店内は夜11時をまわっているというのにほぼ満員状態だった。持ち帰りのターコス待ちのお客が飢えた目つきでカウンター越しに厨房を覗き込んでいる。客層はまちまち。お店の近くには大学があることから大学生らしき若者も多いのだが、他にも会社帰りっぽいスーツの中年男性やらなぜか夜中なのに小さな子供を連れたお母さんとかもいる。
厨房ではすばらしい手際の良さでレタスやら肉やらチーズやらが皿にもりもりと盛られていた。店員さんはほとんど無言で自分の仕事をこなしているのだが、お客が入ったときと帰るときには揃えたように一斉に「いらっしゃいませー」「ありがとうございましたー」の声が出る。忙しくても心で通じ合っているのだ。
そして待つこと数分。ついに次は僕の順番がやってきた。 |