薬局の店頭は他のお店と違って、なんかちょっと独特だ。大きな張り紙に大きな文字で「足のつる人」とか「こむら返り」などと書かれている。
あれは一体どういう事なのだろう。どこの町でも同じ感じなんだろうか。地域性はあるのだろうか?
なんだか気になったので色んな薬局を見て来ました。まずは薬局の店頭の特徴をいくつか紹介していきます。
(松本 圭司)
こんな症状の人はご相談下さい系
よくあるのが、「こんな症状の人は相談して下さい」という張り紙。残尿感や糖、頭痛や肩こりなど具体的な症状が列挙されている事が多い。
そういえば気になってるんだよね、と、つい薬局のドアを開けてしまいそうになる。最近僕は「大腸」の事が気になり始めている。ザ・ガードを飲むべきだろうか。
オレンジの紙に黒い文字
オレンジの紙に黒い太字というのもよく見る。左と下の写真は王子の薬局で撮影した張り紙。大変に目立つ張り紙だ。
「お腹のぜい肉減らしたい方」という紙には、「お腹のぜい肉」の部分に傍点が付いて強調されている。本気なのだ。
これらが薬局の入り口にどどーんと貼られていた。
さて、この紙をよく覚えておいて欲しい。
同じ紙が葛西の薬局にあった
王子の薬局にあった張り紙が、葛西の薬局にもあったのだ。上の写真、ドアの右にある「ひざ・腰の痛み」と「階段の上り下りが」の張り紙は元は1枚だったらしく、葛西の薬局では左の写真のように1枚で貼られていた。
これは製薬会社が販促用に配っているのだろうか。道理で色んな薬局で「足のつる方」って張り紙を見るはずだ。
もしくは、薬局用の業務用スーパーみたいなとこで売ってるのだろうか。こういう張り紙。または、素材集か。
すすけた感じが味わい深い
これらは千葉県の一宮町で撮った写真だけど、のぼりや張り紙が日焼けして色あせているのもよく見かける。これがなんとも薬局っぽくて味わい深い。
手書きの張り紙は特に味があって良い。口で言った商品名の「音」をそのまま書いてしまった場合は商品名を間違っている場合も見受けられ、それがまた良い味を出している。
一宮町の薬局は大体色あせていて非常に良かった。
ものすごい情報量
薬局と言えば、過剰なまでの情報量だろう。値札、ポップ、張り紙、のぼり。商品もところ狭しと陳列されていて、大抵の薬局は店頭がすごいことになっている。カオスだ。
パッと見てなにがなんだか分からないのが大変に好ましい。一瞬脳が情報処理をやめてしまうほどのカオスだ。
特にすごいなーと思った写真を大きく載せておくのでみんなも圧倒されて下さい。
町による違いはあるのだろうか?
さて、ここまで大ざっぱに薬局の店頭を紹介してきたわけだが、ふとこう思ったんですよ。
「町によって薬局の姿は違うのだろうか?」
と。コンビニなんかは大体どこに言っても同じような物が売られている。東京と北海道では違いがあるけど、東京のコンビニなら大体似たような商品が売られている。
では薬局はどうだろう?足がつる人が多ければ、足のつる人に特化しているのではないだろうか?
そう思ったので巣鴨と新橋と新宿を回ってきました。
巣鴨の薬局では突き刺すようなコピーが踊る
はい、巣鴨にやってきました。1月の晴れた日とはいえ、身を切るような寒さ。ちょうど寒波が来てたんですな。でも地蔵通商店街はお年寄りでいっぱい。流石巣鴨です。
でもって、やっぱり薬局が何軒もありまして、やっぱり張り紙の傾向がちょっと違う。どう違うかっていうと、何か深刻なのだ。
骨折、白内障、緑内障、飛蚊症などなど。っていうか、それもう薬局じゃなくて病院に行くべきでしょうみたいな言葉が店頭で踊っていた。
巣鴨の薬局、すげぇ。
よく分からなかったのが、左の写真の「口臭3日 体臭6日」の張り紙。これ以外に説明はないし。近くになにか商品があったわけでもない。
鰻の「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」とか「桃栗3年柿8年」みたいな張り紙だ。どういう意味だったのだろう。
ホッカイロがこぼれそうな程売られている
特に寒かったってのもあったのかも知れないけど。使い捨てカイロが山盛りで売られてたのも印象に残った。同じに日に廻ったのだけど、他の町ではここまで山盛りではなかった。やっぱり年を取ると冷えやすいのだろうか。
線香もたくさん売られていた
それから充実してたのが線香とろうそく。とげ抜き地蔵とかお寺もあるのでそこで使うのだろう。が、薬局でここまでたくさんの線香を、しかも店に入ってすぐの場所で売るってのはちょっとビックリした。
巣鴨の薬局は、1.症状が深刻。2.ホッカイロが山盛り。3.線香とろうそくが充実。という特徴があった。
思ったより地域差がある様なので、次は新橋に行って来ました。
新橋は精力にフォーカス
サラリーマン、特にオジサン世代の町、新橋。果たして新橋の薬局はどうなっているのだろう?と思って日曜日に行ったらあらかた閉まっていたので月曜日に出直した。
そこで多く見た単語は、「精力」だった。
「精力剤」「男の更年期」「精力減退」「健康性活ですか!?」などなど「精力」という言葉が踊る。
もう、とにかく精力なのだ。中年サラリーマンはそんなに精力の減退で悩んでいるのだろうか。僕が会社っぽいところに通ってた時に見たおじさん達は適度にエロスで、精力の減退で悩んでいる風ではなかったのだけど。実は悩んでいたのだろうか。
でもってこれら、1軒の薬局の正面に全部貼られてたんですよ。
あかひげ薬局もあった
精力や肝臓、前立腺など大体にして酒と性に対抗するのが新橋の薬局らしいのだが、あかひげ薬局というほぼ精力剤しか売ってない薬局もあった。
「今夜まにあう精力剤」というコピーも力強い。なんかもう、「足のつる人」とか「オードムーゲ」などとは全然違う世界の言葉だ。
これが新橋なのだ。言い切ってしまった。
毛筆の看板が力強い
あまり精力を推してこない普通の薬局もあったが、張り紙が手書きの毛筆で大変に良い味を出していた。
それが下の写真。すごく良い。活字にはない味がある。おお、効きそう!って思ってしまう力強さだ。
いいなぁ、毛筆、なんて思っていたら以前実家の店にあった看板を思い出したので下に写真を載せてみました。「全商品消ヒゼーサービスします」と、なぜか「ヒゼー」がカタカナになっているのがすごい迫力だった看板だ。未だにこれを越える手書き看板は見たことがない。親は偉大だ。
新橋の薬局は、1.精力推し。2.肝臓や前立腺など中高年男性向け。3.毛筆が力強い。という特徴があった。
さて、最後に新宿の薬局も見てみよう。
新宿歌舞伎町はドリンク剤がすごい
最後は新宿の歌舞伎町。歌舞伎町の薬局は店頭から大変な量のドリンク剤が並んでいた。でも新橋のように精力を推してはいない。多分、老若男女問わず疲れた人が多くて、疲れた人がドリンク剤を買うのだろう。精力ではなく、活力と表現していた。
液キャベなど対アルコール兵器もなかなかたくさん配備されていた。ホストクラブやキャバクラなどが多い歌舞伎町ならではなのだろうか。
そういえば、僕もここで液キャベ買って飲んだ事があった。
なんで歌舞伎町で液キャベを飲んだかって言うと、数年前にデイリーポータルZの忘年会が新宿であったのだけど、その日僕は二日酔いで、でも忘年会には行きたかったので忘年会会場に行く前に液キャベを買って飲んだのだ。これが覿面に効いて二日酔いはすっかり治った。
きっとそういう人が多いのだろう。
コスメとか売っててドラッグストアっぽい
新宿は薬局だけでなくドラッグストアも多かった。でもドラッグストアは今回の対象ではないので写真は撮らなかった。
ところが、薬局が限りなくドラッグストアっぽいのだ。コスメやストッキングなど、雑貨類も多く売られていた。巣鴨や新橋の薬局とは違った雰囲気で、これも新宿っぽさなのだなぁと思った。繁華街の薬局はドラッグストアの様になるらしい。
あかひげ薬局はやっぱりある
さて、では新橋のように精力推しは全くなかったかって言うとそんな事は無くて、お馴染みあかひげ薬局があった。場所はスタジオアルタのすぐ裏で、新宿東口から歌舞伎町へ向かう途中だ。その先にはホテル街がある。
新橋のあかひげ薬局よりもむしろ精力を強く押し出していて、他の薬局が推さなかった分の精力成分を一手に引き受けている感じがした。
あやしげなところもあったりする
更に裏路地では、なんか大変に淫靡な感じのサプリメントのお店があった。薬局ではなく、サプリメントってあたりが逆にこわい。
精力も性力と書かれているし、強勃起立なんて、なんて読むのかも分からない。こんな4文字熟語は見たことがない。
新宿ってなんか色々すごいなぁって思った。
我ながら雑な〆だけど、これでおしまい。
薬局面白い
最後、新宿の薬局は、1.ドリンク剤が充実。2.ドラッグストアっぽい。3.危険な香りもする。という特徴があった。
やはり町によって薬局は特色があるみたいだ。
多分薬局の張り紙が気になってる人はたくさんいると思う。だって目立つし、なんかおかしいし、味わいがありすぎる。
僕もそんな気になっていた一人で、ここ最近薬局を見つけては写真を撮ってきた。まだ遠出して撮った写真が少ないのが残念だけど、今後旅行などして地方の薬局を撮影したら全国版としてまた書いてみたいと思います。
っていうか、こういうの「見たいわ」でやればいいのかな。