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土曜ワイド工場
 
PDCAサイクルで理想のサイフをつくりたい


立春である。春財布である。
毎年この時期にはサイフを新調したい欲が高まる。というよりも、いつだってサイフは女の物欲の象徴だ。中学のときから、友人と街で遊ぶときはプリクラを撮って雑貨屋に行ってCD屋に行って、最終的にデパートの1階で何時間でも財布選びに費やした。大人になったら、きっと憧れのブランドの財布が似合う、素敵なOLになるのだと思っていた。
しかし未だ、私の手元には理想の財布がない。いつもなにかが足りない。
これをどうにかできまいか。自分で作ってしまおうか。

田村 美葉



PDCAサイクルで理想を手に入れる

というわけでPDCAサイクルである。
PDCAとは、Plan→Do→Check→Actionのプロセスを順に繰り返す、マネジメント手法のことである。

とりあえず普通のOLにはなった私は、顧客に対して「このサイクルをまわすことによって、常に市場の要求にこたえることが重要なのですよ」とかなんだとか、知った風に日々営業活動に励んでいるのだ。OLは大変である。
そして今回は、私自らPDCAを実践し、私の要求にこたえる、私の理想のサイフを作ろうというご提案だ。


ほんとうの提案資料はもう少しだけまともです。

そして、用意した素材と、教本(中島麻美『ガムテープでつくるバッグの本』池田書店2009年)

素材はガムテープである。
私が革職人なら革で作るし、ビニール傘職人ならビニールで作るところだが、残念ながらそのどちらでもない。そこでインターネットの荒海を検索していたところ、身近なガムテープが財布の素材に使えると発見した。

なんでも、日本と違ってシルバーのガムテープ(ダクトテープという)が主流のアメリカでは、これを使って財布を作るのはどうやらポピュラーな趣味らしいのだ(この動画とか)。
必殺工作人の小堀さんも、おなじくガムテープでいろいろなものを作って最終的にすごい地点に到達していたが、いくらでもトライ&エラーが試せるガムテープで、私も理想を目指したいのである。


OLになれば、クロエとかミウミウの新作を思う存分買うのは難しくても、ガムテープ全色そろえるくらいはわけないんだもんね。

 

ガムテープによるサイフの作り方 ダイジェスト


方眼紙に型紙をうつす
型紙をクリアフォルダに入れて、生地(ガムテープ)を裁断

クリアフォルダからはがしつつ、貼りあわせる
細く切ったテープで端を処理

体感時間にして15分ほどで完成した、マネークリップ。

途中でこんなんなっちゃわなければ、おおむね楽しい作業である。

教本やYoutubeの動画を参考に、基本のポケットの作り方などを学習すれば、あとはフタをつけたりポケットを増やしたり、思いのままに応用が可能だ。
それではここから、PDCAサイクルに入るとする。

いま持っているサイフはポケットがいっぱいだけどジッパーがついていたりでとにかく分厚い。荷物を軽くしたい旅行のときなどには、けっこうなストレスである。しかし最初につくったようなマネークリップだと、それはそれでポケットが少なくて不便。いろいろ入って、薄いサイフが作りたい。


「分厚いサイフ」といえばお金もちの象徴だが、なにも入ってなくてこの分厚さなのだ、今のサイフ。

→要件:とにかくスリムでいろいろ入るサイフ


いろいろ間違えつつ型紙を作成
作業には、ガムテープがすぐにはがれるカッター板が便利である。

できた。

カードいれを2箇所完備
マジックテープのフタつきで小銭も収納可能

既存のサイフのスリム化に成功。

CHECKの一環として試しにこの財布で一日過ごしてみようと会社に持ち出したところ、お昼休みに「それ、なんですか」と早速ばれた。そうだ、この日は4月入社予定のインターン生たちを誘ってランチに行く約束をしていたのであった。忘れてた。入社後の心構えや将来の目標などについて前向きな話をすべきところが「ちょっとね…ガムテープで作ったんだよね…」「ガムテープ!?」といらぬ注目を集めるはめになってしまった。

どんな物事でも必ず褒めてくれるできる後輩が、すかさず「ぜんぜんガムテープに見えませんね!すごい!」ともてはやしてくれたが、インターン生たちの間で「入社4年目でガムテープの財布を持ってるひとがいる会社」ってことになってないだろうか。心配である。

ガムテープで普通のサイフを目指すと、否が応でも注目を集めてしまうことがわかった。ガムテープではミウミウにはなれないのである。ならばだ。普通には売ってない、私だけの便利要素てんこもりのサイフを目指そうではないか。

→要件:スリムでかつ、ちょっとスペシャルなサイフ

 

再度、型紙を作成
ガムテープの幅5cmというのが、カードの幅にぴったりなのでポケットを作る作業が容易。

 
できた。

真ん中にケータイを載せれば(ギャルになる企画でデコデコにしたHT-03Aだが、今回関係ないのでそこは無視してほしい)

おサイフつきケータイである。

以前、自転車に乗ってふらっと東京ゲートブリッジを観に行った際、ケータイだけ持ってうっかりサイフを持たずに出てしまい、コンビニに入って気づいて非常にひもじい思いをしたことがあったのだった。このサイフなら、ケータイとセットで持ち出せるから、もうぜったいにサイフを忘れない。小銭もお札も入るので、おサイフケータイ非対応レジでも使える。
これは便利だ。もっといろいろ作ろう。

素材を買い足して


マリメッコ風にする。

会社支給のべつのケータイ用にも作った。

 

女子のたしなみ、キーケースも作った。

あると便利な、文庫本カバーを作った。

あると便利な、MOLESKINノートカバーを作った。

幸い、交通系ICカードの類はたくさん持っている。

そして全てがおサイフつきになった。

これで電車にも乗り放題
自動販売機やコンビニでもつかえる。

という予定だったのだがしかし、翌日これらを持ち歩いてみるに、定期のついているカードはべつのところに入っているわ、チャージしてあるカードとチャージしてないカードがあるわ、会社のIDカードをどこに入れたか忘れたわでいろいろ大変な1日を送るはめになったのであった。


がしーん。(残高不足)

結論:PDCAを繰り返すと、サイフはサイフじゃないものに進化を遂げる

PDCAを繰り返すと、ひとはだんだん調子に乗る。調子に乗ると、理想から離れたべつのところで進化を遂げていくことがわかった。ガラパゴスといわれることになるケータイをつくった日本の携帯メーカーのひとたちの気持ちがかなりわかった気がする。というか、メモがとれて、本が読めて、鍵としても使えるおサイフってつまり、スマートフォン+おサイフケータイとして既にどこかで売っている気がする。あれ?
やけに原始的なところで進化とか言ってしまってお恥ずかしい。

いちばんデザインが気に入ったこれに機能を集約して、私の理想はいちおう完成。

 
 

 

 
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