今回編集部の方に言い渡されたテーマは、「100歩でどれだけグルメが堪能できるのか」。
場所は自由に選んでいいとのことだった。そこで私が選んだのは自然、芸術、歴史、文化、色んなものがごちゃ混ぜに詰まった大好きな上野だ。
そして上野で食べ歩きといえばガード下のアメヤ横丁が思い浮かぶ。年の瀬押し迫る活気のよい上野で、何が食べられるんだろう?しかもたった100歩で。
1店目:アメ横といえばパイナップル
少し寒かったけど、天気の良い日曜日。アメ横の入り口に来てみるとなかなかの賑わいを見せていた。
そこで私が初めの一歩で向かったのは割り箸に突き刺さったパイナップルだ。昔からずっとある、ちょっとした上野の名物だ。
店員さんたちの威勢のよい声が飛び交うアメ横で、酸っぱいパインを頬張った。新鮮でうまい。しかし人の流れがその場にゆっくりはいさせてくれない。さっそく次の場所に向かおう。
2店目:韓国のおやつ
人ごみの中での2店目への道のりは意外と遠かった。半分以上の58歩目にして、ようやく入れたのは韓国系のお店。
チヂミやトッポギなどもあったが、目の前でお兄さんが焼いていたお菓子「ホットク」のハチミツ味を頼んでみた。
店員さんと若いお客さん達が韓国語で会話しているのを頭越しに聞きながら食べる。目の前の人ごみの風景と相まって、一瞬まるで韓国の南大門市場にいるような気持ちになった。
しかし次の瞬間、太鼓を叩きながら歌う顔の彫りの深い一行が前を通った。 ここは韓国じゃないよと言いに来たのか?
いや、どうやらクリスマスの歌を歌っている。(この日はクリスマス直前だった) そうか、もうすぐクリスマスかあ・・なんだかチキンが食べたくなってきた。
3店目:ローストチキン
クリスマスソングを聞いてチキンが食べたくなったというのはもちろん後付けした嘘だが、先ほど甘いものを食べたばかりなのでこれにはめちゃめちゃそそられる!
ローストチキンのこちらのお店までで69歩。あと約30歩しかない。このペースで大丈夫かな。
2歩でケバブの店へ
すぐ隣のケバブのお店を狙ったものの、ベンチに人が座っているし人が行列をなしていたのでグルリと周らねばな・・と思っていたら奇跡的に人が一気にはけた。そのチャンスを狙って2歩でお店の前に立つことができた。
おそらくはトルコ人と思われる店員さんが「マイヨマイヨー!シーヨシーヨ!」と元気よく客寄せをしている。最初マヨ(ネーズ)と塩に聞こえていたがどうやら「ウマイヨ、オイシーヨ」と言っているようだ。
4店目:トルコビール
塩味のきいた肉を食べた直後だったのでビールの苦味がよく合う!
ちなみにこの椅子に座るまでで73歩だ。 お店を選んでる余裕はないので隣に続いているお店に向かった。
5店目:焼き小籠包
さっきからずっとそうだが、この辺りのお店には受け取る所のすぐ近くに椅子が並んでいて非常に助かる。人がいない所によけたりといった無駄な歩数が節約できるのだ。
ちなみに私は焼き小籠包初体験。普通の小籠包よりモチモチと歯ごたえがあり焼き目が香ばしかった。
さて、ここまでで83歩。移動に最低でも10歩は使うだろうから、たぶん次のお店が最後になるだろう。
6店目:また焼き小籠包
なんとお隣も焼き小籠包屋さんだった。一見して同じ店かと思いきや違う。こちらは「テレビおすすめ」と看板に書かれていた。「アメ横No.1」に負けず、 ざっくりとした紹介だ。どっちのお店にしようかと普通なら悩むところだろうが、今日の私は違う。せっかく貴重な10歩でやって来たのだから、どちらも食べ る。
正直けっこうな満腹度だったのと、つい10歩前も焼き小籠包食べたしなという思いがあったのだが、口に入れると豚肉の甘い汁が私を幸せな気分にさせる。さ らに辛いタレをつけたら先ほどとは一味違うものに。テレビがおすすめするだけあって(どこのテレビかは知らないが)美味しく、食欲が戻って驚いた。
残り7歩!
さて、この時点で93歩。あと7歩じゃさすがにどこも無理だろう。けど一応100歩まで先に進んでみることにした。
100歩目についたのはキムチ屋さんの前だった。それまでは食べ歩きができそうなお店しか目に入らなかったけど、そういえばこういった食料品店も並んでいるのだ。
とはいえキムチを一袋買って食べるのは食べ歩きという感じではないよね・・と思っていたところ
7店目:キムチ(試食)
多くの人をかきわけ進んだ100歩目はキムチ。最後は口の中をサッパリとさせて終了することができた。 まさか7箇所も周れると思わなかったし、それぞれ本場の方が作ってくれる異国の味が堪能できたのはとても楽しかった。小さな小さな世界の台所といった感じか。
やっぱり、上野はいいなあ。
上野選んでよかった
酸っぱいから始まり、甘い、しょっぱい、苦い、辛いまで、味覚をフルに使った今回の食べ歩き。
歩数を決められて行動するというのは初めての経験で、最初依頼された時は大して周れずに寂しい終わり方になるかと思ったけど全然そんなことなかった。
ひとまず、焼き小籠包が食べたくなったら上野に行こう。