明らかに目が回っている。地面が正確にとらえられず、まっすぐに歩くつもりが右へ右へと流れていってしまった。頭が地面に吸い寄せられるようだ。
目を回す運動でも目は回るか
さて、ではこのバットで回ったときと同じ状況が「目を回す運動」で起こりえるんだろうか。早速目を回す運動をしていきましょう。
と、実践しようとして気がついたのだが、果たして何分間ぐらい目を回せばいいんだろう。そもそもこの「目を回す運動」が人間としてどれぐらいの時間続けられるのかも分からない。
ストップウォッチを用意して、まずは小手調べに1分間回してみることにした。なお、タイムキーパーはデイリーポータルのコーディング担当の橋田さんにお願いした。
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まずは1分 |
目を回す速度はだいたい毎秒約1回転。60回弱回すことになる。では、1分スタート!
カップラーメンにお湯を注いだあとの3分が長いように、目を回し続ける1分もかなり長いものだった。目のまわりの筋肉がだんだん疲れてきて、目の動きに滑らかさがなくなっていくのが分かる。これはもしかして、目が回っている状態なのか?
「はいっ、一分経過!」
タイムキーパーの声を受け、おそるおそる立ち上がった。歩けた。普通にまっすぐ歩けた。終了後の感想は「なんだー、楽勝じゃん!」というものだった。
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目回し運動直後の様子 |
が、↑のパラパラ写真を見ていただければ分かると思うのだが、なんだか様子が変だ。むちゃくちゃ笑っている。
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なんだこの笑顔は |
実験当時は「全然目ぇ回らないじゃん!」という結果が面白くて笑っていたのだと思うが、今こうして写真を見ると(この記事の作成は実験2日後)正気とは思えない。
目を回す運動を続けると、フィジカルな平衡感覚は失わないが、メンタルな平衡感覚が麻痺するということなんだろうか。
限界まで回してみよう
さらに深い検証が必要なようだ。次は目の筋肉の限界まで回してみよう。
やってみると、2分を超えると右目の特に右上の筋肉が吊るようにぴくぴくし始め、目回しは3分弱が限界だった。そして、結果的に3分目を回してもフラフラしたり目が回ることはなかった。が。
上の映像を最後まで見ていただくと分かるのだが、やっぱり終わった後が変なのだ。今度は踊り始めた。くれぐれも言うが、当時は自分がおかしくなっていることに全く気づいていない。
「あはー、全然大丈夫ですよー」
などと言ってタイムキーパー役の橋田さんに笑いかけていた。橋田さんは冷静に受け止めてくれていたが、実際どう思っていたんだろう。今となっては聞けない。
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ぜんぜんだいじょうぶですー |
結局、自力で目を回すと目は回らない、目を回す前に目の筋肉が疲れてしまう。また、目を回す運動が精神に及ぼす影響の調査が今後の大きな課題として残った。
おまけ・トンボの目回しをやってみる
さて、新たな課題を残しつつも実験は終了した訳だが、やはり目が回ってクラクラするところまでいけなかったのは残念だ。私が目を回す様子をずっと見ていた橋田さんによると
「最後の方はちゃんと目、回ってなかったですよ。カクカクしちゃって」
という。確かに疲れてくると滑らかに目が回らなくなってくるのだ。回すというよりも、上下左右、順番に目を動かしているようになってしまう。
そこで、トンボを捕まえるときによくやるように、目の前で棒を回してもらうことにした。棒の先を注目することで自然に目が回るのだ。トンボの場合はこうするとフラフラになって捕まえやすくなる。 |