僕らの言うところの波とは、海水のごく表面が風によってざわめいているだけだ。中の方はたぶんまったく動じていない。千葉の波はいいとかいや四国だとか、オーストラリアの波ははんぱないとか、アフリカは桁違いとか、嬉々として語り合っているサーファーたちの話題の中心は、実は海のごく表面しか見ていないことになる。でもいくら海の大部分を占めるからといって、普段から深海の話とかではいまいち盛り上がりに欠けることも事実だ。人間の非力さが伺えるエピソードといえる。