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コネタ


コネタ367
 
もち投げで熱くなってみる

 1月になると急に消費量が増すと思われる食べ物・おもち。この正月にもたらふく食べた。

 普通の食べ物と比べ、めでたいものとしても位置づけられているおもち。千葉県・和田町でのイベント「なの花まつり」では、そんなおもちがガンガン飛んでくるもち投げが行われるらしい。

 よくよく考えると、かなりエキサイティングな感じもするもち投げ。気づいてなかったけど、これってどうかしてる。

 言われてみればロックかも。実際にその人波にもまれてみました。

(text by 法師丸

●とりあえずは冷静さを装うなの花まつり




 今回訪れた「なの花まつり」、いわゆる地域祭りと言えばよいだろうか、農産物販売コーナーや各種模擬店などが軒を連ねる楽しいイベントだ。無料であたたかい牛乳や田楽なども配られている。

 もちを欲する気持ちを自分の中で高めて赴いたなの花まつりだったが、もち投げが始まるまでたぎる気持ちは秘めておこう。




 屋内施設では、農産物の品評会も行われていた。袋に入っている、草を細かく砕いたようなものは「サイレージ」というらしい。個人的には初耳なのだが、発酵させた家畜用の飼料なのだそうだ。

 それはいいのだが、どれに賞を与えるかをどういう基準で判断しているのかがわからない。見る人が見ればわかるのだろうか。

 写真は見事受賞を勝ち取ったサイレージ。よく見ると「住所または地区」の欄に「沼」とだけ書いてあるのも気になる。



 会場内には見たことのない野菜も展示。こちらはなんだかわからないけど金賞かもな、という気はしてくる。

 地域の子供たちが書いた習字も千葉っぽさ爆発。今まで別に成田空港について特にどうとも思ったことはなかったが、こうして連呼されるとなんだか興奮してくる。




 さて、そろそろもち投げタイムということで会場に移動してみると、すでにたくさんの人たちが集っていた。どの人の目も、もちのことでギラギラしているように見える。

 写真左寄りに見えるスピーカーから流れてくるのは外国のロック。

 自分でも「外国のロック」とか書いてるのはどうかと思うが、まあそうだし、それ以上のことはわからない。とにかく会場の興奮は高まってくる。




 そうこうしているうちに、もち投げ係の人たちが登場。待ち受けている側のテンションをよそに、割とのんびりした雰囲気だ。

 しかし、開会宣言とともに、会場は一体化する。



 もちが投げられる度に上がる、うなるような歓声。1曲目からボルテージは最高潮、早くも会場は総立ちだ。いや、別に曲じゃないし、最初からみんな立ってるわけだが、勢いはそういうことだ。

 上の屋根からは町長もガンガンもちを投げてくる。「イエーイ!次の曲も盛り上がっていこうぜ!!」

 まあそんなことは言ってないが、雰囲気としてはそんな感じだ。



 左の写真、どういうタイミングで撮れた1枚だかは自分でもわからないが、すっかりかっこよくなっている。このままダイブしてきてもおかしくなくらいの盛り上がり。会場脇でTシャツやCDも売り出せば、結構人気が出るんじゃないか。

 ───ボグッ! 痛え!

 写真を撮ることばかりに夢中になっていたら、腹の辺りに打撃系の痛みが。放物線を描いて飛んできたもちが当たったらしい。

 うう…。当たってもポイーンとなる感じのやわらかおもちをイメージしていたのだが、もちは固かった。ここら辺もロックだと思う。



 おばあちゃんだってたまには熱くなってみたい。コンサートやギグに行ったりはしないが、もち投げではヒートアップ。もちで興奮するのに年齢の区別はない。

「えー、おもちがなくなりましたので、もち投げは終了です。最後はみなさんで万歳三唱をお願いいたします」

 もち投げメンバーからの閉会宣言。ロックな感じの興奮から強引に覚まされるような呼びかけだが、これはこれで昔ながらのスタンディングオベーションなのだとも思う。

●グルーブ感すらあふれるもち投げ

 かなりの量のもちがふるまわれたとは言え、ライバルが多いため手にするのは結構難しかったもち投げ。人波にもみくちゃになりながらも、なんとか2個ほど取ることができた。

 うれしい。普段のもちには感じなかった喜びがそこにはある。

 ロックバンドのコンサートでギターのピックを投げたりするが、やってることはもち投げの方が先だったはずだ。

 後世の音楽の世界にすら影響を与えたもち投げ。もち投げがロックに似ているのではなく、もち投げがロックの原点なのではないかと思う。


 

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