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コネタ767
 
ラジオ体操スタンプラリー
マイ・スタンプラリーカード。

夏休みがもうすぐ終わる。

気がつけば毎度変わらず、クーラーを浴びつつ寝ては起きての繰り返し。 このままでは社会復帰が危ぶまれる。 だらけきった体に喝を入れ、健康的にならねば。

夏休みで健康といえば、ラジオ体操だ。 そして、ラジオ体操といえばスタンプ。 スタンプで夏休みといえばラリー。

そんなわけでラジオ体操スタンプラリーをすることにした。 マイ・スタンプラリーカードをぶら下げて。 さようなら、ずんぐり体型。 いざ、健康。

(text by うえるりゃこと 上村 裕二

(*)がついている画像はマウスオーバーで変わります。

レッツ・ラリー

と、やる気をだしてみたものの、いわゆる小学生の夏休みラジオ体操のほとんどが、7月末から8月初めに終わってしまっていた。知らなかった。そんなに早くて短かったとは。セミみたいだ。
ならば、夏休み後半でもやっている残り少ない場所を見つけ出しては繰り出して行ってみることにした。

目標はスタンプ10個。高校時代のジャージを取り出し、颯爽と体操ルックに変身。早朝から自転車フル稼働で行ってきます。


ミュージカルのようにダイナミックに。(*)
スタンダードなスタンプでスタート。

初日は夏休み期間中、そして一年中ラジオ体操を開催している新宿中央公園へ。

多くの人たちが早朝から集まっており、白シャツ天国と化している。僕も白シャツでよかった。
この日の参加者数は143人。参加者を数えるのが日課なのだというおじさんが誇らしげにカウンターを見せながら教えてくれた。
「この前なんて200を超えたんだよ。先々週だったかなぁ。」
目をピカピカに輝かせながら語るおじさん。それにしても、カウンターをこんなに楽しそうに操る老人は初めてみる。

6時半。ラジオ体操の放送がスタート。懐かしい音、声がラジカセから響き渡る。
長年のブランクで動きが分からない部分も多々あり、第二に至っては体操自体が変わったのではないかと思わされるほど苦戦。でも、そこは時間が解決してくれるはず。

せめて、分かるところは誰よりもダイナミックにいこう。ラジオ体操は技術じゃない、ハートでやるものだ。そんな心意気を胸に、全力で体操を終えた後は子供たちに混じって記念すべき一つ目のスタンプを獲得。
さらに、場所の欄には直筆サインをしてもらうことにした。


健康な時間に不健康そうなものを。(*)

2日目は世田谷区・石仏公園へ。ここの開始時間は通常のラジオ体操の放送がある6時半からではなく、7時半からだった。
つまり録音ラジオ体操。開始時間が場所によっては違う場合もあるのだ。

そうとは知らなかった僕は6時半に到着してしまい、早朝からハンバーガーを食べながら待つ羽目に。
今後はもっと注意深くラジオ体操に望もう。


エーーックス。(*)
そして、レアサイン。

だが、そう決意をした矢先、またしても地域性の罠に。
翌日の羽根木公園ではスタンプを押すのがラジオ体操前だったらしく、気づいた時にはスタンプの人の姿がどこにもない。しまった、こんなパターンもあるのか。
二日続けてラジオ体操ローカルルールの洗礼を受けたかたちになってしまった。

その代わりにといってはなんだけど、週3度ここに姿を現すという世田谷区のラジオ体操連盟会長さんからスタンプの代わりにサインを頂くことに成功。ラジオ体操歴40年というつわもののレアアイテムだ。

ラジオ体操、想像以上に奥が深い。


「変な白シャツが後ろに来てるよぉ。」
「うわぁ、ホントだ。クスクス。」

5日目。
気づけば一人だけ日なた。

夏休みラジオ体操の本場、小学校へ。

4日目は、新宿区淀橋第四小学校へ。
小学校ということで、近年の状況を踏まえ緊張していたものの、すんなり素通り。不審者として捕まるよりはずっといいので意気揚々と進入する。

ただ、小学校でのラジオ体操に参加できはしても、小学生達の仲間だとは認めてもらえなかったらしい。
子供達が後ろを振り返って僕をチラリと見てはクスクス笑いを繰り返し、遠慮のない好奇の視線を突き刺してくる。そして、妙に周りの人との距離が開いていることにも気づく。やはり、少なからず警戒されてはいるらしい。

そんな子供達とラジオ体操後には『手のひらを太陽に』を合唱することに。青空の下での合唱なんて何年ぶりだろう。

そういえば、去年の夏休みに僕は男だけの車内で尾崎豊や松浦亜弥を合唱していたことを思い出した。でも、そんな苦い思い出も夏の青空に消えていく。ちょっとした心のリハビリにもラジオ体操は適しているようだ。

それと、ご厚意で景品のミニタオルを頂いてしまった。ちなみに、ここのスタンプを30個まで貯めれば学校からの表彰という栄誉ある景品もでるとのこと。
さすがにそれはちょっと僕には無理ですが、どうもありがとうございました。


6日目。
天まで届けー!それー!(*)
はんぶん。

これで6日間が終わり、スタンプカードの半分が埋まった。目標のスタンプ10個も視界に捉えた。

開始当初の、膝を階段に痛打したり、自転車のストッパーを蹴り損ねて足の甲を痛打するという、脳と体のバランスがおかしくなったようなひどい状態から、体も徐々に慣れてきたらしい。
「早寝早起き」の健康的生活を絵に描いたようでいい調子だ。自分の中では宍戸開のような顔つきになってきている気さえする。

健康への実感をかみ締め、後半戦へ。


ラジオ体操ハシゴ作戦発動

ここまで順調に進めてきたスタンプラリー。だが、このままだと間に合わない。少しでも早く、多く埋めなければ。

こうなったら「ラジオ体操ハシゴ」をするしかない。二日目の石仏公園で開始時間の遅い場所があるということに気づき生まれた、開催場所の時間差を利用した作戦。失敗を糧にしたこの作戦でペースアップを狙う。


【7日目(1) 中野区小淀公園 AM6:30】
拳法の達人の如くこなし、
スタンプをもらい、
軽快に移動

【7日目(2) 中野区第十中学校 AM7:00 】
何事もなかったかのように悠然と。
そして、ペタンと。
君たちのメガネは節穴かい?

みごとに大成功。条件はそう甘くないが、時間と位置の条件さえ揃っていればたやすいものだった。何より、中野十中の誰一人、僕がラジオ体操をハシゴしていることに気づいていない。

さらに、小淀公園においては、

「体操のお兄さんかと思いましたよ。」

と言われてしまうという事態に直面。体からあふれ出す健康オーラがそう感じさせたのだろう。ラストスパートへ向けての確かな手ごたえを感じる。


ブウ〜ン。バタバタバター。(*)

8日目、ついに渋谷区に。しかも、オシャレタウン・恵比寿。
とはいっても、実際に行ってみれば別にそんなこともなく、高校ジャージにサンダルでもまったく問題ない見慣れた体操空間が広がっている。
恵比寿であっても、ラジオ体操はラジオ体操だった。

ここでスタンプ9つ目を獲得し、やっと10個にリーチがかかった。
いよいよクライマックス。


クライマックスは雨の中

9日目。ついに10個目のスタンプをもらう日となった。
今日はラジオ体操最終日を迎える場所に行って、参加賞をもらって有終の美をかざりたい。そう思っていたのだが・・・、


試練の時。

雨。

確かに、昨日の夜からしとしとと降り続いていて嫌な予感はしていた。それにしても大詰めに来てこの展開とは。
ラジオ体操の神様からの試練としか言いようがない。

ならば、行ってやる。さすがに自転車は無理なので電車で。


変わらぬ雨模様。
あ、黄色い傘、懐かしい。
ダイナミックの欠片もなく。
でも、達成。(*)
ありがとう、豪華商品。
(マウスオーバーで中身)(*)

到着してはみたものの、変わらぬ雨模様。ラジオ体操はどう見ても中止だ。

ただ、最終日なので参加賞の配布はあるようだ。ポリ袋にいくつもの詰め合わせが詰まっている。うっすら見えるお菓子に心を奪われつつ、最後の一押しへと向かう。

地域の人にカードを見せて頼んでみたところ、少し戸惑われながらもサインを頂くことに成功。

ついに10個目。最後にラジオ体操をしないという不完全燃焼状態ながら達成。眠気と闘いながら自転車をこいでは舞い続けた日々が走馬灯のように甦る。

僕がそんな感慨にふけっていると、地域のおばさんが声をかけてきてくれた。

「今日は残念だったわね。コレ、どうぞ。ご苦労様。」

手渡されたものは、参加賞の袋だった。
実は、地域のスタンプを集めて前日に提出しておいた人たちが列を作っていたため部外者である僕は半ば諦めていたのだ。
僕が、いいんですか?と尋ねると、おばさんはただ、優しい微笑みを浮かべて去っていった。
ラジオ体操の神様は女神だった、おばさんの姿をした。

ありがとう、おばさん。
ありがとう、みんな。
ありがとう、ラジオ体操。
ありがとう、スタンプラリー。
ありがとう、夏。


ありがとう、夏の日

夏の終わりのラジオ体操スタンプラリー。
各地域の方々の優しさに触れ、素敵な時間を過ごすことができました。

僕自身は、驚くほど寝つきが良くなり、目覚ましなしでも6時前に起きてしまうという体になりました。
逆にエライことになってしまった感じです。夜が辛いです。

なにはともあれ、夏の朝の空気、地域の人たちとの交流、子供達の元気、そしてスタンプ。見所溢れる夏の朝の健康的なひと時を、地域によっては図書券など大人も嬉しい景品もありますので、下心も少し隠し持って過ごしてみてはいかがでしょうか?

来年にでも。

結局、全部埋めました。
(クリックでスタンプぽんぽん)

 

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