なかなか火がつかないのでは…と思ってたのが、この3種の中で最もデカい炎を上げたのがクレヨン。最初こそカラフルな色彩だったのもつかのま、色は混ざり合ってダークになるわ、火はスゴイわで大変なことに。これからはクレヨンで絵書きながらポテロング食べるのも火気厳禁だ!

「井」だけでなく「丼」も作ってみました。

井形が生むお手軽な非日常(でも危険よ)

ひとつくらい火が点かずにありゃりゃ、となるかと思ったらどれも豪快に炎を起こして正直驚いた。「井形」というキャンプファイヤーならではの図形が生んだブラック・マジックなのだろうか?(違います)

ともかくポテロングであれクレヨンであれキャラメルであれ、火をつけずとも井形にするだけで祝祭ぽくなる。キャンプファイヤーのマジックとは、「火」にあるのではなく「井形」にあるのか?

マンネリな食卓や職場も、テーブルの上をちょいと井形に飾ってみたりするとキャンプファイヤーマジックがそこに起こるかもしれない。でも火には気をつけて!


 

▲トップに戻る コネタバックナンバーへ
 
 


個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.