絡みつく輪切り味噌の誘惑「いわしみそ煮」

個人的な思い出だけれど、子供のころあまり「味噌煮」というのは好きではなかった。ソース！ケチャップ！マヨネーズ！ノーモアチョンマゲ！と言いそうなほど洋風味覚にかぶれた子供だった、今考えると。
しかし30過ぎると突然味噌味を求めるように。定食屋にいっても、昔なら揚げ物エブリデイだったのが３日一度はさば味噌定食なんかを頼むように。味噌のＤＮＡが覚醒したのか。
だいたい魚で味噌というと先に書いたとおりさば味噌が定番。いわし味噌煮はどんな感じか。

缶を開けてみると、意外にもコロコロとした輪切り状態。他のいわし缶を見てもらえばわかるけれど、頭と尾を切った胴体まるごとくらいが標準。こうした小料理屋の小鉢なんかが似合いそうな輪切りは始めてだ。
缶の裏の原材料を見ると「みそ、砂糖」はわかるけれど「ピーナツバター」とある。ある意味、隠し味だろうか？ナッツめ、やるな。

かじりつくというよりヒョイと口の中にいわし味噌煮を放りこんでみると、輪切りだけに味噌が魚の中までよく入り込んでる分味がしっかり楽しめるのがわかる。そのただの味噌だけでない濃厚さは先のピーナツバターか。
小さい一切れだけども、そのひとつに味噌煮のエッセンスが詰まってるような…。コンパクトにして全てがある、まるで盆栽のような。もしくは味噌の小宇宙（コスモ）！
とはいえ安い缶詰だけに、できることならひとつと言わず、二缶くらい景気よくご飯の上に開けてかき込みたい。舌の上で転がる無限の味噌煮宇宙！そんな贅沢を味わえる缶詰です。


購入価格 105円
メーカー：マルハ

（大坪ケムタ）

( 2012/04/30 19:00:00 )