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ひらめきの月曜日
 
食らえ!いわきパワフルフード

おしゃれさとホスピタリティで押してくるかまぼこ

今回訪れるまで知らなかったのだが、いわき市はかまぼこの生産量が日本一とのこと。そういうわけで、おみやげにはかまぼこを選んでみたい。


老舗っぽさ漂う構え

やってきたのは「かねまん本舗」というお店。名前の響きからも店構えからも、本格派っぽい雰囲気が漂ってくる。

しかし、今回のテーマはいわき市のパワフルな食べ物というもの。いくつかあるかまぼこの店の中から、なぜこの店を選んだかには理由がある。


始めて見たとき「え?」と思った
くずし字との対比で際だつシーフードケーキ

のぼりや看板にある「シーフードケーキ」の文字。この店ではかまぼこのことを、シーフードケーキと呼んでいるのだ。

お店の説明によると、「新鮮な魚介類=シーフード」で作った、ケーキのように見た目にも鮮やかなかまぼこ、ということらしい。言いたいことはわかる。でも、やっぱりすぐにはこの言葉を飲み込めない気持ちもわかってほしい。子供の誕生日のバースデーケーキがかまぼこだったら、微妙な空気になるだろう。

そして、このシーフードケーキという文字をじっと見ていて気づいたことがある。


これは…
ルマンド書体だ!

ブルボンのルマンドと共通の雰囲気をかもし出す書体。見た当初から感じていたモヤモヤの正体はこれか。

かまぼこだけど、ちょっぴりヨーロピアンムードが漂っていたのはこのためだ。日常生活のちょっとしたブレイクに、コーヒーとかまぼこ。そういうのもありなのかもしれない。

どうでもいい発見で一つの謎が解け、シーフードケーキという言葉への敷居も下がったような気がする。店内に入ってみよう。


広々した店内
えっ?と思わされる名前のかまぼこ

観光バスが立ち寄ることも想定しているような広い店内。入ってすぐのガラスケースには「シーラカンス」という商品のケースがあった。

食べ物としてその名をつけるのはずいぶんアグレッシブではないだろうか。よくよく説明を読むと、どうやらシーラカンスを展示している市内の水族館「アクアマリンふくしま」と共同で作ったものらしい。

そういうことならまあわかる。他のかまぼこも見てみよう。


もしかしたらケーキかも…と思い始める
気づくとこういうセッティング

クラシックタイプのかまぼこの他に、いろいろな工夫のあるかまぼこが並ぶ店内。あれもこれもと見ていると、店員さんから「ご試食どうぞー」と声がかかった。

振り返ると、くつろぎスペース的なところにかまぼこがセッティングされているではないか。しかも、寿司でも乗っていそうな木の台に並べられている。お茶も淹れてくれてある。

これはかなりグッとくるサービス。雰囲気はケーキというより刺身だが、これがまたうまそうに見える。


こりゃくつろぐわ
この旅で2回目の大黒様

旅のテンションを差し引いてもおいしく感じられるかまぼこ。噛むほどにやっぱりケーキではない、と思いを新たにしつつも、おいしさはそれとは関係なくしっかり感じる。

2000円以上買うとかまぼこが一本おまけで付いてくるというサービスもあって、結局このあと結構な量のかまぼこを買い込んだ。お店のペースにはまったと言えるのかもしれないが、気持ちよく買い物ができたのだからいいではないか。

買ったかまぼこの中で異彩を放っていたのは、「ポテ&チーズ」だろうか。


おしゃれ系工夫かまぼこ
完全にケーキ気取り

ジャガイモとチーズが入っているかまぼこ。それで普通においしそうなのだが、紹介の仕方がちょっと小粋なティータイム。しっかりしろ、そこにあるのはケーキじゃないぞ、かまぼこだ!と、自分に言い聞かせたくなる。

ケーキで押してくるパワーと、それに流されまいとする自分。この戦いの構図は一体何なんだろうかとふと思う。

これはもうケーキかもしれんな

どこかの街に行ってレポートを書くとき、そこにまとまるのはその街の全てではない。それは当たり前のことだろうし、今回の記事でも同様だ。ここに書いてあるのがいわき市の全般的な状況ではないし、見てきた全てでもない。

それでも、実際に見てきたことであるのは間違いない。そして、でかい、うまい、面白い、と思ったのもまた事実。

買ってきたかまぼこには、レンジで温めて食べるとおいしいとの指南書きがついていた。実際にやってみると、そこまで言うならもうケーキってことにしちゃってもいいかな、というおいしさでした。


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