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コネタ


コネタ687
 
処方せん受付のある薬局の店名はなぜ横文字なのか

すさまじい共感と賛辞の声が聞こえる。

「そうそう」「あるある」「気になってたのよ〜」

日常生活の中で誰もが疑問を抱いていた問題「処方せん受付のある薬局の店名はなぜアルファベット名などの横文字が多いのか」に真っ向勝負だ。

ホントだって!

(text by 吉田ジョージ

阪急上新庄駅近辺「オーケー薬局」

ほらっほら〜!はりきって採集!

「OK」薬局では社長さんにご対応いただいた。

「私のイニシャルです。Oが姓でKが名。逆だとKO薬局で絶対繁盛しないよね。アルファベット名の薬局が多い?さくらとかひまわりとか花の名前の方が多いでしょ」


高槻市内「オーティ薬局」

「OT」薬局では従業員の皆さんに。

「創業者名と創業者が以前いた病院名の頭文字らしいけど」


阪急淡路駅近辺「エムケー薬局」

「MK」薬局では「責任者が不在なので」とお答えいただけなかった。

他店にて得た情報によると、「MKさんも創業者のイニシャルだと思う」とのこと。


地下鉄扇町駅近辺「エスエス薬局」

「SS」薬局では薬剤師の皆さんから。

「創業者が元々エスエス製薬にいたかららしいわよ。アルファベット名が多い理由?かっこいいからじゃないの。アップルやオレンジなど果物名の方が多くないかしら」


高槻市内「ABC薬局」

「ABC」薬局では店長さん。

「うちは覚えやすいからやで〜。何かの頭文字ってことはないわな。何でアルファベット名がぎょうさんあるかて、こっちが教えてほしいくらいやわ」

 

全っ然わかんね〜!思いきって推論!

店名由来は、ほとんどが創業者のイニシャルからきていた。しかし、例えば山田太郎さんが魚屋を開業する場合、山田鮮魚店あたりに落ち着くのが自然ではないか。YT鮮魚店なんて候補にもあがらないはず。石田太郎だとIT鮮魚店でネット通販専門みたいだし。

思い返してみると、どこの店も具体的に創業者の名前を明かした所は無かったし、他のたぐいの店名へと注意を逸らす言動も目立った。私は名刺を提示し身分を明らかに取材しているにもかかわらずだ。

ひょっとすると、イニシャルにするのは匿名性の向上にこそ主たる目的があるのではないか。

近年、全国展開で大成功を収めたドラッグストアチェーン「マツモトキヨシ」の創業者フルネームを店名に冠するという真逆の発想に、当時の業界は戦々恐々としたのではないか。

しかし、肝心の匿名性を追求する理由が見えて来ない。一体、どんな陰謀が渦巻いているというのか。

 

薬剤師ICさんの見解

袋小路からの脱出を目論み、製薬会社に勤務する薬剤師のICさんに話を聞いた。やっぱり、イニシャルかい!

まずは処方せん受付のある薬局とない薬局の違いから。

「市販の薬より濃度の高い医療用の薬は処方せん受付を行う薬局でないと販売できません」

次になぜ横文字店名が多いのか。

「横文字の名前はチェーン展開しているからでしょう。多く感じるのは単純に店舗数が多いから目に付きやすいのでは。店舗が多いとノウハウもあるし、人材も他店舗の経験者を投入しやすく、経営難に陥るリスクが低い。例えば名前が山田薬局のような個人経営の薬局はコネクションのあるドクターが開業する際に門前薬局としてオープンしたというパターンが多いと思うけど、処方せんはほぼ1ケ所からに限定されるので、チェーン店に進出されると経営が厳しくなるんです」

なるほど、処方せんの出所たる病院1つに対して薬局ばかりが増えては、個人店はたまったものではない。

 

まとまらぬまとめ

もしかするとあくまでも推測だが処方せん薬局に横文字店名が多いのは単純に個人名にしていると他店からなめられるからではないか。

となると、処方せんの取り扱いを別にして「マツモトキヨシ」はその店名で業界にアンチテーゼを示したってのは大ズレでもないような・・・。

でも、薬局の経営って大変なのね。これからは個人名の小さな薬局も応援しよう。

誰か、うまいまとめ方の処方せんをくださ〜い。

<番外編>

阪急淡路駅近辺「コスモスミルフィー薬局」
おいしいケーキと紅茶がいただけそう。

 

阪急上新庄駅近辺「かるがも薬局」
え〜!動物の名前も。

 

阪急高槻市駅近辺「かかりつけ薬局」
ついつい通いたくなる。

 

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