プノンペンはカンボジアの首都だ。
しかし日本の大阪にも「プノンペン」があるという。
なんだそれ、ということで行ってきました。
(斎藤 充博)
イントロの写真でばらしてしまったが、大阪の「プノンペン」とはラーメン屋の名前だ。ちなみに、メニューは「プノンペンそば」と「プノンペン」だけ。
「プノンペンそば」、ならまだしも、「プノンペン」ってメニューは何だよ、と思う人もいるだろう。なんでも、「プノンペン」で出している「プノンペン」は「プノンペンそば」からそばを抜いた物なんだそうだ。
今、わざとわかりにくく言ってみた。
本当のプノンペンにプノンペンで出しているプノンペンそばはない
こちらで出している「プノンペンそば」だが、特にカンボジアのプノンペン由来の食べ物ではない。
「プノンペンそば」の経緯を聞いてみたら、これが非常にややこしい話だった。箇条書きで書かせて欲しい。
ほどなくして「プノンペンそば」は人気になり、「プノンペン」はうまいラーメン屋として雑誌にたびたび紹介されるようになった。
プノンペン一本に賭けた成功譚だ。しかし、よくこんな実体のないプノンペンに賭けられたものだと思う。先代の決断はすごい。
「プノンペン」の歴史はまだ続く。
話はさらに複雑で曖昧になった。まるで地方の民間伝承の由来でも語っているみたいな気分になってくる。ちなみに、二代目が本物のプノンペンにステイしたのは4年前のことで、わりと最近まで不思議な歴史は綴られている。
店の外から気になっていた、このオレンジ色。 「カンボジアのプノンペンにちなんだ色だったりするんですか?」と聞いてみたところ、「オレンジは食欲を増す色らしいんですよ!吉野家なんかもそうでしょう!」との答えが返ってきた。
吉野家カラーだったのか!「プノンペン」でありながら、プノンペンには全然縛られていない(実際行ってるのに影響受けてないのがすごい)。どこまでも続く野原のように自由だと思った。
プノンペンそばの味は
「プノンペンそば」のスープは、鶏ガラ醤油+トマトの味+ニンニク+鷹の爪が主な材料だ。食べてみると、前面に立った辛さの向こうに、鶏ガラ醤油がいて、さらにその奥からトマト風味が顔をのぞかせる、という雰囲気。
今まで食べたことのない不思議な味なので、表現が難しいが、決してヘンな味ではない。
こだわりの食材
プノンペンの自慢は、選び抜かれた自慢の食材だ。ご主人に解説してもらった。
そして、よく見たらこだわっているのは食材だけではなかった。
思わずハッとしてテーブルを見てしまう。
まさか割り箸までこだわると思っていなかったので衝撃を受けた。確かに割った時に、左右がほとんど均等に折れた気がする。しょうもない割り箸を使うラーメン屋ではこうはいかない。
アヤフヤな起源と、こだわり抜いた食材たち。なんだかアンバランスな感じもする。でも、これが先代と二代目が一途に味を追い求めた結果の形なのだ。大阪のプノンペンは不思議でカッコいいラーメン屋さんでした。