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フェティッシュの火曜日
 
生きたイカの画期的輸送方法

産地直送の生きたイカを提供する居酒屋はあるけれど、輸送用の活魚車や店舗への生簀設置などが必要なため、どうしても値段が張ってしまい、イカ刺し1パイ2500円なんていう店も。

しかし、そんな状況を大きく変える発明が、埼玉水産海洋大学の研究チームによって開発された。

玉置豊 玉置豊(たまおきゆたか)
趣味は食材採取とそれを使った冒険料理。ただし上手でも詳しくもない。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。白髪は中学二年から。
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生きたイカを輸送する新しい方法
生きたままのイカを輸送するためには、活魚車(生きた魚を運ぶための車)に大量の海水を用意して、常に酸素を送り込まなくてはいけない。もちろんイカの詰め込みすぎは厳禁だ。

アジやタイなどに比べて、水の中で墨を吐くことがあるイカは、特に輸送が難しいとされている。


水揚げされたばかりのイカ。

しかし埼玉水産水産大学の一之瀬教授がリーダーを務める、先進的活魚活用開発推進研究チームが開発した「イカイカイキイキ」という方法を使えば、簡単に生きたままイカを輸送することができるのだ。

その方法とは、生きたイカをダイオウイカの皮から作られた袋状の特殊なフィルムに入れ、半真空状態で密封し、モーツァルトを聴かせながらすぐに2度まで冷やしてクール便で送るというもの。

イカをダイオウイカの皮で包むのである。

まだ生きています。

イカはモーツァルトを聴かせながら温度を急激に下げると、細胞の活動が一時的にストップした冬眠状態に入ることは、研究者や漁師の間ではよく知られている。あと冬眠だけに島民とか。

いくら冬眠状態とはいっても、さすがに水なしでは1日程度しか持たなかったのだが、深海という過酷な環境でも生きられるダイオウイカの皮でぴっちりと包むことで、イカ細胞の劣化速度がゆっくりになり、温度さえキープすれば10日程度は全然平気なのだという。

イカの届け先で一之瀬教授が開発した装置を使って、海水と酸素と春の香り(やはり桜がおすすめとか)を満たせば、すぐにイカは冬眠から目覚めて、元通り元気に泳ぎだすのだ。

春の香りを送り込む一之瀬教授。好きなイカはダイオウホタルイカモドキ。

10日前に密閉したイカも、御覧のように元気なまま。

この方法は、佐渡島で水揚げされたダイオウイカが埼玉水産海洋大学に運ばれてきた際に、たまたま皮と身の間に入り込んでいたヤリイカが、まだ生きていたことが発見のきっかけだったそうだ。

今後はイカだけにとどまらず、他の魚介類でも活用が期待されている。

「現在はイカ用だけど、将来的には、いかようにも!」とは一之瀬教授の力強いコメントだ。

まさに獲れたてそのままのイカの生け作りでした。

ただしこの方法を開発した一之瀬教授は、魚介類が一切食べられないそうで、「それだけはイカんともしがたい」と、悲しそうな表情を浮かべている。

実用化への問題点

日本人の海産物に対する熱い情熱が伝わってくるこの研究成果だが、課題は安定したダイオウイカの皮の確保。最近ダイオウイカがよく捕れる佐渡の定置網漁師は、これは一攫千金のチャンスと張り切っているが、残念ながらそう都合よく何度も網には掛かってくれないようだ。

また某お笑い芸人グループが、「生きたまま真空パックに入るのは俺の特許だろ!訴えてやる!」と訴訟を起こしているのだとか。

この記事はエイプリルフール企画のために作ったうその記事です

 

 
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