近くにいた鬼から、携帯の着信音のようなものが聞こえた。
「携帯なんて持っていただろうか」
そう思っていると、鬼は金棒を手に取り、トゲのひとつをギュッと押して
「はい、赤鬼です」
と言った。
金棒と携帯をひとつにしたこのアイテムは、鬼界で空前の大ヒットとなったらしい。
「どっちも必需品ですから・・・あ、また電話だ・・・ちょっと失礼しますね」
鬼はまたトゲのひとつをギュッと押して電話に出た。
「はい、赤お・・・ですからね、トマト田さんじゃないですよ。確かに私も赤いですけどね、それは赤鬼だから赤いんです」
どういう間違い電話なのか、その金棒型携帯よりも興味がわいた。 ( 2009/06/11 20:04:00 )
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