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ちしきの金曜日
 
東北地方太平洋沖地震・首都圏帰宅ログ

じっくりと待った方々

一方で、ぼくのように「運転再開?!じゃあ乗る!」ってんじゃなくて、オフィスにじっくりとどまった方々も大勢いらっしゃる。


ラインが青いのは、翌早朝に無事鉄道に乗って帰れたから。【大きな地図で表示

さすがにこの距離では、徒歩はありえない、というのもあるでしょうが、

(出発は)早くても日の出後と決めていました。

社内に同じ方面のメンバーが全部で3人だったのでいっしょに移動を約束。

うち1人は一人暮らしの女の子だったので、無理せずできるだけ安全を優先しました。

会社に残っている人も多く、食事と飲み物が充実していたのでつらくなかったです。

この環境がなかったら無理して帰って大変な目にあっていたかも。会社に感謝です。


とコメントされていて、家族の安否が判明したうえで、可能であれば無理して帰らない、というのは重要だなあと思った。 オフィスの耐震性とか居心地とか、同僚との関係とか、大事。

そうそう、ぼくが予想していることのひとつとして、派遣さんとか出向の人って、オフィスに居づらかったんじゃないか、ってこと。そういう経験をした方のお話が聞きたい。けっこう重要な問題だと思う。

あと、小さな子供がいる場合、どうしたって帰らざるを得ないだろうな、というのは想像できたが、ぼくが気づかなかったのは、

ほんとはお留守番のイヌが心配で早く帰りたかったのですが
というコメント。なるほど!ある意味、いちばん無力かもしれない。メールもできないし、彼ら。

ほかにはオフィスにいるのは落ち着かなかったので、近くの同僚の家に寄せてもらったという方や、24時間営業のバールのおかげで助かった、とお店に感謝しきりの方、いちばん驚いたのは翌々日まで待った方!など、いろいろなケースがあって、ほんといまの段階で「こうすべき」っていう結論めいたものは皆目見当がつかない。

 

自転車という選択肢

「自転車を買っているひとを見かけた」とコメントしている方が何人かいた。ぼくも真剣に検討した。近くの自転車屋をググったりしたもん。

で、実際自転車で帰宅された方も。


「事務所で自転車を借りた」という方。事細かに道中のコメントをいただきました。【大きな地図で表示

この方、自転車でスムーズに帰宅できたとのことなのだが、問題はご自宅の場所だ。そう、液状化の被害がひどかった浦安だ。

浦安〜湾岸をわたる陸橋:
普段とあまり変わらない感じだったが、陸橋入り口にテープが…様子がおかしい。陸橋出入り口にすごい段差。こえると道がドロドロ。車道、歩道のいたるところに亀裂、段差、泥があふれていて今までと様子が全然違う。いきなり被災地の雰囲気。

今回東京都心部は、ほとんど被害を受けていないので、このギャップはショックだったと思う。ほとんどの方が「家についてほっとした」とコメントしているのに対し、浦安在住の方々だけは雰囲気が違う。ほんと、一日も早く復旧することを願う。

 

新幹線すごい

いままでいただいた帰宅ログのなかで特殊なケースが、ちょうど東京に用事があって新幹線で移動している最中に地震にあった、というかた。


静岡手前で地震発生。【大きな地図で表示

なるほど、と思ったのが、このコメント。

N700だったので、電源はあるし、ネットにはつながる。i-modeでの親族とのメールのやり取りは不可だったが、ネット経由(nifty)で、母のi-modeとのやり取りは可能。その他親族とのもろもろの連絡で安否を確認し合う。

N700なら居場所もあり、暖房もあり、電源もあり、むしろ下車したくないとの思いがあり、東京に近づくにつれて不安が増大するも、到着。まちに、放り出される。

よく大雪などで新幹線車内に閉じ込められてしまった人たちのニュースを目にして「たいへんだなあ」と思っていたものだが、今回のようなケースではむしろ新幹線はかなり居心地の良い場所だったようだ。

実際、22時には東京駅に到着している優秀さ。新幹線すごい。

 

みなさんの帰宅ログ、お待ちしています

今回、ふだんのぼくらが東京の地理感覚を「歩く」という身体ではなく「吊革につかまって立つ」というやり方で把握しているかがよくわかった。

いただいたすべてをご紹介できなくてくやしい。どなたのログ・コメントにも「なるほど」と考えさせられることが含まれている。

それはたぶん、地震の後のここ数日いろいろなところで見聞きする情報と違って、みなさんひとりひとりしか知らないリアルな情報だからだと思う。このログは足を動かして得たものだ。ぼくはそれを知りたい。

最も驚いたのが、多くの方が今回のことを「予行練習として」ってコメントしていること。首都圏に暮らすぼくらが、いかに「いつか必ず東京がやられる」と思っているかがよく分かる。

ここでは書ききれなかったが

・化粧の問題
・トイレの問題
・常備薬の問題
・靴、荷物の問題
・寒さ、季節、天候、週末であった幸運

など思うことはたくさんある。今後もちまちまとサイトにまとめていくつもりだ。

ということで、まだまだお待ちしています。気が向いたらぼくにメールをください。詳しいことは→こちら

ちょっとDPZ向きじゃないかもな、とも思ったけど

なんとなく、今回のこの内容はデイリー向きじゃないかも、と思ったけど、あえて記事にしてみた。どうだろうか。結論はまだないけど、いずれその能力のある人に手伝ってもらって分析したいな、と思っている。

で、来月さっそくその能力のありそうな2人と、この帰宅ログについて、カルチャーカルチャーで議論してみたい。

昨年夏に大好評だったマッピングナイトの2回目。もちろん石川さんと渡邉さんと。

さすが、渡邉さんは今回の地震の復興支援、震災情報を伝えるマッピングサービスを精力的に動かしてます。詳しくは→こちら

記事掲載現時点ではイベント詳細まだですが、ご興味のある方はぜひお越しくださいな。


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