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ひらめきの月曜日
 
ひとの通勤についていく
地味な写真が続きます

この前、妻の通勤に途中までついていったことがあった。
バスの席がけっこう空いていたので、適当なところに座ろうとしたら「こっちに座って!」と、うながされた。「なんで?」と聞いたところ「そっち側の席は日差しがあたって眩しいし、暑いからいつもこっちに座ってんの」と言われた。
ぼくは通勤において、朝の日差しのことまで考えたことが無かったので、妙に感心してしまった。
もしかしてこういう、そのひと独特の通勤テクニックや裏技を聞きながら通勤について行ったら面白いんじゃないか? そんなことを思った。

西村まさゆき
(にしむらまさゆき)
1975年鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。最近気になる県境はいわき市と北茨城市の間にあるやつ。
> 個人サイト 新ニホンケミカル
TwitterID:tokyo26


ひとの通勤についていきたいと思った

かくいうぼくも、数年前まで会社に通勤していた。 家から月島まで自転車で行って有楽町線に乗り、江戸川橋で降りて会社に通っていた。30分ほどの通勤ルート。定期券が月島〜江戸川橋なので、たまに有楽町で途中下車してビックカメラに寄ったりしていた。 会社に通わなくなってから1年以上経って、久々に通勤の雰囲気を味わいたくなってきた。ずーっと家にいるとそんな気分になってくるんです。


4人のひとの通勤についていってみた

というわけで、今回ツィッターで「通勤についてきてもいいよ!」というひとを募集して、連絡を頂いた中から4人の方の通勤についていってみた。 今回は、がんばって4人も取材したので、途中からでも読めるように下にリンクしておきますが、最初から通して読むことも出来ます。

(1)「中央線は使わない」
三鷹(総武線)→新宿(山手線)→原宿

(2)「本当は引越ししたい……」
戸田公園(埼京線)→赤羽(京浜東北線)田町

(3)「逆方向なのでちょっと楽」
下高井戸(世田谷線)→三軒茶屋(田園都市線)桜新町

(4)「短い中にもちょっとした工夫」
要町(副都心線)→池袋(副都心線)→新宿三丁目


三鷹〜原宿

まず最初についていったのは、三鷹から原宿までの通勤だ。 



大きな地図で見る

乗る位置が違うと並び方も違う

この通勤ルートは、原宿にある会社に三鷹駅から通っている中村さんの通勤ルートだ。 待ち合わせ場所にした三鷹駅北口の自転車駐車場に現れた中村さん。さっそく一緒に駅に向かう。


家から駅前までは自転車通勤
松屋と白木屋のでっかいビルがあるなあと思ったらどちらも本社らしい

ぼくはてっきり「三鷹から原宿なら、中央線快速(以下、中央線と表記)で新宿まで行って、山手線乗り換えかな?」と思っていたのだけど、中村さんが向かったのは総武線のホームだった。なぜなのか?

−−新宿まで中央線かと思ったんですが、総武線なんですね
「そうなんですよ、総武線のほうが色々と都合がいいんです」

−−なにがいいんですか?
「まず、総武線は三鷹始発なんで、3割ぐらいの確率で座れるんですよ」


総武線と東西線のホームに向かう
中央線は三鷹の時点でギュウギュウ詰めなのだ

−−でも、総武線は時間がかかりませんか?
「うーん、中央線が早いといっても数分なんで、そんなに変わらないですよ」

やはり「座れるかどうか」はかなり重要らしい。確かに数分程度の差であれば幾らかでも座れる可能性がある電車に乗りたいという気持ちは分かる。


東西線を背に総武線の列に並ぶ

−−毎朝この位置に並んでるんですか?
「ええ、ただ以前面白いことがあって、いつも乗る後方車両ではなく、先頭車両の列に並んだら、列車のドアが開く前に列がググっと動いたんですよ。並ぶ位置と乗車するドアが離れてるんですね。同じ電車でも、前方と後方によって、並び方が違うんです。自分がもし最前列に居たら絶対混乱してました」

なんと、同じ列車に乗る列でも、ホームの先の方と後ろの方では並ぶときのローカルルールが違うらしいのだ。奥が深い……。

選ばれた7人の中に入れば座れる

しばらくすると、始発の総武線がホームに入線してきた。中村さんは列の後ろからさっと乗り込むと車内をすいすい後方車両に向かって移動し始めた。


車内を移動する

−−今日は座れませんでしたね
「電車のシートが7人がけのシートなので、待っている列の先頭から7人の内に入れれば座れるんですけど、まあ座れるのは3割ぐらいですね」

なるほど、選ばれし7人の中に入れるかどうかが座れる座れないの分かれ目なのだ。


いつもの定位置

−−座れないときはいつもここですか?
「そうですね、新宿までこっちのドア(進行方向むかって左側)はあんまり開かないんですよ、だからこっち側に立ちますね」

どっちのドアが開くことが多いのかを勘案して立つ場所を決めているらしい。中村さんはこのルートで通勤しはじめてから8年ほど経つそうだけれど、じつに8年の重みを感じる。


立ちのS席 

ところで、このシートとドアの間のこのスキマを、どこかで「立ちのS席」と呼んでるのを聞いたことがある。

ぼくも、電車内で立つ場合はできる限りこの場所に立つことが多いのだけど、やはり中村さんもこの「立ちのS席」を確保しているのだという。 しかも、見たところ総武線のこの車両は、仕切りがパイプではなく、ボードになっているので、シートの端っこに座っているひととお尻が接触しないようになっている。 JRがそこまで考えてデザインしたのかどうかは不明だけど、立ち心地がいいのは確実だ。

新宿での乗り換えでも総武線が便利


総武線を降りると、目の前が山手線
総武線と山手線が同じホームで乗り換えできる!

そうする内に、電車は新宿駅に近づいてきた。 中村さんは総武線の電車を降りると、素早く目の前の列に並んだ。

「実は総武線だと、新宿で降りると同じホームで山手線内回りに乗り換えできるのでらくなんですよ」
総武線の津田沼方面行きのホームと、山手線の内回りのホームは同じホームなので、中村さんのように三鷹方面から原宿に向かう場合は、新宿での乗り換えが抜群に便利なのだ。 なんとも中村さんのために作られたかのような乗り換え。すごい。

原宿で降りる場所を考えて三鷹で乗って居た!

新宿駅で山手線に乗り換えた中村さんは、原宿駅に到着すると、迷わず眼の前の階段を降り始めた。


竹下通りへ出るには竹下口が早い

−−もしかして竹下口から出ますか?
「ええ、会社は竹下通りを抜けて行くと近いんです。」

−−ということは、原宿で竹下口の階段に近い場所で降りるために、三鷹で後方の車両に移動したんですね!
「そうですね」

「三鷹で後方車両まで車内を移動したのはそのためか!」と思うと、なんだかミステリの謎が解けたような新鮮な衝撃を受けた。
でも、よく考えると、下車するときの位置を考えて乗車するなんてことは、通勤してるひとにとってはごくごく当たり前の行動だ。


竹下口で降りるため、三鷹で後ろの車両に乗ったのだ

だけど、知らない人のそんな工夫を目の当たりにするとやっぱりちょっと感動してしまう。


東郷神社の前を通って通勤 

中村さんは竹下通りから東郷神社の前を抜け、無事会社に出社した。 三鷹から原宿まで、30分ほどの通勤だったけれど、こんなにも工夫に満ちているものかとあらためて感じ入ってしまう。


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