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コネタ


コネタ460
 
虫缶なんて食えないよ

私はもう、本当にイヤでイヤでたまらないのだ。

ここにふたつのカンヅメがある。このふたつのカンヅメは、ある人から「ネタに詰まったときに使うといいよ」といって、去年の年末に渡されたものだが、なんとか今日まで使うことなくやっていくことが出来た。
しかし、今回、諸事情により予定していたコネタをお届けできなくなってしまい、かわりに遂に日の目を浴びることになった次第である。

本当は、缶詰にはこのまま日の目を浴びることなくその余生をすごしていただきたかったのだが、他にかわりになりそうなネタもない。どうやら虫を食べずに済ます訳にはいかないようだ。
やれやれ。 蠅が一匹でも部屋の中を飛んでいれば、その蠅が絶命するまで殺虫剤をまき散らすこの私が、みずからの意志で虫を食べることになろうとは、人生どう転ぶかまったくもって分からないものであります。

なお、これから先にある画像は、読者の方に不快感を感じさせる恐れがあります。その辺をご留意していただきながら、本稿をお読み頂けると幸いです。(text by 宮崎晋平


編集部注:

一部の写真がグロテスクだったため、写真を差し替えてあります。オリジナルの原稿をご覧になりたいかたは本ページ末尾の案内をお読みください。

その1:ポンテギ

というわけで虫の缶詰である。
ひとつには「ざざむしの大和煮」と書いてあり、もうひとつの缶詰は書かれた文字が全てハングル語だった。文字ではまったくその中身についての情報が得られないが、 パッケージには中身の写真が堂々と掲載してある。
日本ではスーパーにこんな商品が並んでいるのを見たことがないが、ハングル語圏の国ではめずらしくもなんともない、日本でいえば焼き鳥の缶 詰みたいな感じでスーパーに並んでいるのかもしれない。その光景を想像するとちょっと不気味だ。
もしかしたら他にも種類があるのかもしれない。これは比較的短い虫が沢山入っているけど、なにかのために全長3mの細長い虫がとぐろをまいて収まっている缶 詰が売っていたとしても、不気味ではあるが不思議ではない。
異国の食文化の驚異の前に、ただひたすら頭を垂れるだけの筆者であった。


全ての文字がハングル語で書いてあるため、文字情報からはなにも得ることができない。

この缶詰の写真が変に想像力をかき立てる。


さすがにこれは食べるわけにはいかない。というか、絶対に食べれない。蠅一匹で云々するような人間が、こんなもん食べれるはずないのだ。だってよく分からない虫なんて、食べちゃいけないって教育されてるだろ!? 僕の小学校の時の友達の生田君はすげえ貧乏で、おやつによくカマキリとかをライターであぶって食べてましたけど。

ということで、プルトップ式のふたをあけてみると……。


ジャーン! ちょっとピンぼけの写 真で逆に良かったと思うよ。
編集部注)写真を差し替えてあります。

缶詰の中からは、ここ3年くらい人の手に触れられてない納屋のような匂いがした。とりあえず何匹かつまみ出して皿の上に載せてみる。


これはいったいなに虫っていうんだろう……。
編集部注)写真を差し替えてあります。

味の方は推して知るべしだ。実際に食したが、あえてここに書き記す必要はないだろう。強いて言えば、グジャッとした噛み心地のあと、ここ3年くらい人の手に触れられてない納屋のような味が口の中に広がった、とだけ書き記しておこう。
ちなみにこの虫はポンテギというもので、絹糸の繭を作る蚕のさなぎからできている、韓国ではポピュラーなものなのだそうだ。

さて、次の缶詰にいってみよう。

その2:さざむし


缶詰には一応日本語で記載されているが……。

「トビケラ類川虫の幼虫」っていったいなんだ!?


ざざむしは野県伊那地方の名物だが、 日本にはいなごを佃煮をする風習もあり、それは僕も一度ならず口にしたことがある。小学校の給食にも出たような気がする。
なんだかイケそうな気がしてきたが、お相手はトビケラである。もしあなたの親族が子どもの名前にトビケラってつけるっていったら、絶対に反対するよね、意味分かんないもの。そんなトビケラ類の川虫の、さらに幼虫だというんだから大変だ。いったい奴はどんななりをしているんだ?

早速缶詰を開けてみよう。


缶詰を開けると、一面にびっしりと黒いものが詰まっている。

一匹でみたところ。釣りエサにそっくりの風貌だ。
編集部注)写真を差し替えてあります。


お皿にもりつけたところ。うじゃうじゃしていてかなり不気味です。
編集部注)写真を差し替えてあります。

味は大和煮だからと安心していると、今まで味わったことのない様な酸味が口の中に広がる。細かい襞々が舌に触る感触が不気味だ。中にはこれでごはんがおかわりできる読者の方もいるかもしれないが、残念ながら筆者は違った。もう勘弁である。

海外はもちろん日本の食文化でさえ、我々の常識とはかけ離れたところにあるということが、今回の缶 詰の一件でわかった。だって、家に上のような虫が出たら殺虫剤を撒くでしょう。あまつさえそれを捕まえて大和煮にして食べるというのは、驚愕を禁じ得ません(匂いは大和煮だから美味しそうなんだけど)。

ということで缶詰のリポートは以上です。
また何かの訳にたてたら幸いです。
それじゃあね、チャオ☆

おわり

 

編集部注:

最後までお読みいただき、ありがとうございました。オリジナルの原稿をご覧になりたいかたは以下のテキストをクリックしてください。

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