小学校の時、給食で出てきたパンをちぎった後、さらに指で小さくしてから食べる事があった。
そんな話を周りにしてみたら、「私もやった!」と懐かしむ意見と「えー、そんな事しなかった」という意見の二手に別れた。
「そんな事」とか言われてしまうと、行儀の悪い子だったかと恥ずかしくなってしまうけど、別に食べ物で遊んでいた訳ではなくあの時はあの時なりに理由があった。
今回はその理由について検証したいと思う。
(小堺 丸子)
皆やってると思ってた
今回最初に提出した企画タイトルと概要のメールを見た編集部の担当さんから、食べ物を使って一体何をするつもりなのかと心配の電話が来た。再度内容を伝える。
私「ええと、給食の時にパンを指で潰して食べたりしてましたよね?あれを思い出しまして、、、」 担当さん「いえ、やった事ないです」
ええっ!? 私はそれまで、パンを潰して食べるのは皆が必ず通る道、小学校あるあるネタだと思っていた。
確かに、同じ道を通っていない人には唐突な企画に感じるかもしれない。
私がパンを潰してたワケ
というわけで本題に入る前に、やらなかった派の方々に対してなぜパンを潰して小さくしていたのか説明したいと思う。
といっても私が思い当たる理由は2つだけだ。
理由その1:食感を変えたかったから 理由その2:早く食べられるから
私は当時から食べ物の好き嫌いは無かったが、給食で毎日の様に出てくるコッペパンや角切りチーズパンに飽き飽きしていた。しかし給食を残してはいけない。だが早く校庭に出たい。
そこで、マンネリを解消するために食感を変え、早くポコペンをしにいく為にパンを小さくしていたのです。
周りの人にも聞いてみる
担当さんの一言で、もしかしたら自分しかやっていなかったのかもと不安になった。そこで適当に周りの人にも聞いたところ15人のうち10人が「やった」と同調。一応多数派のようだ。
ついでに何で小さくしていたのかも聞いてみたところ、女性は「食べるのが嫌で」「遅いから」というネガティブな発想からくるものが多かった。そして男女ともに「楽しかったからかなあ」という小学生の時らしい意見がチラホラ。
まあ正直、私もそういう気持ちも含んでいたことは確か。でも答えてくれた皆の意見で共通だったのは「食べ残さないため」の子供なりの工夫だったという事が分かった。
それぞれの理由
>ネガティブ発想 ・食べるのが遅いので給食の時間に間に合わず、圧縮することで口に入れる量を増やしてた。 ・給食自体が嫌いで、いつも教室に残されていやいや食べていた。ちょっとでも量を少なくしたかった。
>ポジティブ発想 ・味が濃くなった気がしたから。 ・食感を楽しんでいた。 ・食べやすくするため。
>小学生的発想 ・面白かったからじゃない? ・そこにパンがあったから。米があれば米をつぶしてた。 ・無意識。子供に理由なんて無い。
いよいよ本題
さて本題。上記の小学生的発想を除きまとめてみると、結局は私の挙げた2つの理由「食感が変わる」「早く食べられる」だと思う。今回はこれらが実際どの程度のものだったのかを検証したいのです。
という訳でまずはパンを潰して小さくします。
今回は検証用に多めに欲しかったので、パン屋さんにお願いしてカット前の食パン1斤を用意した。耳の部分があるとうまく潰れないのでカット。
なるべく四角い形状そのままにと5分ほどかけパンを圧縮。せっかくのフワフワなパンを潰してしまう背徳感と、二度と戻らない柔らかさを感じながら思い切って潰した。 すると大体4分の1位まで小さくなった。
検証その1:食感はどのように変わるのか
このまま食べ比べてもいいけど、朝いつも食べてるようにトーストにして比較してみたい。
潰されたパンは、当然だが空気が抜け全体的に密度が濃くなってる。それにしてもこの大きさ、モチの様でもありラスクの様でもある。食感が楽しみだ。
外はサク!中はモッチリ!
あ、美味しいこれ! いや勿論いつものフワフワも美味しい。でもこれ、見た目的にラスクみたいになっていたのでカリカリ系になったかと思いきや中はモッチリ。口に中に執拗に残るパンの濃厚な旨み。食感がまるで違うし、普通のパンに飽きた時に小さくしていたのはやはり正解だった。(まあ当時はトーストじゃなかったけど)
それにしても小さいしすぐ口に入るからと思って一気に2枚食べてしまったのは失敗。後でお腹の中で膨れだす。
検証その2:どれくらい早く食べられるのか
お次はどれほど時間短縮になるのか計ってみたい。まずは普通のトーストから食べてみる。
今回の目的は早食いではないので、「いつものようにちょっと寝坊したけど何か食べとかないとお腹鳴っちゃうからパン1枚だけ食べとこう」レベルを想定して食べた。
お次は小さくしたパンを食べてみます。
どちらも焼きたてに変わりないのだが、こちらの方が熱さが残りやすいのかハフハフしながら食べた。それと口の中でモチャモチャしてるので想像していたより飲み下すまでに時間がかかる。それでも1分弱なので小さくすれば同じ時間で普通の倍食べられる事が分かった。
さて、こんな感じで検証は早くも終わった。結果的に小学生の頃の私はパンの飽きを克服し、皆より早く校庭に出る事に成功していたようだ。1人でポコペンは出来ないけどね。
他のパンでもやってみよう
他にも小さくしたら美味しくなるパンは無いだろうかとコンビニやスーパーで探してみた。しかし大概は潰すのに適さない、クリームや惣菜が入ったものやパイ生地といったものだった。でもそんなラインナップの中に1つだけ、是非やってみたいと思ったものを見つけた。
北海道が描かれた、お馴染みのチーズ蒸しケーキ。うまいこと圧縮できればこの北海道の絵も小さくなって見た目が可愛くなるだろうし、食パンとはまた違った食感になりそうだと思ったのだ。
食パンの時は形も単純だし大きさもあったので割と思い切ってつぶせたのだけど、今回はぺちゃんこにならないように気をつけてやる必要があった。さらに、こちらの方が形が崩れやすい手触りだった。これでいいかなと思うまで15分くらいの作業。
そしてできたのがこちら
体積にして大体2分の1くらいの大きさになっただろうか。ちょっと可愛い。 凝縮されたことで色も黄色味を増している。一口チーズケーキみたいで美味しそうだ。
あんまり変わらないならフワフワの方がいいかもな、と思った。そして無意識的に、子供の頃のように指でさらに小さくして食べていた。ラップの上からだと食パンよりもこの蒸しケーキは思うように潰しきれない所があったのだ。でも別に印象は変わらない。
そうして私がアレレと思っていると、ちょうど母が散歩から帰ってきたので食べ比べてもらう。
食パンの時は、「普通の状態でも美味しいけど、小さくしても美味しい」とハッキリ言う事ができる。
でも今回のはどうかなあ、確かに食感の違いはあるけど・・おススメするほど違いが出てない気がするのだ。
「初」チーズ蒸しケーキのおばあちゃんに食べて貰う
私と母は、この蒸しケーキを以前にも食べた事があった。 そして母には「通常のもの」と「小さく潰してみたもの」という情報を与えていた。
しかし何の情報も持たないお祖母ちゃん(たまたま遊びにきていた。食べるの初)に食べて貰ったらどんな感想を持つだろうか。
おおー!
<結論> パンを小さくして食べると時間を短縮できる。そして食感が変わって美味しく感じられる。こともあったり無かったり。
ランチパックの端だ
心配させてしまった担当さんに「昔潰して食べてたのは遊びとかではなく、食感が変わって美味しく感じた気がするんですよね、あれを再現したくて」と説明すると「ああ、ランチパックの端が潰れてるとこ美味しいですもんね」と納得していた。わー凄く分かりやすい。食感はそれで説明ついたんじゃないか。
それにしても北海道チーズ蒸しケーキは冷凍するとほんと美味しく感じますね。(チーズ蒸しパンは冷凍すると美味しくなる)今回余りを両方凍らせてみたんですが、これは潰した方が好みでした。