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コネタ


コネタ379
 
大ウナギ井戸
大うなぎ井戸。 Ounagi(Big Eel) Well.

大ウナギ井戸である。
ウナギ+井戸、それがビッグ。

と、とにかくそのネーミングだけでグッとくるモノが、樺島(かばしま)という長崎県の小さな島にある。

バガポンに出てくる「ウナギイヌ」は、
ウナギ+犬。

はたして、長崎の大ウナギ井戸とはいかなるものか?

T・斎藤

うなぎ屋のような看板

大ウナギ井戸は観光名所

大ウナギ井戸があるのは、長崎半島(野母半島)の最南端にある樺島という小さな島。島と言っても橋がかかっていて、車で行ける。

近づくにつれ、「大ウナギ井戸」の看板があちこちに登場する。左の写真など、まるでウナギ屋の看板のようだが、これから向かう場所はウナギを焼くところではない。観光名所だ。


オオウナギ井戸・案内板
(マウスオーバーで拡大)

一抹の不安を覚えつつ

これ以上は車で行ける雰囲気ではないってところまで到着。
「ここに車停めていいのかな?」
と、不安になるような駐車場、というか砂利の広場に車を停める。辺りに人影はない。

ここから先は、左の写真の看板に書かれている道順を頼りに歩き始める。

おわかりと思うが、いわゆる観光名所とは180度異なる雰囲気。玄人向けである。

おじゃましまーす
(マウスオーバーで別の写真)

民家の間をゆく

集落という感じの場所をゆく。車では入れないような狭い通路で、周りには民家が立ち並ぶ。心の中で
「おじゃましまーす」
と呟きながら歩く。
同時に、
「こっちでいいの?」
「ほんとにここにあるの?」
という疑問も100回くらい頭に浮かぶ。

かろうじて赤いのぼりが

その観光名所っぽくなさ加減は、まるで集落全体でモフラージュしてるかのよう。本当にこの道でいいんかい?という不安が頂点に達した頃(10分も歩いてないけど)、遠くに赤いのぼりが見えた。

大ウナギ井戸に到着したようだ。


これが大ウナギ井戸だ!

見よ!これが大ウナギ井戸だ

ここに到着するまでまったく人の気配がなかったのだが、意外にも何名かの見物客が集まっていた。

そして、みな井戸の中を食い入るように見ている。大ウナギ井戸とは、その名のとおり大ウナギが棲んでる井戸のことだった。


夢中です

みんな夢中

それにしてもみんな夢中だ。
写真の水色の子なんてもう、井戸に食いついたまま片時も離れない。

一方、女の子の方は
「おったー!おったー!」
と連呼している。

どれどれ、私にもちょっと見せて。

井戸の主、大ウナギ

巨大ウナギ

井戸の中は暗くてよく見えないが、目を凝らせば底の方に黒い巨大な影が見えた。体長1メートルはあろうかという巨大ウナギだ。でけー。

ところでこのウナギ、一体何者?
そもそもなぜこんなところにウナギが??

こいつは国の天然記念物にも指定されているオオウナギという名前のウナギ。全長1.5m、体重15Kgにも達する熱帯性のウナギで、アフリカ東部、マダガスカル、タヒチ、マルケサス諸島などいかにも熱帯っぽい地域に棲息する。日本では屋久島以南の南西諸島には普通にいるが、こんなところで見られるのは大変珍しく、学術的にも貴重だ、とのこと。

次に、なぜこんなところに?って方だが、昔からここに住んでいたため、よくわからないそうだ。 (以上、説明看板より)


出番を待つ2世

2世、スタンバイ

井戸のすぐ後には小さな小屋が建っている。
その小屋の中には、驚くべきことにさらに2匹、巨大なウナギが水槽の中に横たわっていた。

井戸の中のオオウナギが死んだ時のための、「交代要員」が飼育されていたのであった。

マジンガーZの次にはグレートマジンガーが控えてるぜ。

井戸とは違い、間近で観察できる
パイプにすっぽり収まる2世その2。
ソーセージみたい。

水槽の横には募金箱が
キン!ちゃらららら〜♪

水槽の横の募金箱

水槽の横には、募金箱があった。
見物料などを一切取ってない大ウナギ井戸の唯一の収入源だ。

楽しませてもらったお礼に、私もちょっとだけお金を入れた。すると…

キーン! ちゃららら〜!

募金箱の上の金色のオブジェが高らかに鳴り響き、中で小判が舞い上がり始めた。

わかった、もうわかったから、そのへんで勘弁してくれ!とお願いしたくなるほどの大音量が、閑静な集落にしばらくの間鳴り響いたのであった…。

とても素敵な観光名所・大ウナギ井戸。
後日わかったのだが、
このウナギ、名前を「ウナ太郎」というらしい。
ますます愛着が湧いてくる。

大ウナギ井戸の場所はこちら。 ⇒ 地図


老若男女がウナギに熱中


 

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