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ひらめきの月曜日
 
今年は「みぞれ」が来る!
みぞれ

タイトルから声高にに叫ばせていただきありがとうございます。

来る! と叫んだこの「みぞれ」。雨なのか雪なのかっていうあの天気の霙ではなく、コンビニやスーパーなんかで売っている氷菓のことだ。

森永乳業の商品名なのでもしかして地域によってはなじみが薄いかもしれない。いわゆるカップに入った氷のデザート(氷菓)のことだと思ってください。

これが、今年は来ると思うのですよ!

 

古賀及子



今年は「みぞれ」が「ガリガリ君」になる

なぜいまカップ氷菓に着目したか。今年のクールビズ意識の高まりの大きさがアイス業界にも波及すると思ったからだ。

去年、2010年はたいへんな猛暑だった。盛夏にはあまりの暑さに棒に刺さったバータイプの氷菓であるおなじみ「ガリガリ君」が売れに売れ、品薄状態になってメーカーの赤城乳業がお「詫び」を発表したくらいだ。

そして、今年は「みぞれ」に代表されるカップ氷菓こそがこの「ガリガリ君」状態になると私は見ているのではる。ヤーッ!


2010年、ガリガリ君ソーダは本気の品薄状態だった

キーはオフィスにある

なんで「ガリガリ君」ではなく、カップ氷菓なのか。クールビズ、だからだ。

ビジネスシーンにおいてガリガリ君はあまりにもそぐわない(図1-1、図1-2)。

上司に「なにか、君は小学生なのかね」と言われても仕方ないビジュアルだ。


図1-2・ビジネスシーンにおけるガリガリ君 図1-2・小学生の夏休みみたいな状態に

そこへカップのカキ氷ならどうだろう。ガツンと涼が得られるうえにスマートなのだ(図2)。


図2・「みぞれ」を食べながらの熱心な仕事ぶりに後方に写る上司も大きく笑顔である!

今日はそんなカップカキ氷を集めてみた

オフィスでの需要も高まって8月が来る頃にはきっと各店頭から姿を消すに違いないカップカキ氷。そうなる前に一度集めて食べておきたい。そう思って方々で買い集めてきた。

なお、買い集めにあたって各アイスクリームメーカーを調査、カップ氷菓の販売状況を確かめたのだが、メイトーの「ハード氷」シリーズやセンタンの「古都の氷華」シリーズは季節的にまだ広く販売していないということで入手できなかった。

なるほど、本気の夏の盛りに照準を合わせているのだろう。


冷凍庫の容量を考えてこの辺で勘弁してやりました

改めて見るカップ氷菓、その渋さ

さて、みなさんはカップ氷菓についてどうお思いだろうか。

上の写真を見ると色とりどりでポップなパッケージの商品もあるにはある。でもよく見ると、特に「みぞれ」についてはどうかと思うほど渋いのだ。

私自身も自分で買うのはほぼ初めてだ。普段食べるアイスとの違いに気後れがする。おいそれとは手にとらせないぞという迫力さえ、ある。


アイス界においての一人称は多分もうほとんど「某(それがし)」くらいでは

気安く人を寄せ付けない誇り高き気高きたたずまい。孤高だ。

今までも、アイス売り場で姿を見ては「あ、あるな……」とは思っていた。割とどこにでも置いてあるので誰かは買っているのだろう。

誰だろう。

つたない想像力を発動しても職人さんの一服か、というくらいしか思いつかない。おじいちゃんが食べてるのかなとも考えたが、高齢世帯にはカキ氷のジョリジョリはちょっと辛いだろうと思うのだ。そんなことないのかな。

「涼」はどれほどか

しかし今年は状況が違う。

ビジネスシーンで効率的にスマートに涼を得なければならない。これくらいのパッケージの渋さはむしろウェルカムだ。

では、この手のカップ氷菓は本当に「ガリガリ君」くらいの涼が得られるのだろうか。買ってきたものをジャンルに分けて食べて採点してみよう。


カップ類 氷菓目 近代科

「みぞれ しろ」の気高さに打ち震えた直後ではあるが、まずはとっつきやすいところから食べていこう。


バニラボール亜科「フロスティ ラムネソーダ味」  納涼度 ★★★★☆(5点満点)
もう俄然ポップ ソーダ味の氷にラクトアイスのバニラが入ってる

ふわふわ氷亜科「ふんわりかき氷 いちご」  納涼度 ★★★★☆
果汁5%って、果汁ちゃんと入っているんだ ふわふわです

いきなり「これがあれば、いいんじゃないか? 『みぞれ』とか、いらないんじゃないか?」という本記事の提言を根底からゆるがすような2商品を紹介してしまった。

ポップで手に取りやすいラムネソーダに、ちゃんと氷がふわふわしていて食べやすい ふんわりかき氷。いいじゃないか。

いやしかし、あまりにもポップすぎるパッケージはオフィスでは目立つ。やはり「みぞれ」くらい実直でなければ。

納涼度もバニラや練乳のもったりした(幸せな)甘さが涼を削ぐと判断して星の数を減らした。


カップ類 氷菓目 フルーツ科

輪切りレモン亜科「サクレ レモン」  納涼度 ★★★★★
小学生も買うであろうパッケージング このスライスをかじるのが嬉しいのだよ

早くも納涼度、満点出ました。

何しろサクレだ。涼しくならないわけがない。レモンスライスまで乗ってるのだ。

このジャンルでは私の知る範囲だと赤城乳業の「シャビィ」が双璧なわけだが「シャビィ」にもエアで満点を出したいと思う。

だがこれもオフィスではNGだろう。パソコンに向かってレモンスライスをかじるのはビジネスマンとしてはまずい。


カップ類 氷菓目 フロート科

コーヒー亜科「コーヒーフロート」  納涼度 ★★★☆☆
「みぞれ」は冠していないがパッケージ的に間違いなく一派 割合的に結構バニラ

「みぞれ」一派がここで登場である。さすが、オフィスにもかなりなじむルックスだ。コーヒーというところが大人っぽくもある。

ただ、やはりバニラの甘さはガツンとした涼しさには無用なのだ。


カップ類 氷菓目 練乳科

いちご亜科「みぞれ 練乳がけ イチゴ」 納涼度 ★★☆
出た、渋さパッケージ 渋いパッケージとはうらはらに甘あまな味わい

あずき亜科「しらゆき れん乳あずき」 納涼度 ★★☆
ロッテの氷菓シリーズ「しらゆき」はカップとフタが密着包装と未来系 練乳×あずきか……あ、これあんこの味だ!

やっぱり練乳はかなり甘い。納涼というより冬にコタツで食べてもいいくらいだ。氷の粒はガリッと涼しいのだが、やはり納涼度で減点になった。


練乳亜科「しらゆき れん乳ホワイト」
練乳入りカップ氷は練乳が一部に固まっていることが多いのだが こちらは全体に混ぜ込んである……と思ったら

ロッテのしらゆきシリーズの「れん乳ホワイト」はこれがまた一段と甘かった。甘い上にすごくクリーミーだ。なんだかバニラアイスに近いみたいだわ。うふふ。なんて思っていたら。

あ!


ああっ!

曲者じゃー!

実際声に出して叫びはしなかったが、確実に心では叫んだ。平成のこの世で人間が生活していて「曲者じゃー!」なんてセリフ使うことってそうないぞ。

しかし、この「れん乳ホワイト」は紛れも無く曲者じゃ。

かき氷のカップを装って(パッケージにはためく「氷」ののぼりよ…)、あろうことか類別がラクトアイスになっているではないか。

「ラクトアイス」と「氷菓」の違い

アイスには厚生労働省による商品上の分類がある。アイスクリーム、ラクトアイス、アイスミルク、氷菓などがそうだ。ざっくり言うと脂肪分のパーセンテージでこの分類は決まる。

練乳の脂肪によって規定の脂肪分を超えると氷菓ではなく分類がラクトアイスになるのだ。

氷菓にとってはそこは彼岸である。

口をわなわなさせていたところ、追い討ちをかけてこちらもラクトアイスであった。


カップ類 ラクトアイス目 練乳科 白くま亜科「南国白くま」
10年くらい前はやたら大きなサイズのしか東京では買えなかった 今では普通のカップのがあるんだものねえ

そうだ、白くまもカップのかき氷だ、なんて買ってきたら、こやつもラクトアイスであった。気は抜けない。

いや、ラクトアイスだから悪いわけではないのだが、やっぱり夏は氷菓だと思うのだ。


カップ類 氷菓目 練乳・あんこ科

金時亜科「みぞれ 練乳がけ 金時」 納涼度 ★★☆
黄色と紺の色使いが渋さにマッチングしている 子どもには付いてこられない趣味だと思う

宇治金時亜科「宇治金時」 納涼度 ★☆☆
もうここまでくると、涼を得ようというかがっつり甘いもの食べたいという欲求の方が強いかもしれない けれど、抹茶部分は結構本気で氷なのであなどれないといえばあなどれない

ここはなんというか、ジャンルとしてはやはりシルバースイーツ、ということでいいのか。

ビジネスとは程遠いし、キッズとも遠い。甘味に対して老練な趣味を持つ者(私もその一人である)の土俵なのだった。


カップ類 氷菓目 フレーバー科

ぼやぼやしているとカップ氷菓はビジネスシーンへのマッチングを通り越して老練趣味へオーバーランしてしまうことが分かった。

これはいかん。軌道修正しなくちゃ。ビジネスビジネス!

というわけで、紹介も終盤である。ここまでくるともう練乳もあんこもないんだぞ。


いちご亜科「やわらか 赤城しぐれ いちご」 納涼度 ★★★
「赤城しぐれ」は「ガリガリ君」以前の赤城乳業の超ヒット商品だそうだ 「やわらか」とついているだけあって、確かにやわらかい。進化もしてるんだな

いちご亜科「トップバリュ いちごの氷」 納涼度 ★★★
スーパーのプライベートブランド商品にもカップ氷菓があった こちらは果汁入り。さわやか

「味」というと、やはり一番にイチゴなのだなあ、とヒゲをなぜる。

練乳もあんこもないカップ氷菓はイチゴ味ばかりと言ってもいいほどだった(サクレやシャビイのようなポップな商品はあるにはあるけれど)。

納涼度も★5つをつけた。が、どうだろう。やはりイチゴとビジネスは遠いのではないか。練乳やあんことはまた違う遠さがある。そうだ、かわいいのだ。かわいくちゃダメだろう、ビジネスは。


いちご亜科「みぞれ いちご」 納涼度 ★★★
「みぞれ」すらもイチゴ味だけはかわいいパッケージ 味は、ただただ懐かしい

なんと、これまで渋いパッケージを展開してきた「みぞれ」ですらイチゴ味だけはパッケージが違ってかわいらしいのだ。

容量も若干少なめで、子ども向け? ギャル向け? 素人には想像が追いつかないが、何しろ「アタイはビジネスシーンには向いてないのさ」と突き放されてしまった。なんで場末のスナック風になっちゃったのさ。


カップ類 氷菓目 みつ科

ポップなパッケージじゃダメ、輪切りレモンもダメ、バニラアイスもダメ、練乳もあんこもイチゴもだめ、そんな厳しいビジネスシーンにおいて輝けるのは、そうだ、やっぱりこの人しかいない。


しろ亜科「みぞれ しろ」
そう、「みぞれ しろ」御大である! それがしの出番か!

この上ないシンプル! うろたえるこの薄ら甘さ!

ここでもう一度タイトルコールだ。

今年は「みぞれ」が来る!

オフィスでも浮かずに、ガツンとした涼がとれる「みぞれ しろ」が、今年は大変に流行する。どうでしょうか。


「みぞれバー」がリバイバルするらしい

ご紹介の通りカップ氷菓の「みぞれ」は今も脈々と販売されているわけだが、私が子どものころ、はカップじゃなくバーアイスタイプの「みぞれバー」という物も販売されていた。グレープフルーツ味でよく食べた。

なんと、今年はこの「みぞれバー」が復活販売されるそうなのだ。

やっぱりカップじゃなくバーなの?!

いやしかし、しつこいようだがオフィスにはカップだと思う。バータイプのアイスだと一気に食べちゃうから、カップの方がすきなのよねぇ、という個人的な趣味でもある。

撮影に使った「ガリガリ君」はオフィスで食べました(そしてやはり上司に見つかりましたよ! ほらね!)

 
 

 

 
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