子供の頃に作った手作りおもちゃ・わりばし鉄砲。特に男性にはかなり熱中して遊んだ経験のある方も多いと思う。
夢中になって遊んだあの頃。大人になっても少年の気持ちを忘れたくない。
いや、別に忘れたっていいと思う。むしろ普通の大人がわりばし鉄砲で遊んでいたら、周囲にはあまり理解されないと思う。
自分でやろうとしていることをいきなり否定してしまったが、無理やり童心にかえって久しぶりにわりばし鉄砲を作ってみた。
(text by 法師丸)
●大人の本気を見せてやる
久しぶりに作ろうと思い立ったわりばし鉄砲。とりあえずは子供のころに遊んだものを思い出しながら作ってみる。簡単な工作なので、あっという間にできあがった。これだ、この感じ。
しかし、小学生も高学年になってくると、わりばし鉄砲なんかで遊ぶ者は少なくなっていく。かっこいい空気銃を買ってもらう子供もいる中、私にとってわりばし鉄砲は、空気銃を買ってもらえない自分に折り合いをつけるためのおもちゃだった。
あきらめの銃としてのわりばし鉄砲。ボール紙で作った的を倒しては、自然と出てくるため息。
そういう子供時代と向き合う意味もある今回の試み。大人になった今はモデルガンだって買えるお金はある。しかし、ここは安易にすごい空気銃に走ることなく、あくまでわりばし鉄砲で勝負したい。
とりあえず買ってきたのはわりばし500膳。これが大人だ。
そんなに必要なのか。売っていた中で一番でかい輪ゴムと合わせて、少年時代の清算を間違った形でしようとしている気がする。
それでもたくさんのわりばしを前にすると、なぜだか興奮してくる気持ち。家にあるのをこっそりくすねて作った子供の頃が自然とよみがえってくる。もうあんなひもじい思いはさせない(自分に)。
大人が作るわりばし鉄砲。どんなものかと考えてみて、出てきたキーワードは「でかい」とものだった。
本気になって大人が作ると言っても、本格派とか技術的にすごいというわけではない。単にでかいだけだ。結局のところ、子供に「すげえ!」と思わせるのはそういうことだと思う。
そのためには骨組みを作る部品も強くしなくては。わりばしをぜいたくに束ねて基本となるパーツを作る。
どうしたものかと思ったのは、パーツ同士の接続の方法。もちろん本気で考えれば耐久性の高いものを作ることもできるのだろうが、身近にあるものを使ってこそのわりばし鉄砲。結局採用したのは、ガムテープでしっかり巻く、という方法だ。
「やっつけ仕事」というのは大人ならではのキーワードでもある。
基本パーツを接続して作った部品。わりばしの集合体は早くも異常な雰囲気を漂わせているが、こうして持ってみると単にでかいわりばしという風に見えないこともない。
銃身部分となるパーツの組み合わせ。だんだんわりばし鉄砲らしくなってくる様子に、子供の頃の気持ちがよみがえってきた。これは新型のエアガンを買った同級生に対する復讐でもある。
子供の頃の自分がこれを見たら、すごい空気銃なんかよりこっちを選ぶと思う。
普通版のわりばし鉄砲と同様の作り方で進め、巨大わりばし鉄砲が完成。畳の大きさと比べると大きさがおわかりいただけるだろうか。確かにかなりでかい。
それにしても500膳用意したわりばしだったが、わずか100膳ほどで完成してしまった。金に物を言わせてたくさん買ってきてしまったのも大人ならではの余裕だろうか。
残りのわりばしを使うと、同じ物があと4つもできてしまうが、さすがにそこまではしない。
最初に作った普通のわりばし鉄砲と並べてみると、その大きさがよくわかる。…いや、写真だとあまり伝わらないだろうか。見ているだけでなく、実際に手にして輪ゴムを飛ばしてみよう。