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フェティッシュの火曜日
 
音楽寺にいい音の鐘を撞きに行く


 

宗教がない人でも年に一度はやる「祈る」という行為。合格・安産・健康・交通安全などなど、それが目玉というと言葉が悪いが、力がある寺社と聞くとなんとなく頼りたくなる。その効力もいろいろあるけれど、埼玉県は秩父に「音楽寺」というそのままズバリのお寺があると聞いた。別に音楽の効用を求めてはいないけれど、それはぜひ行ってみたい。しかも鐘の音がいいという話だし!

大坪ケムタ



新宿の芸能系、そして秩父の音楽系は?

今回「音楽寺」に行くわけだけど、そうした音楽系というか芸能系というか、そういった方面での効力ありそうな神社は少なくない。たとえば新宿歌舞伎町の横にある花園神社、と同じ敷地の中にある「芸能浅間神社」。


酉の市などのにぎわいも知られる花園神社。
同じ敷地の端にあるこちら。名前がいっぱい。

芸能浅間神社。お社自体は小さいです。

有名曲の歌碑があったり
有名人の名前があったり。

街中にそっとある感じがいかにもドラマのシチュエーションにハマりそうな小さなお社。しかし貼られてあるメンバーからしてもその効力やあらたか!のはず。音楽寺もこういった雰囲気なんでしょうか。

そんな新宿から2時間強、電車に揺れ続けて埼玉県は秩父に到着。笑点の林家たい平師匠がアピールしてるのでおなじみのこれが秩父だ!


ちち、ちぶ。どっちで切ってもちょっと顔が赤くなる地名。
駅前でふつうに熊鍋・猪鍋発売中。

寺に向かう途中の山から。おお絵になる光景。

と思ったら、ここからなら誰でも同じ光景が撮れるようだ。

こういう山だから見れる頭文字D的な注意書き。

自分も同じサイタマ県民になって2年経ちますが、こういうドリフト禁止的看板は初めて見ました。走り屋っているんだね‥。整地されてるし、歩道はしっかりあるのが助かる。

 

初めての鐘撞き、しかもいい音

さて麓の駅からずんずん登っていくと音楽寺の看板が。このあたりはお寺が多く「秩父三十四観音霊場」と言われており、それぞれ「×番札所」という名前がつけられている。「板東33ケ所、西国33ケ所とともに日本百番観音に数えられる」そうですが凄いなあ。板東・西国・秩父、ってひとつだけゾーンが狭い。アメリカ・ロシア・北千住、みたいな唐突感。


スニーカーで歩いて登れる程度の山です。

音楽寺、到着!大きくはありませんが風格ある寺社。

ウェルカム23番札所。

お寺の名前は正確には「松風山音楽寺」。その名の由来はここを拓いた13人の権者がこの地で松風の音を聞き、菩薩の音楽だと感じたことからだとか。風流な名前ですねえ。菩薩の音楽について説明はありませんが‥。シタールとか?

ただ、音楽寺といっても別に楽器があったり音楽が流れているわけではない。でもお寺で音‥といえば、これがあるじゃないか。


お寺といえば鐘、しかもかなり存在感ある。

有名曲の歌碑があったり
静かになら‥撞いていいの?


市の文化財でもあるこの鐘は1768年に据えられたもので、「秩父札所一の音色」とも呼ばれるそう。「日本第三位」とかじゃなくて「秩父一」てのがリアルですね。しかもこの看板を見ると‥撞いていいってことだよね?もしかしたら生まれて初めてお寺の鐘って撞くかもしれない。ほら、撞けたとしても友達とかいっぱいだとゴンゴン鳴らすわけいかないじゃないですか。40歳前、初めての鐘体験!

素人でも悠々撞けるこのサイズ。


おおお、デジカメのマイクゆえそれほどいい音で録れてませんが、たしかに澄んだ響き!ゆあんゆあんした感じといいこれぞ鐘。せっかくだからゴンゴン鳴らしたいけどそこは躊躇。

 

歌いたい!奏でたい!音楽寺に祈願する人たち

そして音楽寺という名前もあって、ヒット祈願で来る方も多いのだという。そのにぎわいを語るのがこの祈願の掲示板。いちおうプライバシーもあるので詳細は隠しておきますが‥。少しでも目立ちたい!て人もいるだろうから見せてもいいのかな?まあ一応モザイクで。


演歌・ロック・合唱団‥様々なジャンルの願いが。

演歌歌手やムード歌謡系歌手の方。
コンクールで優勝出来ますように!という学生。

作詞家の方が奉納したらしき詩。

奉納、というのとは違いますけど、バンドのフライヤーっぽいのから額までいろんな祈りがいっぱい。近場ならまだしも、わざわざこの寺まで来たと思うとその後が気になります‥。その御利益はあったのか?

この掲示板を越えて寺の上に行くと十三仏の石仏が。なんか日本むかしばなしまんま、てな光景ですね。その下には小さな庭園みたいなものも。ただ、その樹木につけられた看板を見てみると?


こんなザ・民話な光景なかなかない。

十三仏から振り向くと下には庭園が。

よく見ると‥赤字の強調が気になる。
渡哲也!歌にかけてるんですね。

おお、忘れたころに音楽寺のオンガクの部分が!植えてある木や花にひっかけて曲名が書かれてるんですね。ほぼダジャレ?いやいや、きっとお寺を身近に感じさせるための策ですよ、きっと。

宿はないけどこれがさざんかだ。
ただ、どうにも演歌寄りですねえ。

オペラ来ました、オペレッタ。
クラシック&演歌。でも松はちょっと強引。

これら看板も含めてのどかな光景の音楽寺。近所に公園もあるのでiPodで曲聴きながら弁当でも楽しむによい雰囲気。これから桜がきれいな季節らしいので都内近郊の方はハイキングがてら行ってみてはいかがでしょう。車でもいい距離だし、鐘も撞けるし。


寺から見える光景がまたいいんだ。山でけえ。

ただ、これは木も音楽もどうかかってるのかわからない。

歌碑もあります。こういう方がお寺ぽい。

秩父に行ったら次は‥

音楽寺!ミュージック・テンプル!というド直球な名前に興味持っていきましたが、普通になごんで帰ってきました。秩父がそんなに巡れるほどの寺地帯というのも知らなかったし。今度はぜひ小遊三でおなじみの大月も行ってみたい。


松風山音楽寺 

埼玉県秩父市寺尾3773


 
 

 

 
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