自宅のトイレに東京の地図を貼っている。
ここには仕事で行ったな…、ここには親戚が住んでる…場所ごとに記憶があるものだが、すぽっとそういう記憶がない場所がある。
僕の場合は小平だ。
小平に縁がない。トイレに入るたびに小平のあたりを見ていったいどんなところなのか夢想している。
しかし小平にこれといった用事がない。わざわざ行かないといちども行かないままになってしまうかもしれない。(林 雄司)
小平耳年増になる
小平に行こうと決めてからずっと小平のことを調べていた。
小平の由来は小川村の「小」と平らな土地だったから。小川村となんとか村の文字を取った…と思わせておいて、後半は地形の話だ。階段登っててもう一段あると思ったらなかったときみたいな気持ちになる。小平ったら、モウ!と言いたくなる。
小平の名物はうどん、ブルーベリー、うど。名所は玉川上水と小平ふるさと園である。小平ふるさと園は江戸時代の民家を再現した場所だ。このほかにも丸形の郵便ポストが多いことも推している。
小平だけでサライの特集が組めてしまいそうな渋さである。
いよいよ小平に向かいますゾ
高田馬場から乗り換えて小平に向かう。拝島快速という電車が走っていた。「拝む島」と書いて拝島。いつも思うけど珍しい地名である。
小平のあたりが気になるのは妙に入り組んだ西武線の路線図の印象があるからかもしれない。
昭和の初期に行楽地である多摩湖に行く鉄道を3社が走らせたのだがすべて西武が買収したためにこのようなことになったそうだ。この話はデイリーで書いた気がすると思ったら書いていた(「昭和のダムブーム」)。
青梅街道という鉄道なのに道路を冠している駅名も気になる。ガスという名の電力会社のようだ。
アムンゼンみたいな気持ちで書いているが要は高田馬場から20分ぐらい電車乗っただけの話である。いや、でもこの半年ぐらい毎日トイレで眺めていた町、小平だ。感慨深い(僕だけは)。
小平になんの思い入れもない人にはペラペラの記事になっていると思うが、違うのだ。次のページではこんな巨大郵便ポストが登場ちゃうのだ。