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土曜ワイド工場
 
東京フクロウフィーバーを見に行く


この中にフクロウがいます

多摩川に野生のアザラシが現れて「タマちゃんフィーバー」が起きた。テレビや新聞でもよく特集され、多摩川には多くの見物客が訪れた。

野生動物が現れて「フィーバー」が起きるのは日本に限った話ではない。

たとえば1956年、ニュージーランドのオポノニという田舎街の海に野生のイルカが棲みつき、国をあげてのフィーバーが起こった。昔から万国共通で人々は突然現れる野生動物が好きなのだ。

そして2011年、多摩川の河川敷に野生のフクロウが現れた。はりきって見に行こうではないか。

地主 恵亮



大都会にやって来たフクロウ

2010年暮れの読売新聞に「多摩川にフクロウ」という見出しが躍った。しかも、写真もデカデカと載っている。さらにカメラ目線。このフクロウにアイドルとしての素質を感じた。


カメラ目線

今年になってからは、テレビの取材が来たり、大きなカメラを持った人たちが沢山やって来たりと人気を博しているという話も聞いた。

つまり「フィーバー」が起こっているのだ。
数十年前は東京でもフクロウは見れたそうだけれど、今では珍しい。それなのに多摩川にいるのだ。そりゃ、フィーバーが起こるはずだ。


見に出かけます(ガス橋の辺りにいるらしい)

多摩川と言ってもかなり長い。
のどかなところも流れているのだけれど、今回フクロウがやって来た多摩川は大都会・東京の大田区だ。もし僕がこの辺りに住もうと思うと、収入のそのほとんどを家賃に当てなければならない。


多摩川をはさんで東京と神奈川(フクロウがいるのは東京)

フィーバーしているのか

僕は神奈川側からフクロウを目指しているので、ガス橋を渡り大田区に足を踏み入れた。大きなマンションが建ち並び、本当にフクロウはいるのだろうか? と心配になってくる。

イメージ的にフクロウはもっと家賃が安そうなところにいる気がする。どんなに高くても1DKが20000円くらいのところに。それなのに僕では到底住めないようなところにフクロウはやって来ている。情報通りフィーバーしているのだろうか。


絶対に家賃高い

河川敷のグランドを横切りフクロウがいるという場所に近づいて行く。そして驚くことに気が付く。遠くからも分かるのだ。見物客が少ないということに。僕が思い描いた飲めや歌えの大フィーバーは起きていなかった。強いて言えばスーパーでタマゴ98円みたいなフィーバーだと思う。


数少ない見物客が見上げる先には、

いた!

フクロウがいた。堂々たる風格だ。
初めて野生のフクロウを見た。近くにいた見物客のおじいさんが「吹き矢で捕れるな」と言っていた。もちろん冗談で言っているのだけれど、若者に比べれば劣るであろうおじいさんの肺活量でも、撃ち取れるほど近くに野生のフクロウがいるのだ。嬉しくなってくる。


矢印のところにいます!

動物園にもフクロウはいるだろうけれど、やはり野生の方が嬉しい。養殖の鯛より天然物の鯛の方が値段が高いのと一緒だ。

「実はな…この鯛…養殖やねんで…ゴメン…」より「この鯛!!天!ね!ん!物!だ〜〜〜!」の方がテンションが上がる。言い方に多少の違いはあるけれど、それと全く同じことが今起きている。要するに嬉しいのだ。


天然物

このフクロウは「トラフズク」というフクロウらしい。
太い眉毛みたいなのが愛らしい。最近は眉毛が細いのがオシャレみたない風潮(人間界の話だけれど)だから新鮮に感じる。昭和だ。平成の初期だ。


みんな上を見ている

タマちゃんの時ほどのフィーバーは起きていない。
しかし立ち止まり木を見上げている人は何人もいる。何もいなければ立ち止まる人はいないだろうから、やっぱりフィーバーが起きていると言ってもいいと思う。また、タマちゃんと比べるとダメだけれど、比べるものを変えれば、このフクロウは大フィーバーだ。


同じ鳥でもハトと比べればその盛り上がりは一目瞭然!

お店もあった

このフクロウは多くを語らない寡黙な感じだ。
カッコいいと思う。一羽しかいないのがそのカッコよさに拍車をかけている気がする。見ていてホレボレするのだ。


嬉しくて撮ったツーショット(フクロウは写らなかったけれど)

友達がいなかった高校時代の僕と状況は似ているのにまるで違う。何が違うのだろうか。僕には大空を自由に羽ばたく翼が無いからだろうか…(中二みたいなことを書きました)。


翼があっても手入れとか大変そうだからいらないな

天然物のフクロウを十分に堪能した(1時間くらいずっと見てた)ので帰ろうと思い、今度は東京側の最寄り駅「下丸子駅」に向かい歩いた。

歩きながらふと考えた。
多摩川で起きたタマちゃんフィーバーは、タマちゃんを題材にした歌が出来たり、出店が出たりと祭りのようだったな、と。

それと比べると、やはり今回のフクロウフィーバーは少し寂しい。そんなことを考えていたらフクロウの店があった。


ど〜ん(ガス橋から5分くらいのところ)

「らーめん梟」だ。
このフクロウフィーバーにあやかってか! と血が騒いだけれど、別にそうでもないらしい。「らーめん梟」はフクロウフィーバー以前からここにあり、都内に何店舗もお店を出しているそうだ。


ジャンボ餃子を頼んだ

せっかくだからとお店に入り「ジャンボ餃子」を頼んだ。
食べてみるとこれが美味しいのだ。厚めのモッチリした皮に具が絶妙にマッチしていてしかも大きい。小さいのか大きいのかと問われれば僕は断然大きい方がいい。だから大満足だ。多摩川のフクロウとは関係ないけれど、出会えてよかった餃子だった。


超美味しいの!

静かなフィーバーの良さ

このフクロウ、最初は5羽いたそうだけれど、今は1羽しかいない。
フクロウの数が減るにつれて、見物客も減ったそうだ。その分、残ったフクロウは静かに暮らせるし、僕もゆっくりと天然物のフクロウを堪能することが出来た。席替えで密かに好きな女の子の隣になったくらいに嬉しかった。

図鑑に載っていたトラフズク、やっぱりカッコいい

 
 

 

 
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