京都に、極太のうどんを食べさせる店があるという話を聞いた。ずいぶん前に聞いた。
聞くところによると、極太のうどんが1本、どんぶりに入っただけなのだという。具も一切入っていないらしい。
「それは是非、一度食べてみなければ」と思いながら、幾年月。
先日、ついに憧れのうどんを食べてきました
(高瀬 克子)
1年ごしのリベンジです
この名物うどんを食べさせてくれるのは、北野天満宮の近くにある「たわらや」という店。
実はこの店には去年も来ている。やはりコネタにしようと店を訪れたのだが、待っていたのは「もう太いうどんは売り切れましたんや〜」という無情なひとこと。
そんなわけで、今年は早めに出かけた。早すぎたので北野天満宮でブラブラ時間を潰したほどである。気合い入りまくりだ。
学問の神様を祀っているだけあって、境内には受験生の姿もチラホラと見られた。私も「仕事がうまくいきますように」などと呟きながら、意味も分からず、あちこちに置かれた牛を触りまくる。
いかん、そろそろ昼時だ。店へ急ごう。今年もまた売り切れていたらシャレにならない。
席へ着くなり「たわらやうどん」を注文。周りを見回しても、観光客っぽいお客さんは、ほとんどがこのうどんを注文していた。
名物うどん大人気。なるほど、早い時間に売り切れるわけです。
壁には芸能人のサインがいくつか飾ってあった。「テレビでおなじみ」と書いてあったが、このうどん、実はものすごく有名なんだろうか。私が知らなかっただけで、コネタにする価値などないのだろうか。
…など、不安に思いながら待つこと数分。うどんが来ました。
噂には聞いていたが、そのあまりの太さに、驚きながらもつい笑ってしまった。麺の直径は2センチくらいあるんじゃないだろうか。
薬味のおろし生姜を入れ、箸で麺を持ってみる。
おや?「太いうどんが1本」と聞いていたが、どうやら2本入っている模様だ。
店の方に聞いてみると「昔は確かに1本やったし、もっと太かったんですが…」とのこと。茹で上げるのに時間がかかる(今の太さで1時間)のと、喉に詰まらせたら危険だとの理由から、現在では2本になったらしい。なんと、これより太かったとは。
さっそく食べてみよう。それにしても、麺の重さが尋常じゃない。
非常にもっちりとしていてコシがある。初めて食べる食感だ。
もちろん、うどんのようにズルズルと啜ることは出来ない。ズ、ズ、ズ、と、少しずつ口の中へ押し込んでいき、じっくりと咀嚼。
その太さゆえ、箸でしっかりと持たないと麺がツユの中に「ビチビチッ」と音を立てて落ちてしまう。なんて活きのいいうどんなんだ。
非常に満足です
これ以上に噛み応えのある麺料理が他にあるだろうか。そして、ちゃんと美味しい。さらに、ダシの効いたお汁も大変においしい。薬味として入れたおろし生姜のせいか、体がホカホカと温まる。
「名物にうまいものなし」と言いますが、このうどんに関しては当てはまらないようです。京都へお出かけの際は、是非。