「あなたは空気のような存在よね」と言われたらどんな気がするだろう。 普段気にとめないってこと? それとも重要ってこと? 私は断然後者を支持したい…が、やはり微妙なところだ。
見えない、感じないから蔑ろにされがちな空気。でも無いと死活問題だ。というか死ぬ。
ここで一つ、空気を楽しく見て感じて、その重要さの認識を新たに強く持とうじゃありませんか。
(佐倉 美穂)
一度はやってみたい空気砲
空気砲をご存知だろうか。 特殊な装置はいらない。エアバズーカと表されることもあり、まるで兵器のような形を想像してしまいそうだが、なんてことはない、段ボールに穴を開けただけのシロモノだ。
のっぺりとしたその形。阿部公房の「箱男」がかぶっていたのは実は空気砲だったのだということに今気づいた。 この写真の段ボールも、中に人がいて穴から覗かれていたらどうしよう、と思うと不気味に思えてくる。いやいや、ただの段ボールだって。
その威力を自分で体感
この穴から出る空気の威力は馬鹿にできない。 どれくらいの空気が出るものなのか? 穴を自分に向けて箱の両側をぐっと押す。
ぶおっ
一瞬目が乾くような風が顔を直撃した。 扇風機とまではいかないが、ドライヤーの微風くらいなら再現できていそうだ。 空気の流れを自分で作ったのだという感慨が湧いてくる。おおお。 いやまあ、うちわだって自分で風おこしてますけどね。これは自作の装置ですからね。
今度は目でみてみる
空気砲で有名なのは煙を見る実験だ。 箱の中に煙を充満させ、箱を押すと、穴から輪っか状の煙が回転しながら出てくるのだ。 これは挑戦するでしょう。
線香に火をつけ、箱の中に煙を仕込む。
匂う線香。漏れてきて漂う煙。動かせない手。 台所に置いた空気砲にしゃがんで煙を入れていたのだが、この姿を誰かに発見されても言い訳が難しいだろうな、夜中ならなおのことだ、と思いつつ、煙の充填、完了。
さあ、やるぞ!
写真では不鮮明で申し訳ない。 しかしきちんと煙の輪は飛んだ。あああ、あのドーナツのような煙をお見せできないのが無念だ。
箱の穴から発射された空気は、煙という形を借りて目の前に現れた。空気が、見えた! まっすぐに飛んだその空気は、3m程先にある冷蔵庫のメモをひらひらと揺らした。 この装置、改良すれば露点の射的にも使えるんじゃないか?
節分だし、豆まきをしたい
空気砲の穴から突風が出ることはわかった。 それを使って何かしたい。
そういえばちょうど節分だ。 それならその風で豆を撒こうじゃないか。
節分に豆まきなんて何年ぶりだろう。 そういえば以前いた会社で豆を撒いた気がする。今思えば正月に着物で出勤したり、おかしな会社だった。
それでは空気砲の穴の前に豆をセットし、発射!
これで1年安泰だ。そういえば今年は厄年だった。それも飛んでいってくれただろうか。 鬼と一緒に飛んでゆけー!
空気砲で豆まきしたのなんて我が家だけだろうな、と一人ご満悦。 他にもいろいろ楽しいことができそうですよ、空気砲。 段ボールに穴を開けるだけなので、いろいろ試してみてはいかがでしょう。 これでもう「空気のような存在」が儚げなものだなんて思わない、思わせない。