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コネタ


コネタ1011
 
幻の酒は本当にうまいのか

幻の酒と呼ばれている泡盛がある。日本最南端の有人島、波照間島で作られている泡波という酒だ。なんでも生産量がかなり少ないらしく、できた酒は島民がほとんど飲んじゃうので外部に出ないらしいのだ。だからネットショップだと一升瓶で3万円くらいする。

そんな幻の酒を飲む機会に恵まれたので、本当にうまいのかどうか確かめてみました。

安藤 昌教

これが幻の酒、泡波。

酒は怖いです

これが幻の酒、泡波。知り合いが酔った勢いで「おれんちにある泡波、飲ませてやるよ」って言ってしまった。それを周りは聞き逃さなかったのだ。しらばっくれようとする彼に「録音してある」という女性が現れとどめをさした。そして今回の企画にいたった。

名残惜しそうに写真を撮る提供者。
提供者のTさんは直前までラベルの偽造を考えていたらしい。だけど結局観念して本物の泡波を持参してやってきた。えらいと思う。僕ならば家に泥棒が入った、とかなんとか言って飲まれる前にオークションで売る。
幻のラベル、サイドビュー
キャップにはデイゴの花の絵が

 

飲み比べてみます

今回、幻の酒のうまさを検証するため、一般的に売られている泡盛も用意した。一升瓶でだいたい2000円くらいで買える酒だ。その価格差約15倍。これら二つを飲み比べることで違いをはっきりと体感しようというわけだ。

そしていよいよ泡波のビンが提供者Tさんの手によって開けられた。みんなの顔が期待に満ちた笑顔に変わる中、Tさんの目だけが笑っていなかった。

気にせずに早速飲み比べてみよう。


うむ。
うむうむ。
うむむー。

恐る恐る一口含んでみる。

・・・。

泡波と一般的な泡盛とを交互に試す。どちらも含んだ瞬間、泡盛特有の甘い香りが口に広がるのだが、正直その違いはよくわからなかった。緊張していたのかもしれない。もう一口含んでみる。

・・・。

なんとなく二つの酒のタイプの違いはわかる気がする。うん、確かに違う、だけどどちらがうまいのか、と聞かれるとよくわからない。どちらもうまい。


正直僕はそれほど泡盛に詳しくないので、その違いを言葉にできなかったのかもしれない。そこでその場に居合わせた人にも飲み比べをしてもらった。

まず香りからして違うわね。
うん、明らかに違うよ。
こっちの方が濃いような気がするなあ。
いや、どっちも濃いよね。

気分の問題なのかもしれません

幻の酒、泡波と一般的な泡盛とを飲み比べていただき、出てきた感想をいくつか。

  • 泡波の方がとげとげしている
  • 泡波の方が後味がすっとしている
  • 泡波の方が太い味だ
  • 泡波には「くせ」が残っている
などなど

どれもこれもぼんやりとした感想ばかりだ。たぶんよくわからない、っていうのが本当のところなんじゃないだろうか。実際にどちらが泡波かを隠して飲み比べてもらったところ、半分以上の人が外した。それどころか安い泡盛の方がうまい、という意見でまとまりそうにすらなった。提供者が目の前にいた手前、それだけは言ってはいけない、と思っていたのに。

泡波はもともと波照間島の島民向けに少量生産されてきた酒らしい。数が少ないためにプレミアが付き価格が上がってしまったのだ。過剰なブームの犠牲になってしまったといえなくもない。とはいえ高い酒を飲む、という行為はそれ自体気持ちがいいです。何かのお祝いにでも、奮発して幻の酒はいかがでしょうか。


 

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