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ちしきの金曜日
 
電気自動車で島一周


降る雪や、未来は近くなりにけり。

電気自動車の実用化に向けた実証実験が、私の知らないうちに進んでいる。

「EV・pHVタウン構想」と言って、
(略し過ぎてて何のことやらとても分かりにくいのだが)
・電気自動車(EV)
・プラグインハイブリッド車(pHV)
を普及させるため、特定地域に絞って行われるモデル事業がある。

これが長崎県は五島列島で行われている。
電気自動車を実用化するには、ガソリンスタンドならぬ「電気スタンド」が各地に必要となるワケだが、そういったインフラ周りを整備するのに離島は丁度いいサイズなのだろう。

未来を感じに、行って来ました。

T・斎藤



Go to 五島

五島列島はその名の通り5つの大きな島と複数の小さい島々から形成されている。このうち電気自動車に乗れるのは

  • 福江島
  • 新上五島(中通島と若松島。橋で結ばれている)

の2エリア。今回、私は福江島の電気自動車を体験をしてみようと思う。

というわけでまずは長崎港からジェットフォイルに乗って福江島へと目指した。


乗船時間は1時間25分。片道6,630円(往復12,720円)。
ちなみにジェットフォイルではない普通のフェリーで行くと3時間半かかる。

九州の日の出は遅く、朝7時はまだ暗いが、
離島を行き来する船乗り場はこの時間帯が忙しい。

こちらが私が乗船する「ぺがさす2」。

音が完全にジェット機。“海の旅客機”と言われている。けっこう興奮します。

パンを食べたり騒音計で音を計ったりしているうちに、あっと言う間に福江港に到着。


これが電気自動車だ!

島に着くとさっそくレンタカー屋へ。
電話をすると港まで迎えに来てくれる。

私は念のため予約をしておいたが、島内にはたくさんの電気自動車があるようで、あちこちで同じ車を目撃した。


三菱 MiEV

外観は、マフラーが無いこと以外、普通の軽自動車とそんなに変わらないが、インパネ周りはなかなか独特だ。


独特なインパネ。

左上が電気の残量を示す、ガソリンメーターならぬ電気メーター。 中央がスピードメーターで、その上に電力の出力状況を示すパワーメーターがある。アクセルを強く踏むと電力の消費が大きくなるためメーターが上がり、逆にブレーキを踏んでる時はそのエネルギーを使って充電され、メーターは「Charge」の方向に振れる。

右上は後続可能距離を示すメーター。
ボタンを押すと普通の距離計にも切り替わる。


電源を入れるにはカギを差す必要はなく、つまみを回すだけ。

レンタカー屋のお姉さんから使い方の説明などを一通り受ける。と言っても、気をつけなければならない点は給油ならぬ給電くらい。

満タンで約100km走る。
が、エアコンを入れると急激に電力を消費し、半分の50kmくらいしか走らないという。万が一ゼロになった時には電話すれば助けに来てくれるとのこと。


  • 満タンで約100km走る。
  • エアコンを入れると半分の50kmくらいになる。

充電ができる施設は島内に4カ所ある。


給電所の場所&今回巡ったルート。 別ウィンドウで表示

地図を見たら、適度な間隔でバラけているようだ。
が、距離感覚がわからないので聞いてみたところ、最初の給電所がある三井楽までは10kmくらいと言われていた。

それだったらだいぶ余裕がありそうだから、島内どこに行っても心配ないだろう。(が、後でグーグルマップで調べてみたら20kmあった)

いざ出発

というわけで出発。
と言っても、特にコレといって行かなければならないところもない。

なので島内を一周しながら、4カ所ある給電ポイントすべてで充電するというのを目的とすることにした。(目標は小さく)


エンジン音が無いので非常に静か。停車中もアイドリングとかない。

少し行くと、「海水浴場こちら」という看板が出ていたので、なんとなく寄り道してそちらに向かってみた。

するとこんな色をした海が広がっていた。


どひょー!海がきれい。
この色!
でもけっこう波荒い!

五島は海がきれいなことで有名だ。

が、この日は曇り空だし、冬だし、時折雪がちらちらと舞うほど寒かったので、“海のきれいさ”というのはまったくノーマークだった。

そしてこの後、気が付いたら海ばかり巡って写真に収めていた。


グーグルマップで見ると「名も無き海水浴場」だが、
看板には名前が付いてたと思う。(別ウィンドウ

排気ガスを出さないのでマフラーそのものが無い。
パワーもガソリン車となんら遜色ない。上り坂などでも困るようなことは一切なかった。


海のきれいさ

その先にある砂浜は、さらに驚異的な美しさだった。


ドホーッ!!

べらぼうに浅い、まるで水たまりのような海が何十メートルも続いてる。


砂漠みたいな模様。

砂の模様はこんなふうにしてできたと思われる。これ、海なのだ。

砂浜と海の境界部分はこんな。砂漠の砂に水が染み入るようだ。

実に不思議な光景だ。

自分の中にある「海」の概念が崩壊しそうなくらい、
遠浅の砂浜が広がっていた。


ここに取り残されたらどうしよう?とちょっとだけ不安になった。

一方、広がる砂浜に油断して遠くまで歩いて行ってしまい、気がついたら潮が満ちて海の中に取り残されてしまったらどうしよう?と一瞬不安になった。

小学生の頃、私は海辺の岩に登って遊んでいて、いつの間にか潮が満ちていて戻れなくなったことを思い出したりしつつ、しばらくこの光景を眺めた。


そして鳥がいっぱいいた。

ここは実は以前にも来たことがある。
見てきてジャーニー・五島列島編」という記事で、
「見てきて」のリクエストがあって訪れたところだ。

前回訪問した時は、
「海の色はきれいだけど、よく見ると意外と砂で濁ってるなぁ」
と思ったのだが、それはつまり、その下に浅い砂浜がずっと続いてるからだった、ということが今回引き潮の状態を見てわかった。

 

余談だが、前回の記事の冒頭部分、長崎港から福江港へと行くまでのくだりが、今回とまったく同じことを書いていて驚いた。我ながら、記憶喪失かよ!ってくらい同じことを書いてしまった。(まぁでも、それも面白いのであえて消さずにそのままにしときます。)


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