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フェティッシュの火曜日
 


子供の頃、甘いものが欲しくなるとよく母親に「カタクリコたべた〜い」とねだっていた。ずいぶん荒っぽいオヤツ事情、戦後の子かワシは。
とはいえ粉をそのままサフサフ食べるわけではもちろんない。懐かしの好物を、今あらためて味わおう。

櫻田 智也



レシピのご紹介

母親がつくってくれた(くれた、というほどの物でもない)、片栗粉と砂糖を一緒にお湯で溶いたスイーツ。それがぼくの大好きだった「オヤツとしてのカタクリコ」である。


粉を見て「うっまそ〜!」とは、ならない

具体的に説明してみるとどうだろう、あらためて寂しい食品ではないか。
ぼくはこれを母から「はい、カタクリコ」といって食べさせられていたので、片栗粉が一般には粉末を指し示すということを、ずいぶん長いこと知らなかった。
以前このことを知り合いに話したところ「catakuricoって書いたら高級感が!」と言っていたが、余計に悲しいとおもうよ、ぼくは。


せっかくなので正月帰省中の実家でやります

「家の味」を忠実に再現すべく(というほどの物ではない)、実家で教えを請いながらつくる。


急な撮影だったので雑然としてます

両親はパソコンに触ったことすらない人たちなので安心していたのだが、叔母がぼくの書いている記事をプリントアウトして報告していることが帰省中に発覚。大汗をかく。
とりあえず、この記事だけは報告しないでおいてほしい(家の写真は加工して載せるからと言ったけど面倒でそのまま載せているから)。

 

とりあえずやってみます

同じく帰省していた妹に「カタクリコを憶えているか」と訊ねたら、「ああ、あの鼻水みたいなやつね」と、顔の半分だけ使って笑った。片栗粉は祖父の好物でもあったというのに失礼じゃないか。

ついでに「写真を記事に使っていいか」訊いてみたら、「おまえの記事なんか読んでる人間は私のまわりにいないから別に構わない」との返答が。どこまで失礼なやつなんだ。


カップに片栗粉と砂糖を適当量入れます

はい無駄話が長くなったので、いきなりつくりはじめましたよ。
ぼくも自分でつくったことがないので、適当な分量がよくわからない。ただ、砂糖はそれなりに多いほうがよい。味はすべて砂糖が担っているのだから。


でもってあとはお湯を……え? ちがう?

ポットのお湯を注いだところ、居間の母から「ヤカンで沸かしたお湯を使ったほうがよい」とのアドバイスが。あ、そうなの。


リンゴと山芋は本項に関係ありません

で、熱湯を粉末に直接注いだら片栗粉がダマになってしまった。
予め少量の水に溶いたうえで熱湯を加えるのが正解らしい。案外繊細だ。


するとやがて……

混ぜるうちにお湯がとろとろしはじめる。そうそう、こういうのだった。


ヌロ〜ん

こうして完成したのがぼくの大好きだったカタクリコ……のはずなのだが、なんだこれ、鼻水か。
ずいぶん軟らかいな。


できましたよ〜

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