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コネタ


コネタ392
 
味噌もつ煮込みうどんが復活したよ

これが問題の味噌もつ煮込みうどん


JR東日本の駅構内に展開している立ち食いそばチェーン「あじさい茶屋」。僕もかなりの頻度で愛用している。

昨年10月に投入された新メニュー、「味噌もつ煮込みうどん」が11月に突如として販売中止になったのだ。複数の店で一斉に姿を消した。

目立たないところで起こり、ひっそりと解決していた小さな不安を振り返ります。

林 雄司

とある駅のあじさい茶屋。通は味についていろいろ言ってるみたいだけど、僕は好きです。
東京駅のあじさい茶屋にて。
終電間際の御徒町にて。どこにいったら食べられるのだろう。
新小岩にて。ものすごくおいしいもののように思えてきた。

味噌もつ煮込みうどんは季節限定メニューだった

味噌もつ煮込みうどん(およびそば)は2004年秋の新メニューだった。新メニューは時期をずらして順次投入されてゆくのが恒例で、通勤途中に「味噌もつ煮込みうどん」ののぼりをみて(こんなことを楽しみにするのはどうかと思うけど)、販売開始を密かに楽しみにしていた。

が、新メニュー投入から1ヶ月弱、すべてのあじさい茶屋で販売がストップしてしまったのだ。

なんだなんだ。たとえば品切れになった場合、売り切れになるタイミングにズレがあってもいいだろう。この店ではたくさん仕入れておいたのでまだある、とか。

そう思っていろんな駅のあじさい茶屋に行ってみたがどこにもなかった。考えられる可能性は

・大人気でなくなった
・野菜高騰により価格維持が難しくなった
・まさか、回収?

味噌もつ煮込みうどんだけを食べたい気持ちだけが残った。新メニュー開始直後に食べにいかなったことを後悔したけど、誰にも言わなかった。

 

おばちゃんに聞いてみた

現場の声を聞いてみよう。

僕:「あの味噌もつ煮込みそばってずっと品切れですよね」
おばちゃん:「そうなのよ。人気があってなくなっちゃって、春菊天ならあるけど。」

いや、僕が聞いているのは味噌もつ煮込みのことだ。春菊天じゃない。なにかを隠しているのだろうか。

おばちゃん:「これも人気あるのよ。春菊天」
林:「あ、じゃあそれください。」

頼んじゃったよ。たしかに春菊天もしぶい味でおいしかったが僕が食べたかったのはこれじゃない。別れた恋人を忘れるために別の人とつきあう。

東京ラブストーリーでこんなシーンがあったような気がするけど、忘れた。

ひそやかな、ひそやかなクリスマスプレゼント。

クリスマス前にあっさり復活

12月14日。大森駅のあじさい茶屋の前を通るとあっさり復活していた。小さく「販売開始しました」という文字から関係者の遠慮がちだけど誇しげな気持ちを感じる。常によい知らせは小さな声で伝えられる。

その夕方、じゅうぶんに腹を減らせてから食べてみた。もつ煮込みが入っている。うん。これは確かにもつ煮込みそばだ。僕のあたまのなかでは三大珍味ぐらいのポジションにまでなっていたのだが、地に足が着いた味だった。

ボタンだって押せる。
味噌もつ煮込みそば。430円

また聞いた

それ以来、味噌もつ煮込みうどんは何事もなかったかのように売られている。あの1ヶ月の欠落はなんだったんだろう。復活してしばらく経ってからまた店員に聞いてみた。

僕:「これ、しばらくなかったですよね」
おばちゃん:「え?ああ、これね。そう、すごい人気であっというまになくなっちゃって。ようやく入ってきたのよ」

というとおばちゃんはサービス券をくれた。


3枚も?

おばちゃん:「はい、サービス券」

3枚もくれた。これ以上聞くなというサインかもしれない。そして彼女は仕事にもどった。プラスティックの食器がぶつかる音が店内に響いた。


ほかの客が食べたカレーの匂いが店内に充満する


もつくうよ

もつだけでよくここまで引っぱった

販売中止の理由は分からないが、いまあるからいいじゃないか。過去は過ぎ去ったこと、未来はまだ来てないこと。いまだけ気にしていればいい。空手家の言葉だそうだ。きのう読んだ大槻ケンジさんの本に書いてあった。知ったばかりのその言葉を引用してもつを味わいたい。


 

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