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土曜ワイド工場
 
壮大な氷柱の前でちまちまと針に糸を通す


極長氷柱群は圧巻です!

当たり前だけれど冬は寒い。
しかし、そんな冬だからしか見れない自然の美しさもある。それは「雪景色」だったり、「流氷」だったりする。

「氷柱」もその一つだ。
長い氷柱はメートル単位になるそうだ。僕は九州育ちのためにあまり氷柱を見たことが無い。メートル単位の氷柱なんてもってのほかだ。ぜひ見たい。

ただ、かなり寒いところでしかそんな極長の氷柱は見ることができない。そんな場所に行ったら寒くて震えてしまうだろうと思う。そして、そんな震えでは針に糸は通せ無いだろうと思う。

いま急に「針」と「糸」が出て来たけれど、極長氷柱を見るついでに、その場所がどのくらい寒いのか知るために針に糸を通してみようと思う。暖かい場所と比べ、寒さで手が言うことを聞かずなかなか通らない気がするのだ。

地主 恵亮



氷柱までのひとつの憂鬱

今回は埼玉県は秩父の山奥に氷柱を見に行くことにした。
「三十槌の氷柱(みそつちのつらら)」という岩清水が厳しい寒さで氷柱になった氷柱群があるのだ。その氷柱は驚くほどに長い。僕の背丈なんかより全然長いのだ。背の順に並ぶと氷柱が一番後ろだ。ぜひ見たいと思う。


陽が昇ると同時に家を出る

家を出たとたんに寒い。
近所に氷柱が出来ていたら嬉しいと思ったけれど、もちろん出来ていなかった。後で現地にいた観光客のおばさんが「最近は氷柱が出来ない、子供の頃はあったんだけどね」と言っているのを聞いた。今では氷柱は珍しいものになったようだ。


ギュウギュウの電車に乗り込む(神奈川の自宅から秩父まではかなり時間がかかる)

今回一番懸念していることは、秩父の三峰口駅前から乗るバスが「フリー乗車」ということだ。運転手さんに「三十槌の氷柱」を見たい旨伝え、降ろしてもらわなければならないのだ。

ピンポンを押してバス停で降りるのではないのだ。
これが人見知りの僕にはハードルが高い。氷柱は楽しみだけれどこれが憂鬱で仕方がない。どうしたものかと思いながら電車に揺られた。


ちなみに電車内の温度は21度

針に糸を通す

電車内でおもむろに温度計を出すと21度だった。
たくさん着込んで来ているので暑いくらいだ。さらにおもむろに針と糸を出した。この21度という温度ではどれくらい針に糸を通すのに時間がかかるのか試そうと思ったのだ。長い長い電車旅ではよい時間つぶしだ。


不器用です

僕は不器用なので普段は100%「糸通し」を利用している。
「糸通し」を利用しないで針に糸を通すのは本当に久しぶりだ。いったいどのくらい時間がかかるんだろうと思っていたらあっさり通った。器用になったのだろうか。暖かいためだろうか。謎だ。


14秒で通った

御花畑で針に糸を通す

器用になったのかと考えていたら御花畑駅に着いた。
ここから秩父鉄道に乗り換え、三峰口駅を目指す。しかし電車の数が驚くほどに少ない。ラーメンなら食べる気が失せるくらいにのびてしまう待ち時間が発生する。でも、待つしかない。


御花畑にて(ちなみに三脚で撮りました)

御花畑でお裁縫と書くとなんだかメルヘンな気がする

待ち時間を利用して針に糸を通す。
さすがに外なので手がかじかみ動きが硬い気がする。やはり寒いと糸は通りにくくなるのだろうか。実際、電車の中で通した時よりはもたついたと思う。


ちなみに11度でした

といっても「30秒」で通ってしまった。
全然許容範囲のタイムだと思う。昔はどこでやっても、もっと時間がかかったけれど、この環境で30秒だ。僕は器用になったのかもしれない。

もしかすると、人見知りも治って「三十槌の氷柱を見たいっす」とバスの運転手さんに言えるかもしれない。なんだか明るい兆しを感じた。針に糸を通してみるもんだと思った。


約30秒です

嬉しい話と違う!

しばらくすると電車がやって来たの乗り込んだ。
乗客は少ない。朝のギュウギュウの電車がウソみたいだ。窓から見える流れる景色もとてものどかである。

きっと今も株価は変動しているけれど、ここではそんな世界の存在を忘れてしまう。もっとも普通に生活していても、僕は株価の変動を気にしたことはないけれど。


誰もいない

特に何も起きず無事、三峰口に到着

三峰口駅ものどかだった。
駅の目の前にバス停があって、時間があったので見回していると、今回の目的地である「三十槌の氷柱」の情報が貼ってあった。そこを熟読するとフリー乗車ではないらしいのだ。これはやっぱり嬉しい誤算だ。


熟読した

「秩父湖行き」に乗るとフリー乗車で、それ以外だと「宮平」で降りないとダメらしい。一般的には、「秩父湖行き」の方が楽だからフリー乗車の方が嬉しいけれど、僕にとっては歩く方が断然いい(人見知りだから)。もっとも、「秩父湖行き」は1日に2本しかないので、乗りたくても乗れないという問題もある。


少ない!(取材に行ったのは平日)

乗客も少ない(フリー乗車じゃないバスに乗りました)

乗ったバスは普通のバスだけれど「メロディーバス」と言って、降りたい時に運転手さんに言えば降ろしてもらえるシステムらしい。

ただ今回は「三十槌の氷柱」へ道が分かれるギリギリのところにあるバス停まで乗るので、声をかける必要がない。なんだかホッとした。器用にはなったようだが、人見知りはそのままのようだ。


ボタンを押せる喜び

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