前に太陽電池で携帯を充電させる装置を作った時、生まれて初めてハンダというものに触った。 なんだこのハンダごてに吸い込まれるようにして溶けてゆくハンダは。抵抗というものを知らないのか。 そして溶接部分に垂らしたハンダの銀色に光るぷるぷるといじらしい姿。 流線型が好きな私は一発で参ってしまった。
こんな形のアクセサリー、欲しい。
という流れるような経緯で、アクセサリー作りに挑戦です。
(佐倉 美穂)
紙粘土で型作り
液体状のハンダはそう思うように形を作ってくれない。熱いし液体だし丸まるし。 なので、今回の工作は型にハンダを流し込んで作る方法にした。
その鋳型には紙粘土をチョイス。油粘土ではハンダの熱で溶けてしまうかと思っての選択だ。 しかし粘土。触らなくなって久しい。
今回使用するのは「軽い紙粘土」。ただ安かっただけなのだが、持って驚いた。本当に軽いのだ。そのふわふわ感、はんぺんの如し。
さて、型作りは簡単。 軽く濡らした紙粘土を適当な大きさにちぎってこね、平らに伸ばしたら、作りたい形を爪楊枝で彫るだけ。 それと、作ってみたかったものに「鍵」もある。 鋳型に流したハンダで作った鍵で、果たして錠は開くのだろうか?
私の愛車、ママチャリの鍵を粘土に押しつけ、鋳型完成。 しばし外で乾燥させ、硬くする。
流し込みますよ
紙粘土がまあまあ硬くなったところで、ハンダの流し込みを開始。
長細いハンダは、いくらコテで溶かしてもなかなか滴にならず、これでもかこれでもかと溶かしてゆく。 そして型に落としたハンダ塊が、これまた言うことを聞かない。 表面張力が強いのか、どんどん塊ができるだけで、横に伸びようとしない。輪になっている部分もつながろうとしない。やっとの思いで繋げたら、他が切れてしまうという塩梅だ。
まるでラーメンに浮かんでいる油の水玉を繋げようとしても、細くなったところでぷつんと油が切れてしまい、なかなか一つにまとまらない感じだ。
思いの外ハンダを消費し、途中で買い出しに行くというトラブルも乗り越え、なんとか全部の鋳型に流し込むことができた。
ハンダが冷めて固まったら、そっと型から外す。
と、どうだ。 鋳型にはまっていた方は、爪楊枝で彫った線が出てしまい、ガタガタになってしまったが、表になっていた側は十分アクセサリーで通用する。 路上で売ってそうだ。
早速チェーンを通し、首に下げてみる。
「あ、これ? クリスマスにもらったの」なんてのよりずっとスペシャルな逸品に仕上がった。
作品全てをちょっと小粋なおしゃれ雑貨屋を意識してディスプレイしてみた。
オープンハートに、しずく型のペンダントヘッド。小さいのは丸いペンダントヘッドだ。鎖に通す金具も埋め込んである。 それと、鍵。
そして鍵は
もう一つの目的だった鍵で、自転車の錠を開けてみる。
問題外だった。厚さが違う。全く入らない。 ハンダは丸く出来上がってしまうので、まあ、予想はしていた。片面しか型を取っていないし。 それにこんな簡単に鍵が作れても怖いし。
なので、失敗のように見えてこれで大成功なのだ。イエー。