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コネタ


コネタ417
 
「共食いキャラクター」を鑑賞する


どこかで見たようなキャラクタータッチの共食い鳥【大阪】

■スタイリッシュ共食い:鳥

豚、牛、とくれば次は鳥だろう。2005年の干支ということもあり、共食い界でも注目のキャラクターだ。

まずはこのどことなくアメリカンな風合いの共食い鳥をご紹介。はすに構えてこちらを見やるキメのポーズといい、「YAKITORI IZAKAYA」とカタコトの発言といい、日本人ばなれれしている。帰国子女だろうか。

帰国子女で共食い。よくわからないが根深い問題がある気がする。


腰に手をあて、高らかに勝利宣言。いやいや、あんた食べられちゃうんですけど。【本八幡】

こちらも上と同じようなテイストで描かれている。このように、豚や牛と比べ、鳥のキャラクターにはそつがなく安定した描写のものが多い。

しかもみなさん比較的能天気な感じ。この例でも腰に手を当て、高らかに「一番!」と宣言。あしもとにはスニーカー。すこしは人生について考えた方がよいのではないだろうか。


そんなラッパーみたいなポーズで「食べよう!」て。

より積極的に仲間を食べることを推奨する鳥。ついに言葉にしてしまったか、という感じである。

こちらも上の2つと似たようなタッチで描かれている。スタイリッシュ。なんか上半身だけ服着てるし。

ポーズもなんだかラッパーみたいでなんかむかつく。「食べYO!」でなかっただけまだましとするべきか。


人が良さそうな共食いキャラクター。「人が良い共食い」って意味分からないですが。【小平】

こちらはマスター気取りの共食い鳥。穏やかな表情に人の良さがにじみ出ているが、その実体は共食い鳥。ビール片手に今日も仲間を喰らう。「心優しき殺人者」みたいな感じか。

近所でも「共食いさえしなければいい人なのにねえ」と評判だとか。


浮かれた感じの共食い鳥。焼き鳥片手に軽やかなステップ。【五反田】

大井町の共食い豚を髣髴とさせる共食い表現である。その手にはしっかりと焼き鳥が握られている。しかもネギ間。あからさまな共食いプレイ。

五反田のものといい、これといいい、筆でさらりと描かれるようなタッチのキャラクターには要注意という感じである。

 

自ら「いらっしゃいませ」とお客さんを迎えている風に見えなくもないか。【大井町】

■共食いキャラ不毛の地:魚

海の幸共食いキャラクターは、共食いキャラクター鑑賞家の間でもそれほど人気がない。魚という生き物が、擬人化しにくい・キャラ立ちしづらいという特徴を備えているため、積極的な共食いキャラとして成立しにくいからだ。

たとえば左はすし屋店頭でよく見かけるものだが、単純に「食材の紹介」風としての存在の意味合いが大きいことと、あまりに見慣れてしまったことから、まったく共食い感を感じることができない。


共食いかどうかという判断以前に、全体的になんか気持ち悪い。【大井町】

しかし、左のように擬人化されると微妙になってくる。明らかに店のキャラクターとして存在してはいるものの、共食い度という点ではやはり豚や鳥にはかなわない。かなわなくていいんですけど。


単純化された表現のなかに擬人化度がアップ。共食いキャラへと一歩近づいた。【品川】

こちらも上と同様、微妙なところだ。表情は完全に擬人化されており、「おまえ、にっこりしている場合かよ」と感じないでもない。

今気がついたが、魚は豚や牛や鳥などと違って「そのままの姿で」料理され供されるものなので、キャラクター化されてもあまり悲惨な感じを受けないのかもしれない。「活き造り」とかするし。

豚を丸焼きするのが当たり前の民族にとっては、もしかしたら上で紹介した豚のキャラに対してなにも感じないのかもしれない。今後の研究が待たれるところだ。


おまえが言うな。【大井町】

「魚が食べたいな」という鯛。これは完全な共食いである。

しかし、考えてみれば「えびで鯛を釣る」という諺もあるように、そもそも魚の多くが魚を食べるものなのだ。だったら鯛が「魚が食べたい」と言うのは当たり前か。これは自然な営みをリリカルに表現しただけで、共食いとかそういうものではないのかもしれない。

ということで、現在の結論としては「魚に共食いキャラなし」としたい。

 

ガッツポーズのタコたち。いやだからあなたがた食べられちゃうんですけど。【大阪】

■そのほか

西と東それぞれにおける共食い事情で大きく異なるのが、タコの存在感である。

ナニワが誇る食文化のひとつ、たこ焼き。タコ含有量がどれだけ多いかがグレードを決定するとも聞く。おのずと看板でもタコがフィーチャーされがちだ。



協会が満を持して放ったオフィシャルな共食いキャラクター。写真が見づらくて申し訳ない。【品川】

最後にご紹介したいのが、こちらのくじら。共食いキャラとしては最大の動物である。

「守ろう鯨の食文化」て。のんきに潮を吹いている場合か。

地球をバックにグローバルに共食いをアピール。捕鯨反対国の肩を持つわけではないが、くじら自身に「豊かな資源を大切に利用しましょう」とか言われると複雑な気持ちになる。日本捕鯨協会も少し考えた方がいいのではないだろうか。



食材としての正しいあり方だが、これはこれでどうなんだろう。

動物ジャンルごとに見てきた今回の「共食いキャラクター」の実態。共食い感の強さ順で言うと、豚→牛→鳥→魚、というところだろうか。

こうして順位付けしてみると、進化系統的に人間に近いものほど共食い感が強いということが分かる。やはり魚類より鳥類、鳥類より哺乳類というわけだ。

海外でもこういった共食いキャラは見かけられるものなのかどうか詳しいことは知らないが、なんとなく日本特有の現象ではないかという気がする。キャラクター化に慣れたお国柄が、食文化の世界であらぬ方向へと成熟したケースといえまいか。

現代にマルコポーロがいたら、ぼくとしてはこういう日本を案内したい。



 

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