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コネタ


コネタ456
 
ターコス屋さんのバーガーセット

以前沖縄の吉野家ではタコライスが食べられるということを紹介したように、沖縄にはタコスやタコライスを扱うお店が多い。そこにはアメリカ人を相手に商売をしていたという歴史的背景があるわけだけど、おかげで沖縄に住む我々にとってタコスはポピュラーなファーストフードとして定着している。

そんな沖縄のタコス屋さんでたまたま注文したバーガーセットがたいへんなことになっていました。

安藤 昌教

写真が暗くてごめんなさい。なにせ夜ですので。

タコス、ユビキタス

ここキングタコスは県内にチェーン展開している老舗のタコス屋。あのタコライス発祥の地といわれていて、地元ではキンタコとも呼ばれ親しまれている。

現在夜11時過ぎ。僕が以前住んでいた町ではこのくらいの時間になると開いているのは牛丼屋かファミレスくらいだった。だけど沖縄はこのくらいの時間からむしろエンジンがかかってくる。12時1時まで開いている洋服屋さんやスーパーもざらだ。ちなみにここキンタコは24時間営業。沖縄にいる限り僕達はいつでも好きな時間にタコスが食えるのだ。


ターコス。

タコスではなくターコス

看板にはでかでかとキングターコスと書かれていた。ターコス。これは実際につぶやいてもらうとわかるのだが、タコスよりターコスの方がネイティブっぽい発音になる。キングターコス、アクセントはタの上に。

このほかにも沖縄ではアメリカ人の発音を聞いたままにカタカナに変えて使っているケースがいくつかある。例えば冷たい水のことをアイスワーラー(ice water)と言ったりツナをトゥーナと言ったり。確かにその方がネイティブの発音には近い。


高速のパーキングエリアみたいな勢いのメニュー表。

まだ見ぬバーガーに期待が膨らみます

実は前にこの店に来たとき、元祖タコライスチーズを注文して驚かされた。
なにがって、その量の多さに。うまいのだが食べきれないのだ。その迫力たるや恐竜大戦争かと思った。

この日も夜まで仕事してすごくおなかがすいていたので元祖タコライスチーズといってみたいところだったが、他のメニューも体験してみたいという好奇心から今回はジャンボバーガーを注文することにした。値段はポテトを付けて650円。まあ大手ハンバーガーチェーンのセットメニューとたいして変わらない金額だ。


テキパキと自分の仕事をこなしています。

店内は夜11時をまわっているというのにほぼ満員状態だった。持ち帰りのターコス待ちのお客が飢えた目つきでカウンター越しに厨房を覗き込んでいる。客層はまちまち。お店の近くには大学があることから大学生らしき若者も多いのだが、他にも会社帰りっぽいスーツの中年男性やらなぜか夜中なのに小さな子供を連れたお母さんとかもいる。

厨房ではすばらしい手際の良さでレタスやら肉やらチーズやらが皿にもりもりと盛られていた。店員さんはほとんど無言で自分の仕事をこなしているのだが、お客が入ったときと帰るときには揃えたように一斉に「いらっしゃいませー」「ありがとうございましたー」の声が出る。忙しくても心で通じ合っているのだ。

そして待つこと数分。ついに次は僕の順番がやってきた。


どーん。

期待を裏切らないジャンボぶり

「はい、おまたせしました、バーガーとポテトのお客様」

ああ僕です僕です。

・・・お。


一瞬何が起きたのかわからなくなります。

ハンバーガーのセットをカウンターまで取りに行くとき、遠近感が狂っているのかと思った。ハンバーガーは皿と同じくらいの大きさだし、ポテトは盛れるだけ盛ってある。これを見てしまうともう普通のサイズでバリューセットだとか言ってられない。

しばしジャンボサイズのバーガーと皿に盛られすぎたポテトを前に立ち尽くすしかなかった。


食べても食べても減らないポテト。

うまい、だけどでかい

我に返って食べ始める。そうだおれ、腹が減ってたんだ。ジャンボバーガーは食べても食べても減らない魔法の食べ物みたいだった。だけど味はけっして大雑把ではなく、中にはトマトだとかレタスだとかもちろん肉もしっかり過ぎるほどつまっていてお世辞抜きにうまかった。確かにうまい、だが多いのだ。

一人前これだけの量を出していて、しかもいつ行ってもお客がいっぱいいる。ということはいったいどれだけの食材を毎日仕入れているのだろうか。店の裏にはポテトのコンテナでもあるんじゃないか、そう思うほど。


食券を買うとカウンターで渡してもらえる券。文化祭みたいです。

あの頃を思い出しました

子供だった昔、ビッグマックが果てしなく大きく見えたものだ。こんなに大きなハンバーガー、いつか一人で食べられるようになるのだろうか。そんな遠い日の憧れがよみがえった。やがて僕らも大人になり、今ではビッグマック一つでは物足りなくさえなってしまった。今回、ターコス屋のジャンボバーガーを目の前に、あの頃感じたどきどき感がよみがえってきたような気がしました。


 

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