細くて、ずっと続いている道が好きだ。
それも、真っ直ぐすぎないほうがいい。家屋の間を抜ける、ほどよく曲がりくねった生活感のある路地がいい。道を歩いていて、脇道の路地にそういうのを見かけるたびに「おっ」と思っていた。
そしてそういう道はどうも文京区に多いと思うのだ。具体例をあげないと何のことやらだと思うので、いくつかをめぐって紹介したいと思います。
(三土たつお)
ふつうの道と、ほそ道
味のある細い路地のことを、ぼくは「ほそ道」と呼んでいるのだけど、まずはそういう道を、ふつうの道と比較しながら紹介したい。
こういう道ってたしかにある。ぼくはとても好きだ。この例の場合は木造の家屋と緑が見えて、情緒が分かりやすいと思う。
では、次に「ふつう」の道を見てみてください。
うん、まあ普通だ。住宅街の、整理された道。これはこれで悪いわけじゃない。
ただ、ふだん見かける道って、こういう幅もしっかりあって真っすぐ続く道ばかりなので、たまにくねくねした細っこい道をみかけると「おっ」と思う気持ちは分かってもらえるんじゃないかと思う。
で、こういう細道って適当に歩いていてもなかなか出会えるものじゃない。どこらへんに多いかというと、ずばり低地だ。
なんで低地に多いか?についてはおいおい触れるとして、まずは文京区のいくつかの低地スポットをめぐり、そこにどんなほそ道があるかを順番に紹介したいと思います。