先月、楽器フェアに行ったら表面を樹脂でコーティングしたギターが展示されていた。
ツルツルテカテカでなんだかいいものに見えた。
透明なもので覆ってしまえばなにやらいいものに見える。クリスタルの輝き。樹脂ってすげえ。ギターよりも樹脂に魅せられて帰ってきた。
どうでもいいものを樹脂で固めてみよう。キラキラ輝くものに変身するかもしれない。(林 雄司)
前準備
樹脂を買いに東急ハンズに行く。樹脂・型どりのコーナーでなるべく透明度の高いものが欲しいと伝ると、クリスタルレジン2という商品を教えてくれた。
「これは成分は接着剤なんですよ。固まる時間を遅くしてある接着剤。固まるのに24時間かかりますが、暖めればいいんです。40度にして4〜5時間ですね。」
樹脂コーナーの店員さんはいきいきと教えてくれた。そういえば耳コピーのときもそうだった。聞いてると僕も嬉しくなってくる。
「固める欲」というものがあるのかもしれない。少なくとも店員さんと僕のふたりには、ある。
クリスタルレジンII
2液を混ぜて型に流し込みます
さて、なにを固めようか
この手のもので固めるのは、ドライフラワー、昆虫標本、自作の人形などだ。思い入れがあって永遠に保存したいモノである。
そういうものからいちばん離れているものにしたい。樹脂によってそれらがどれほど輝くかを見たいのだ。彼らが昇華するさまを。
悩まずに目についた順できめてしまおう。えーと…
これでいいや
コンビニ弁当についていた七味だ。思い入れからいちばん遠い。でもこういうさりげないものにリアルや時代的な価値があると思っている。
♪なんでもないようなことがー幸せだったと…、までは言わないが、今回は七味をクリスタルに閉じこめます。
七味投入
七味を浮かべてさらにクリスタルレジンII を流し込む。
> 「おれのクリスタルレジンを流し込む」ってなんかエロい。
とメモに書いてあるが揮発性の薬品をかいで少しへんになっていたのかもしれない。
七味が浮いてきてしまったので針で強引に留める。
ぷっすり
重いものを固めるときは、2回に分けて固めると沈まないと東急ハンズの店員さんが言っていたのだが、七味は軽いからいいだろうと一気に流し込んでしまったのだ。
そしたら浮いてきた。まあ、針もいいあんばいにクリスタルになるかもしれないし。いいだろう。
かたまるまで24時間放置する(週末に作業してます)。
19:00 流し込み完了
2:00 隣の部屋でテレビ
6:00 就寝
12:00 起床
17:00 もう夕方
19:00 どれどれ
おそるおそるシリコンの型をねじってみると樹脂が型からはがれた。
ぺりっと
もうじゅうぶん固まっているようだ。一気に外してみよう。すべすべとした、でもずっしりと重みを感じる透明のかたまりが出てきた。
落とした七味が床に着く瞬間で時間が止まった、みたいに見えるよね!
透明なブロックのなかに七味が浮いている。この七味は時間を超えて永久に閉じこめられた。
僕が60になっても70になってもこの七味はこのままだ。と考えたらなんだかめんどくさくなってきた。
マジックカットもかたなし
オーパーツ?
その時代の技術では作れなかったはずのものをオーパーツという。古代遺跡から発掘された水晶製のドクロなどで、真贋(しんがん)が論議されている。
この七味クリスタルも1000年後に発見されたらオーパーツだと思われないだろうか。
いや、樹脂で固める技術も七味唐辛子もあったことはわかってるはずなので、七味を樹脂で固めたばかがいた、ということが分かるだけか。
固めて終わり