つらいことがあったとき、ここにくる。どうしようもないこととか、やってしまったこととか、いたたまれないこととか、そんな日々のごたごたに押しつぶされそうなときはここにくる。誰も載せていないステップが静かに行ったりきたり、吸い込まれたりするのを眺める。複雑なモーターの動きに思いを馳せる。きらきら輝く欄干照明をただぼーっと眺める。外装板の裏側の金属の感触をたしかめる。次第に心は落ち着いていく。