モヤモヤ源を見逃すな
どのお菓子にも漂うそれぞれのモヤモヤ性。しかし、さらにじっくり見てみると、見逃していたことがあるのに気がついた。再びルマンドに戻って見てみよう。
短いひとことで商品を言い表す枠がある。ルマンドの場合、「エクセレントクレープ」。
確かはそのおいしさは間違いないルマンドだが、エクセレントクレープとまでは思ってなかったというのが正直なところだ。言いたいことはわからなくはない。ただ、 ここまでの言葉を冠するのに空回りはないか。
このテンションは全ての商品で保たれているわけではない。大抵は冷静なのだ。
写真はチョコリエールとルーベラ。それぞれ体によさそうな材料や、リッチな数値を載せてきている。この手のアピールは他社のお菓子も含めてよく 見るものだと思う。
抵抗なくスッと入ってくる材料系。ただ、同系統の中でもモヤりを放つものもある。
バームロールは「ホワイトクリーム」。確かにそうだ、ホワイトクリームを使ったお菓子だから、言いたいことはわかる。実際に全体が クリームコーティングされているので嘘はない。
ただ、そうわかった上でも「クリーム押しか…」というぼんやり感があるのは否めない。個人的にクリーム好きなので、気持ちに迫ってくるものもあるのだが、それでもなお「クリーム…」とい う思いはどうしても並行してくる。
さらなるぼんやりムードのものもあった。
最古参のホワイトロリータは「マイルドテイスティー」。何も言ってない。
マイルドかつテイスティー。それはわかる。それを理解したはずなのに、何も伝わってきてない気がするのはなぜなんだろう。水の中で目を開けたようなぼんやり感。
先に述べたように、全体としては深窓の令嬢のような気高さを漂わせるホワイトロリータ。だからこそ、このように謎めいたフレーズが似合うのかもしれない。
さて、もう一度ルマンドに戻る。パッケージ前面のモヤモヤは解明したつもりなのだが、裏面にもまだすっきりしないものを漠然と感じていた。この感覚、一体なんだろう。
しばらく見ていて気がついた。その正体は、写真にあった。
ルマンドが大きすぎるのだ。
ティータイムのひとこまといった雰囲気に添えられたルマンドの姿。冷静に見ると、どう考えても大きさがおかしい。他の物の大きさから推察すると、両手で抱えるくらいの大きさになってないか。
モヤモヤの実体はこれだったのか。そしてこれはルマンドだけの問題ではない。
小粋な午後のひとときムードはいいのだが、でかく見えるスイッチが入るとどれもこれもでかい。ちっとも小粋ではなく、相当腹にたまる大きさだ。
両手でつかんで、はじから丸かじりするという食べ方になるだろうか。おかしいだろ、それ。
書体やフレーズにはそれぞれ違いがあった今回のお菓子たちだが、裏面写真のでかさは全てに共通。徹頭徹尾、このでかさ。またひとつモヤモヤを解明できた気がする。
ブルボン製品と改めて向き合ったことで、これまで漠然と感じていたモヤモヤの根源が見えてきた。ブルボンというすりガラスにセロハンテープを貼ったようでもある。
それでも驚いたのは、正体がはっきりしたところで、やっぱりモヤモヤは漂い続けること。霧の仕組みを理解したところで、視界がすっきりするわけではないのだ。
しかしそれはネガティブなものではなく、ブルボンならではの魅力であるとも思う。これからもそのしぶといモヤモヤを味わいながら、ブルボンのお菓子を食べていきたい。