東京の交通手段としてようやく馴染んできた感のある地下鉄副都心線。 その駅の一つである雑司が谷駅出口付近の階段は、さすが新しい駅らしく新品のようにピカピカだ。 そう、確かにピカピカで奇麗ではあるのだが、そこには既に、そこはかとなく哀愁が漂っている。
理由は明白。この階段、誰も利用しないのだ。 皆、隣にあるエスカレーターに行ってしまい、この階段を上り下りする人など一人もいない。
20段や30段程度の階段であれば、えいやっと駆け上ることもできるだろうが、この階段は全部で71段。 歩いて上るにはいささか段が多すぎる。上まで行った頃には、すっかり息が上がってしまうだろう。 これでは、利用する人などいやしない。
モダンで綺麗でしゃれている。なのに、誰にも見向きもされない。 その奇麗さが、かえって哀愁を際立たせている。 ( 2008/09/22 16:00:00 )
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